原文入力:2009-10-26午前01:10:59
接種数時間で底をつく
臨月妊産婦も受けられず
ワクチン1600万名分に過ぎない
リュ・イグン記者
24日土曜日午前7時からシカゴ ノースサイドにあるトルーマン大前に人々が長い列をつくった。メリー・ケイト メルナ(28)も臨月のからだをおして出てきた。だが彼女には順番が回ってこなかった。彼女は「妊娠9ヶ月の私に優先権があると考えた。国家非常事態というのに、それが人をどれほど恐がらせるか分かるか」と話した。この日、シカゴ保健当局は6ヶ大学で新型インフルエンザのワクチンを無料で接種すると発表した。接種開始後わずか数時間でワクチンがすっかりなくなり、遅れて到着した人々は引き返さなければならなかった。
恐怖のウイルスを主題にした映画に出てきそうな場面が米国で現実に再現されている。バラク・オバマ米国大統領が新型インフルの拡散にともなう‘国家非常事態’を宣言したこの日、‘誰でもワクチンを受けられるわけではない’という現実に米国人の不安感はより一層大きくなった。連邦政府は非常事態宣言が‘予想以上に新型インフルが悪化している’ということを意味するものではないとし国民を安心させようと努めた。
去年の春、新型インフル発生初期に米国連邦政府は10月末までに1億2000万人、年末までに2億人に接種できるワクチンを生産することができると予想した。だが6ヶ月が過ぎた今、ワクチンは1600万名分に過ぎないと<ニューヨーク タイムズ>が24日報道した。受精卵からワクチンを生産する過程が、当初予想したよりゆっくり進行されたためだ。年末になってもワクチン生産量は3000万名分に止まると展望される。このために一部の州では要求したワクチンの10分の1だけの割当を受けた。バージニア州のフェアファックス カウンティはこの日10ヶ所で新型インフル ワクチン接種を実施する予定だったが、連邦政府に要求した分量を受けとることができず1ヶ所だけでワクチン接種を実施した。
世界保健機構が先週までに集計した新型インフル死亡者4735人の内、3539人が南北アメリカに集中しているが、新型インフルは北半球に冬が近づきヨーロッパとアジアでも急速に広がっていると<AFP>通信が24日報道した。
先週末オランダでは14才の少女が新型インフルで亡くなり、新型インフル死亡者が6人に増えた。チェコ共和国でも初めての新型インフル死亡者が出、ドイツでも死亡者が3人に増えた。一週間で新型インフル感染者が2倍に増えた英国でも、死亡者が128人に増加した。トルコ・ベトナム・サウジアラビアでも死亡者が新たに出現し、死亡者数が急速に増え学校閉鎖などの対策を出している。
だが問題はワクチン供給だ。ギリシャは23日11月中旬から慢性疾患者・妊産婦・子供を優先してワクチン接種キャンペーンを始めると明らかにした。英国では15万人がすでに接種を終えた。ヨーロッパ連合(EU)会員27ヶ国中で多くの国々がワクチン接種をすでに始めたり近い将来始める予定だ。だが<AFP>はヨーロッパ医薬品許可当局(EMEA)の言葉を借り「問題はどれほど多くの人々にワクチンを供給することができるかだ」と伝えた。ヨーロッパ連合の人口は5億人に達する。
リュ・イグン記者ryuyigeun@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/international/383886.html 訳J.S