原文入力:2012/01/24 16:53(3818字)
12kgのフライパンで頭を打ち下ろした後 "縫う必要はない" と言ったり、ズボンを脱いでセクハラ、賃金未払い
ニュージーランドなどで主要な問題に浮上…政府は船員が死亡した不法‘海賊船’涙ぐましい保護
←13日、国際環境団体グリーンピースのレインボーウォリア号隊員がマグロ操業をモニタリングするために済州(チェジュ)北東50kmの海上にいる漁船に接近している。
"韓国人は悪魔のような奴らです。一度は冷凍庫管理者が12kgもあるステンレス フライパンでインドネシア人船員の仲間の頭を打ち据えました。 その友人の頭が裂けて四方に鮮血が飛び散り、つかまえたイカの上に血が流れているにも関わらず、韓国人管理者はそのまま放っておけと言いました。‘Indonesian no touchy, no stitchy’と言ってインドネシア人は縫う必要がないとして誰も助けませんでした。 しかたなく私が縫いました。"
"インドネシアの友人がご飯を食べていると、突然韓国人の甲板長が友人の頭の上に米袋を投げつけて何度も友人の頭を殴りました。 息がつまって息をすることもできないほどにです。"
"ご飯を食べていると韓国人の甲板長がズボンを脱いで、尻を露にして私たちを愚弄しました。 また、自分の性器を取り出して触れと強要しました。"
東南アジア船員のおぞましい証言
このおぞましい証言は思潮マグロで有名な思潮グループ系列の遠洋漁船オヤン70号とオヤン75号で仕事をした東南アジア出身船員たちの証言だ。 2010年8月、ニュージーランド近海で操業中だったオヤン70号が突然沈没した。 沈没事故で生き残った船員はむしろ禍転じて福となったかのようにその間に加えられた身体的・精神的虐待を証言した。 そして2011年6月、オヤン75号で仕事をしたインドネシア人船員32人は労働搾取と各種暴力、賃金未払いに耐えられず、この船から脱走しニュージーランド当局に韓国船舶の恥部を知らせた。
韓国のマスコミではほとんど扱われなかったが、この問題は現在ニュージーランドやオーストラリアなどでは重要な問題に浮上している。 ニュージーランド当局は昨年8月、韓国の遠洋漁船内での人権抑圧と労働搾取実態を把握するため真相調査委員会を設け、オークランド大学は昨年9月関連報告書を作成した。この報告書によれば、すでに2005年から各種暴力と虐待に苦しめられていて韓国遠洋漁船を脱走した外国人船員の申告が受け付けられている。
思潮グループだけではない。 最近、韓国遠洋漁船の各種事件と事故は絶えることなく続いている。 2010年12月13日未明、南極海で操業中だったインソン実業の船舶一隻が突然沈没した。 当時、船には韓国人8人、中国人8人、インドネシア人11人、ベトナム人11人、フィリピン人3人、ロシア人1人など計42人が乗っていたが、この内20人だけが生還した。 南極海を管理する南極海洋生物資源委員会(CCAMLR)会員国は操業では事故でこれほど大きな人命損失はほとんど初めてだったので事故経緯に大きい関心を示した。
しかし韓国政府が提出した事故報告書はただの3枚に過ぎなかった。報告書によれば、船の直接的沈没原因は高い波と悪天候の気象条件による船舶転覆だった。 ところが驚くべき事実は外国人船員はそれぞれ異なる6ヶのエージェンシーを通じて韓国船舶に雇用されており、安全マニュアルは韓国語のものだけが提供され緊急事態に対する備えは全くなかったという点だ。 結局、多くの死亡者は中国・インドネシア・ベトナム・フィリピン出身の船員だった。
インソン実業は南極海でアイナメとオキアミを捕りかなりの富を蓄積した会社だが、各種保存措置に何年も違反しており関連国際会議で名を知られている。 2011年にはCCAMLRが定めたアイナメ操業制限量を無視して4倍近く乱獲し不法操業船(IUU・不法illegal,非報告unreported、非規制Unregulatedの略語だ。文字どおり国際協約を遵守せずに不法を行う操業船を意味するが、ほとんど‘海賊船’に近い意味だ)に登載されるところだった。 業者を守るための韓国政府の涙ぐましい保護により不法海賊船の烙印は避けられた。
韓国遠洋業界の大手、東遠産業も最近太平洋で非道徳的操業で国際社会の非難を受けている。東遠産業は太平洋で思潮グループと並んでマグロ操業の先頭業者だ。ところが2011年11月末、東遠の遠洋漁船で働いた外国人ヘリコプター操縦士が良心宣言をした。 彼がする仕事はヘリコプターに乗りマグロの群れを捜し出し、漁船が打っておいた網の中に追い立てることだった。 彼は東遠の遠洋漁船がFAD(Fish Aggregation Devices)と呼ばれる集魚装置を利用してマグロを無作為に獲っていると暴露した。
外国政府の調査で明らかになった蛮行
この集魚装置は魚を誘引するために人工的に作った浮遊装置で、一種の大きいな筒やなだ。 ところでこの集魚装置はマグロ操業船が目標にするマグロだけでなく、アカエイ、カジキ、イルカ、海亀のような他の種も無作為に捕獲する。 最も大きな問題はごく幼い魚の群れだ。 集魚装置にひっかかった幼い魚の群れはすぐに死ぬのでその場で網ごと海へ捨てる。 東遠遠洋漁船が通った跡にはこのように混獲された魚の血だらけで声なき叫びが立ち込める。
労働搾取と人権抑圧、国際協約違反、生物資源乱獲と生命価値軽視. 韓国遠洋業界が見せる醜悪な実状だ。 しかし韓国政府と業界は遠洋漁獲量基準で全世界3位、マグロ操業量規模世界2位という成績表だけを前面に掲げ‘遠洋強国’韓国を広報するだけだ。 韓国は1957年インド洋でマグロの試験操業を始めた以後、南極海まで含め全世界の海に350余隻の遠洋漁船を率いている。
東遠、思潮など先頭業者の会長による言論インタビューでは、いつも‘挑戦と征服’というかたくなな常套句が登場する。 彼らはひもじい時期に海を見て夢を育て、そのために海の世界に進んで富を作ったとし、若者たちに挑戦しろとそそのかす。 彼らの明らかな成功談には成功した者特有の覇気と自信があふれている。 彼らのビジョンには去る18世紀からひたすら挑戦と征服欲に捕われて、全地球の海を縫って新大陸の原住民を残酷に殺害し、南極海の鯨とオットセイを虐殺した西欧帝国主義の論理がそのまま生きている。 先に見つけた者が持ち主であり(Finders,keepers!) それで資源の先行獲得と収奪を正当化する帝国主義の論理そのままだ。 彼らには資源乱獲で荒廃していく海に対する憐憫と省察は見当たらない。
クォーター違反、ブラックリスト登載の危機
遠洋業界のこういう‘やぼったい帝国主義’は韓国政府の‘国家と経済の発展’に対する執着とあいまってシナジー効果を生み出した。 韓国政府は1950年代から国家経済発展の一環として政策的に遠洋水産業界を支援してきた。 遠洋産業発展法には政府が遠洋業界の発展を促進するため、遠洋事業の諸般費用を一部補助したり融資できるよう規定している。 そのために韓国政府の関係部署(農林水産食品部)と遠洋業界の癒着関係は非常に厚くねばっこい。 政府が思潮と東遠、インソンのような遠洋業界のあらゆる不正と不法に目を瞑るのもそのためだ。
しかしこのような癒着関係が今や遠洋業界と韓国政府にとって毒となっている。 政府の保護の下、毒きのこのように育った遠洋業界の誤った慣行のせいで、現政権が強調する‘国の品格’が墜落している。 過去とは違い、今や海洋生物資源が乱獲で相当量急減したため全世界にわたって海洋生物資源保存のための努力と関心が高い。 これ以上、過去の慣行が容認されないのが現実だ。 実際、国際社会での韓国遠洋漁船に対する不法漁業疑惑調査件数は2010年4件から2011年39件に急増した。 ほとんど操業制限量を超す超過漁獲と操業規則、各種保存措置違反だった。 ヨーロッパ連合執行委員会は韓国漁船8隻に対して不法漁業の疑いを調査している間にインソン実業の問題を発見し、インソン実業を30次CCAMLR例年会議で不法操業船目録に登載することを提案した。 ここに思潮遠洋漁船の外国人労働者虐待問題まで重なり、韓国政府の威信は立つ瀬がない。
政府の保護で未来を使い果たす
遠洋業界の人々に会えば言論から出るインタビューとは異なり、“海には未来がない”と話す。 海は“一杯食って逃げる所”と自嘲的に話す。 彼らの自嘲的告白の中に今日の遠洋強国の現実を見る。 彼らが明日はなく今日だけ見ている以上、弱小国から来た貧しい外国船員に対する‘最小限の人間に対する礼儀’や、未来世代のための海洋資源の‘持続可能な管理’は無駄口に過ぎないという話だ。
文/パク・ジヒョン<ルモンド ディプロマティーク>韓国版編集委員
原文: https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/515825.html 訳J.S