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【ソウル市、こう変えよう】① 土建から福祉へ

原文入力:2011/10/14 11:55(2256字)


清渓川(チョンゲチョン)・漢江(ハンガン)が華やかになる間に・・・
老人施設のトイレは金がなくて直せず


クォン・ヒョクチョル記者


“お年寄りの行政タウン”建設など
オ・セフン式福祉は展示性に偏り
「小規模生活密着型福祉を」


ソウル市鍾路区(チョンノグ)のある老人福祉施設のトイレは一ヶ月に2~3度は故障する。 配管が古く直しても繰り返し故障する。 修理の間、老人たちは不自由なからだで近所の建物や地下鉄の駅のトイレまで行かなければならない。匿名を要請したある社会福祉士は「福祉施設のトイレや冷暖房施設などは障害者や老人にとって大変重要なものだが、今年に入って故障が多く安全・衛生問題の心配が大きい」と話した。このようになったのは、ソウル市が老人福祉施設改善・補修予算を昨年の24億ウォンから今年13億ウォンに半分近く削減した影響が大きい。

こうしたことが起きた根元にはイ・ミョンバク、オ・セフン両市長の10年近い在任期間に続いたソウル市の土建重視政策があるという指摘が多い。ニュータウンや漢江ルネサンスのような大規模土建事業に懸命になった結果、社会福祉のあちこちに陰が生じたということだ。
ソウル地域社会福祉士協会などからなるソウル市社会福祉団体連帯会議が最近10・26ソウル市長補欠選挙に出た候補らに送った「社会福祉政策要求案」に盛られた診断が代表的な例だ。 この団体は「ソウル市の財政運用を大規模土建事業に集中させた結果、社会福祉予算は展示性式に、且つ、下の石を抜いて上の石を支える方式で使ってきた」と明らかにした。


イ大統領は2002~2006年ソウル市長在任中、ニュータウン事業などでソウルを“工事現場”に変え、市長職を引き継いだオ・セフン前市長は漢江にまで“工事現場”を拡大した。 オ前市長は2006年に就任したあとの5年間、漢江ルネサンス、光化門(クァンファムン)広場新装、東大門(トンデムン)デザインパークプラザ造成などに1兆353億ウォンを投じた。 看板事業である漢江ルネサンスは市予算1兆3174億ウォンの計画で、単一プロジェクトとしてはソウル市事業の中で最大規模だ。 漢江ルネサンスプロジェクトの一つとして2007年に導入した漢江水上コールタクシーは、市民の呼応が得られず忘れられつつある。 20分で5万ウォンする水上コールタクシーは、一日2万人と予測した利用客が今年の1~8月には一日113人に終わった。


ソウル市はオ市長就任以後、市予算における福祉予算比率が2007年14.5%、2008年15.7%、2009年17.9%、2010年19.6%、2011年21.4%と着実に増えたと話す。 だが、2011年のソウル市福祉予算の中身を見てみれば、国庫補助事業比率が65%、地方委譲事業15%、自らの事業は20%前後だ。 キム・センファン ソウル市議は「増えた福祉予算は基礎老齢年金など国庫事業の拡大などにともなう自然増加分が大部分」として「ソウル市がそれなりに最大限用意した福祉予算は、2010年に比べて836億ウォン減少した」と話した。 ニュータウン開発、清渓川(チョンゲチョン)復元などを行なったイ大統領がソウル市長当時打ち出した福祉事業には、特にはっきり思い浮かぶようなものは見当たらない。


オ前市長は福祉にも神経を使ったとはいうけれども、内実よりは外見を重視した“‘展示福祉”に重点を置いたと指摘される。ソン・ジュミン ソウル福祉市民連帯幹事は「オ前市長は福祉の内実を固めるよりは、ソウル型福祉とか網の目福祉とか言って展示性福祉事業にばかり力を入れた」と話した。


その代表的な例として、ソウルの5つの圏域で推進した“お年寄りの幸福タウン”が挙げられる。 総額5700億ウォンで2014年までに7~8階建ての老人総合福祉施設を建てて老人福祉のメッカに育てるという野心に充ちた計画の前に、自治区ごとに1~2ヶ所ずつ建てられている老人福祉館と機能が重なっており、からだの不自由な老人たちが家から遠く離れた施設を利用するだろうかという問題提起は葬られた。


オ前市長が自慢した「ソウル希望プラス通帳事業・ソウルクムナレ通帳」も展示性福祉という批判が出ている。 低所得層が所得水準別に月々5万~20万ウォンを3年間貯蓄すれば満期の時点で貯蓄額の倍を与えるという事業だ。「現金を与える式の福祉ポピュリズムの元祖はオ・セフン」という話がここから出てきた。2007年12月のモデル事業に対する反応は熱く、去る9月現在受恵者が3万1204世帯に増えるや、予算作りが悩みの種になった。 民間企業の後援に期待しようとしたが、オ市長の辞任でこれにも赤信号が点いた。
ソウル市議会チョ・キュヨン保健福祉委員長は「この10年間の展示性土建事業が残した後遺症を取りはらわなければならないという共感が形成された以上、新しいソウル市長は土建予算を市民福祉のためにどのように使うか苦心しなければならないだろう」として「25の自治区別福祉格差の解消、大規模展示性福祉から小規模生活密着型福祉への転換が必要な時点」と指摘した。


クォン・ヒョクチョル記者nura@hani.co.kr


原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/area/500662.html 訳A.K