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短いスカートはいた私にも非があると?

原文入力:2011/10/10 10:31(2955字)
キム・チョンヨン記者

性暴力に対する誤解と偏見
「性暴力」概念・範囲からまた説明必要で
「抵抗できない君が問題」非難してはいけない

←ソウルのある中学校の生徒たちが、デートレイプに関する動画を見ている様子。 イ・ジョンチャン 先任記者 rhee@hani.co.kr

 「最近の子供たち? 男女共学か別学かで少し異なりますが、以前とは確かに違います。男子校に行けば『コンドームを食べれば何の味がしますか?』 こんな風に尋ねる子供たちも多いです。高校生はさらに思い切った質問もよくします」。tacteen青少年性暴力相談所のチュ・グクァ所長は、「大人たちが考えているより、子供たちは性について多くのことを知っており、思い切った質問もよくする」とした。

問題は性に露出しているのと同程度、正しい性暴力の教育を受けることができていないことだ。性暴力の加害生徒が、「女たちがキスをすれば、性関係を望んでいると思った」、「被害者も一緒に楽しもうと誘惑した」と話す理由もここにある。性暴力の被害生徒たちが、「性暴力は行動が控えめに出来ない子供たちが受ける」として、被害事実を知らせるのを敬遠する理由もここにある。

生徒たちは多くのことを知っているが、「正しく」理解してはいない。性暴力に関する生徒たちと親の誤解と偏見には、何があるだろうか?

■女性だけが性暴力の被害者になる?

性暴力教育をするならば、まず性暴力の概念定義から行っておかねばならない。性暴力というのは、女性はもちろん男性も含み、個人の自由な性的自己決定権を侵害した犯罪を指す。相手の同意や許諾なしに一方的な強要により、相手が願わないのに生じた、性と関連する言語、身体、心理的な暴力を全て含む。

青少年加害者は、「私はいたずらでしたことで、このようになってしまい申し訳ないが、悔しい」と話す。しかし、生徒たちが知っておくべきことは、その行為が性暴力なのか違うのかは、被害者の立場で判断しなければならないということだ。加害者はそのつもりは無かったとしても、加害者のいかなる行為の後に、被害者が性的羞恥心や侮蔑感を感じたとすれば、それは性暴力に該当する。チュ・グクァ所長は、「例えば、ガールフレンドが水着を着た姿を頭の中で想像するのは性暴力ではないが、水着を着た姿について言葉で恥かしく説明したとすれば、それは表面に行為があらわれたことで、被害者が性的侮蔑感を感じたので性暴力だ」と説明した。

さらに重要なのは、性暴力の被害者は必ず女性であるという固定観念を捨てるべきだということだ。男性も女性の言語や行動などにより、性的羞恥心、侮蔑感を感じることがあり得る。

■性暴力の加害者は、主に見知らぬ人だ?

韓国性暴力相談所の統計資料によると、性暴力の加害者の74%は知人によるもので、13%は家庭内で発生する。よく、性暴力は新聞やニュースなどで見る、特殊な状況のように思われがちだが、私たちの日常においても頻繁に起きているという話だ。

現場の教師たちは、「性暴力問題で相談にくる生徒たちに話を聞くと、最近になって近親者による性暴力が頻繁に起きている」と話す。片親家庭の場合、義父と娘の間で多く発生し、兄弟姉妹やいとこの間でもよく起こる。特に、同年代の兄弟姉妹やいとこの場合、加害者は、「私はそのまま眠って触れてしまっただけなのに…」とごまかしたり、たいしたことではないと済ませる場合が多い。しかし、家族でも被害者が性的侮蔑感を感じたとすれば、れっきとした性暴力に該当する。

■最後まで抵抗できなかった被害者に非がある?

よく性暴力の被害者の両親たちは、「あなたも行動に気を付けるべきだった」と非難する。こういう非難に、子供はかえって心理的により孤立する。性暴力の被害者は「すべてのことが、みんな私の過ちのために起きたようだ」と、問題を自分の責任にして、自ら叱責しやすい。その過程で、傷は倍増される。

性暴力が生じる加害行為は、他の様々な暴力的手段を動員する。そして、被害者は加害者より心理的、物理的、状況的、関係的に萎縮しており、抵抗をするのが難しい場合が多い。したがって、「最後まで抵抗すれば性暴力に遭わない」と話すのは、現実的でない。また、状況と条件を考慮せず、被害者の防御義務だけを強調するのは、性暴力の責任を被害者に負わせることになり、被害者により大きな傷を残す。

「そう、あなたは、すべきことは、みんなやった。あなたの誤りは1つもない。加害者が悪い奴なだけ。残りの仕事はママと大人たちがきちんとする」。性暴力の被害に遭った場合には、このように被害者生徒に責任を転嫁しないよう、教育をするのが重要だ。

■短いスカートをはいているのが問題だ?

「小娘が短いスカートをはいているから、そんなことを体験するんです」。加害生徒の両親たちは、被害女子生徒について、このように話したりもする。実際、男子生徒たちを対象に性暴力関連のチェックリストを実施すると、「女性の身なりが性暴力を誘発した」という話に丸を付けることが多い。これは、被害者が、どのようにしたから、そのことが発生したと、責任を転嫁することに他ならない。

チュ所長は「講義をする際、いつも『焼肉屋の話』で例えます」と説明した。「道を歩いている途中、お腹がとてもすいていると、焼肉屋から肉を焼くにおいがします。そういう場合には、誰もが食べたいでしょう。しかし、お金がありません。それでも店に入っていき食べて、社長に、『社長、君の店が路上で肉の臭いを漂わせていて、思わず食べたことだから分かってくれ』とはしないでしょう。そのように代価を払わずに他人のものを食べれば、処罰を受けねばならないというのは、誰にでも分かります。身なりの問題も同じと考えるべきです。友人が短いスカートをはいたのは、他人に対して触れと提案したことではないことを、理解させなければならないのです。私が性的好奇心を刺激することはあり得ても、それで他の人が刺激を受けた場合、どんな行動をして、どんな決定をするかは、私が判断して決める問題ということを、知らせなければなりません」。

■男は本来、衝動的な動物だ?

「本来、この時期は衝動的でしょう」。加害生徒の両親たちがよく言う言葉だ。間違った教育だ。性的衝動がいくら強く、強い時期だとしても、相手が願わないことをするのは間違っていることを、知らさねばならない。

男は本来、衝動的な動物という認識は、私たちの社会が男性の攻撃的・性的行動を自然なこと、または、男性的だと考えてきたためでもある。青少年性暴力でも、生徒たちが自分より幼い友人や体格が小さい友人などを対象に、自身の抑制された怒りや衝動などを弱者に表出することがよく起きる。こういう問題行動について、「本能的に本来、そのようなことがあり得る」という類で合理化を誘導すれば、それこそ誤った性価値観を育ててしましがちになる。

キム・チョンヨン記者 carax3@hanedui.com
助言:アハ!青少年性文化センター、tacteenチュ・グクァ所長、韓国性暴力相談所
原文:https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/500011.html 訳 M.S