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畑で 一日 15時間 奴隷のように…社長の武器は "出て行け"

原文入力:2011/10/06 00:27(2404字)
パク・テウ記者


農畜産業外国人雇用許可制の陰
働く場所も労働条件も 契約書は‘紙切れ’
パスポートは取り上げられ外出禁止 悪口・暴行の末に結局 脱出
農閑期が近づいたが…このまま追い出されるのか不安


←江原道(カンウォンド)、楊口(ヤング)で仕事をして逃げたり追い出されたりしたカンボジア農業移住労働者が先月6日、京畿道(キョンギド)安山市(アンサンシ)、元谷洞(ウォンゴクドン)の移住民映像教育センターに集まり当時の生活について話している。 地球人の停留場 提供


 "お前ら家に帰れ! カンボジアに行け!" 去る8月14日深夜、江原道、楊口郡のあるカボチャ農場社長は「(契約書に書いてある)本来の社長のところに送って欲しい」と哀願するカンボジア移住労働者マディ(仮名・22・女)とナラ(仮名・25・女)に向かい怒りの表情で大声を張り上げた。

‘農畜産業外国人雇用許可制’を通じて韓国に入ってきて5ヶ月以上働いた彼らは8月上旬に他のカンボジアの友人から‘勤労契約書上の社長ではない人の下で働けば不法になるので追放されかねない’という話を聞いて以来、同じ要求をしてきたがいつも黙殺された。二日前には社長がマディとナラにハンマーを振りながら「黙ってここで働け!」と声を荒げたが、今度は農場から追い出した。


翌日の明け方、農場に建っている部屋で食べて寝た2人は両手に旅行カバンを持ち農場を出た。今日の宿もなくカンボジアの友人がいるという京畿道(キョンギド)安山(アンサン)に行くことにした。警察や出入国事務所職員らの目を避けなければならないと思い道を知っているカンボジアの友人が連れにくるまで4時間を農場付近の教会に隠れていた。友人の助けでバスに乗り江原道、洪川を経て7時間後に京畿道、安山にある移住民映像教育センター‘地球人の停留場’に到着した。


先月29日に訪ねたセンターにはマディとナラ以外にも今年3月15日と22日に韓国に来て、楊口で仕事をしていたカンボジア労働者8人がいた。彼らもやはりマディとナラと同じように、当初の契約条件とは異なる苛酷な労働条件と非人間的な待遇に耐えられず楊口の農場から逃げたり、解雇されてこちらを訪ねてきた。彼らを含めて楊口で仕事をしてセンターへ来たカンボジア移住労働者は18人に達する。彼らは大部分が明け方5~6時頃に社長と共に仕事場に出て行き夕方7~8時まで生まれて初めて見るカボチャ・ジャガイモ・唐辛子・サンチュ・リンゴなどを育てたと語った。


去る2月にカンボジアでサインした勤労契約書には、月220時間労働(二日休日)に法定最低賃金水準の97万余ウォンを受け取るとなっていた。だが、彼らは一ヶ月に普通300~390時間働き月給は100万ウォンだけを受け取った。18人の労働者が13人の社長に受け取れなかった延長勤労手当てなどを全て合わせれば1500万ウォンを越えた。


←去る3月、江原道、楊口のある農場でカンボジア農業移住労働者メキラ(仮名・19・女)が一輪車で肥料袋を運んでいる。メキラが着ている作業服にはカンボジア国旗と太極旗が並んで描かれている。 メキラ提供


慣れない韓国語と見慣れない作業環境のために彼らは初めは仕事がうまくこなすことは不可能だったが、社長は‘完ぺきな働き手’を望んだ。5ヶ月間、計4人の社長の下で働いたルティ(仮名・26)は「失敗する度に社長はいつも私に‘怠け者’と怒り罵った」として「一度はゴムロープで私を殴りもした」と話した。ソピウプ(仮名・22・女)は「夕方遅く仕事を終えて帰ってくれば社長が度々一緒にご飯を食べようと言ったが、断るなり焼酎瓶を投げて怒り悪口を言った」と打ち明けた。ピサイ(仮名・36・女)も「休みの日に町で開かれる市場に一人で出て行き社長にひどく怒られた」として「結局、休みの日も宿舎にいるしかなかった」と話した。


辛い作業条件と非人間的な待遇より彼らを一層疲れさせたものは強制追放に対する恐怖だった。彼らの‘マネージャー’と自称する楊口のB営農組合法人アン・某(47・女)本部長は、何の法的根拠もなく移住労働者たちを勤労契約書上の事業場ではない他の所に送り仕事をさせ、旅券まで管理した。外国人勤労者の雇用等に関する法律と出入国管理法によれば、移住労働者が勤労契約を結んだ事業場以外のところで仕事をした場合、ビザが取り消され追放されることがある。


こういう事実を知った労働者は去る7月から8月中旬まで契約書上の事業場に帰りたいと話したが、雇い主は聞き入れなかった。ある労働者が産業人材公団に申告し現場点検まで出てきたが効果はなかった。公団から点検に来るという知らせを聞いたアン本部長が、公団の点検当日 労働者たちを全て契約書上の社長の家に送り仕事をさせ、彼らはその翌日には当初仕事をしていた所に戻らなければならなかった。


彼ら18人は去る8月中旬‘地球人の停留場’の支援を得て江原雇用労働支庁に延長勤労手当ての支給と事業場変更を要求する陳情書を出した。彼らの内 8人は未払い賃金の一部を返してもらい事業場を移ったが、未だに仕事が見つからない10人は気候が寒くなるにつれますます不安を感じている。農閑期になれば働き口が減るためだ。彼らは「仕事がいくら辛くても大丈夫だから、法と契約どおりに仕事が出来る農場に行きたい」と話した。カンボジア人にとっては生まれて初めて出合う韓国の‘冬’が恐ろしい。


パク・テウ記者 ehot@hani.co.kr


原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/499462.html 訳J.S