本文に移動

[時論] 4大河川 洪水被害ないだって? /パク・チャングン

原文入力:2011/07/12 09:41(1895字)

工学的に見て今回の洪水原因は水の流れをわい曲させた堰の建設と河川の平衡状態を破壊した大規模浚渫、結局 4大河川事業速度戦が原因だ

←パク・チャングン関東大教授・土木工学

去る4日、シム・ミョンピル4大河川再生推進本部長が記者懇談会を開催し中部地域洪水被害に対する見解を明らかにした。一言に要約すれば、4大河川事業の主要工程である浚渫による洪水被害は殆どなく、一部の洪水被害事例は4大河川事業と関係ないか、あるいは現在調査中だということだ。夕立はひとまず避けて見ようという形だが便利な論理だ。
我が国の河川設計に用いる降雨量は河川ごとに差はあるが、100年頻度降水量、すなわち100年に一度発生可能な降水量を使っている。概して一日300㎜内外に該当する。

去る5月の春の雨は一日に平均的に50㎜程度の降水量だったが、亀尾1次断水事態、尚州堰堤防の一部流失事態などが発生した。去る6月の梅雨の雨の場合、4大河川流域次元で見れば降雨量が一日に100㎜にも及ばなかったが、亀尾2次断水、尚州堰近隣の洛東江本堤防の一部流失、倭館鉄橋の崩壊などの洪水被害が発生した。

工学的に降雨の規模を決める基準は降雨強度だが、これは一日または、一時間という短時間に生じた降雨量の大きさだ。6月 一ヶ月間の雨が例年より多く降ったということは降雨規模を説明する上では意味がなく、そのために予期できない洪水被害が発生したという論理は工学的に誤ったものだ。

今年の春の雨と梅雨の雨は通常水準の降雨に過ぎないにも関わらず、洪水被害事例の一つ一つが深刻だ。反面、2002年の台風ルサ、2003年の台風セミによって全国土が廃墟となった時も、4大河川事業区間では特別な洪水被害はなかったし、もちろん河川の氾濫事例もなかった。

亀尾1次断水事態は浚渫で低くなった河川水位を高めるために設置した遮水施設(シートパイル)が川の増水により流失して発生した。亀尾2次断水事態は4大河川事業のために新たに設置した横断管路の流失が原因だ。横断管路は一般的に川底2~3m下に埋める。6m程度浚渫すれば既存横断管路が水に露出するためさらに深く埋めたが、不良設計または不良工事で新たに設置した横断管路が流失したのだ。亀尾で発生した二度の断水事態の原因は全て4大河川事業の一環である浚渫にある。付言すれば安全不感症ももう一つの理由だ。

倭館鉄橋の場合、浚渫する前に橋梁保護石積みを設置しなければならなかったのに、補強工事をしなかった橋脚が崩れ、橋梁は機能を喪失した。21日付国土部報道資料によれば4大河川事業区間に設置される橋梁保護石積みは計111ヶ所であり、57ヶ所はすでに設置し、残りの54ヶ所も設置する計画だ。4大河川事業の浚渫達成率が97%に達するというのに橋梁の半分が安全を担保できない状態である。橋梁保護石積みは本格的な浚渫をする前に設置するべき施設だ。

尚州堰事故は水門(可動堰)を河川の左側に偏向させて設置した結果だ。これに伴い、水の流れが左に集中し堤防の下部にある砂を掘りおこした。結局、4大河川事業で設置した堤防は痕跡もなく完全流失し、洛東江本堤防も一部流失した。それまで洪水で洛東江本堤防が流失した事例はないという点を考慮するならば、今回の事態は深刻なものだ。これは明白に尚州堰の設計ミスだ。水理モデル実験でこのような設計ミスを捜し出すこともできたが、水理モデル実験を形式的にした結果、予算を浪費しただけに終わったわけだ。

4大河川事業区間で今回発生した本流洪水被害は、以前には想像もできなかったものだ。そのような洪水被害が発生しない程、4大河川事業区間に去る40余年間にわたり持続的な投資をしてきたためだ。工学的に見る時、今回の洪水被害原因は堰の建設で水の流れをわい曲させ、大規模浚渫で河川の平衡状態を破壊してしまったためだ。結局、拙速進行している4大河川事業速度戦が根本原因だ。こういう状況にも関わらず4大河川推進本部は責任逃れに汲々としており、見るだに情けない。
今後、洪水被害は歪んだ河川が自ら安全状態を回復させる過程で起きるだろう。本格的な梅雨期が近づき台風が直接的な影響を及ぼす場合、どんな洪水被害が発生するか予測するのは難しい。放置された地方河川も危険だ。

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/because/486818.html 訳J.S