原文入力:2011/06/09 15:37(3075字)
パク・スジン記者
柳成企業ストライキ時、MBが‘模範事例’に挙げたバレオ電装‘軍隊式教育’
言うことを聞かない職員は草むしり・トイレ掃除も…労働者の人権 無視
←バレオ電装システムズ コリア職員が3日午後、慶州のある芝生広場で'花郎台(ファランデ・訳注:陸軍士官学校)教育`を受けている。 パク・スジン記者
“革新! 革新!”
去る6月3日午後3時、慶北 慶州市、九黄橋付近の芝生広場。‘花郎台’と書かれたチョッキを着た五人の男性が革新を叫びながら鴨歩きをしていた。すぐそばには別の男性たちが‘右向け右、左向け左、全体立てッ、座れ’等の号令によりいっせいに身を動かした。大部分が40~50代の男性である彼らはバレオ電装システムズコリア、慶州工場の職員たちだ。
軍隊式仕打ちを受ける労働者たち
彼ら30人余りは2泊3日の日程で去る5月18日から会社が実施する‘カイゼン教育’の最後の日程に該当する行軍をしていた。この日午前6時、慶州市、黄城洞の会社を出発し午後5時30分までに28kmを歩いた。中間中間に△バレオビジョン△浪費を減らす7大要素などを覚えるミッションを与えるが、それらを正しくこなせなければ、鴨歩き、漢江鉄橋(隣の人と手を組んだまま団体でうつ伏せになり伸びる体罰)等の仕打ちを受けた。
現代自動車などにイグニッションモーターなどの自動車部品を納品するバレオ電装システムズコリアは同じ現代車納品会社である柳成企業のストライキが警察により鎮圧された後の去る5月30日、李明博大統領がラジオ演説で‘労使共生の模範事例’として挙げた会社だ。以後、地域言論・経済新聞などがここの‘労使共生’を記事化して話題になったりした。
MB式労使共生の実体は労組つぶし
<ハンギョレ>が確認してみると、バレオ電装労使共生の実体は軍隊式精神教育と労働組合つぶしであった。2泊3日間、会社に泊まりこむ花郎台教育がその代表的事例だ。午前6時から夜11時まで日程が続く。
初日には会社の生産性を高めることができる‘カイゼン活動’を考え出し、工場ラインで活動する。主にライン周辺の整理や清掃だ。活動に参加したある労働者は「教育を口実にした合宿労働」と話した。二日目にも同じカイゼン活動が続き、夕方10時には‘テントが私たちに及ぼす影響’という主題で討論をする。‘テント’は昨年5月以来、会社の停職・解雇により復帰できずにいる28人の労働者たちを称する。彼らは1年にわたり会社の前でテントを張り復職闘争を行っている。
“会社に不満を言えば‘ラインから外す’と脅迫”
←昨年4月頃‘会社の名誉を失墜させたり会社に不利益となる行動はしない‘と確約書を書いた労働者が会社に復帰した後、家に帰れず会社に泊まり過ごした様子。写真バレオ電装システムズコリア労働組合提供
会社はまた去る1月、約70人の労働者らを‘知彼知己’‘改善TFT’というチームに配置した。そのチームに配置された人々は主に草むしり・トイレ清掃・作業場ペインティングなどの雑事をする。大部分が生産ラインで働いていた技術労働者たちで、以前は年俸4000万ウォン~6000万ウォンを受けていたが、今は月150万ウォン余りを受け取っている。
会社から解雇され座り込みを行っているチョン・ヨンジェ バレオ電装 前労組支会長は「主に会社に遅く復帰した人々と、復帰以後に‘テント座り込み者’らと身近に接した人々を知彼知己やカイゼンTFTチームに発令している」と話した。
生産ラインで働く労働者はこの‘知彼知己’と‘カイゼンTFT’に発令を受けるかと思い心配している。ある労働者は「会社が手当てを削減し割当量を満たすことができなければ手当てのない残業をさせるなど専横を日常的に行っている」として「だが、不満を言えば‘ラインから外す’という脅迫が戻ってきて問題提起すらできない状態」と話した。
カン・キボン社長“生産性が高まり人が余る”
カン・キボン バレオ電装システムズコリア社長は「急変する環境で生き残るためには絶え間ない‘カイゼン’が必要で行う教育」とし「自分もするし、労組委員長もして、頭が白くなった50代の職員もすべて行う」と話した。カン社長は「知彼知己とカイゼンTFTチーム運用は会社の経営方針なので運用基準を詳しく明らかにすることはできない」とし「ただし整理整頓など環境改善も生産性を上げるための作業であり生産性が高まり余剰人材を抱え込んで行くための会社の苦肉の策」と明らかにした。
2010年2月 労組怠業に攻撃的職場閉鎖
バレオ電装システムズコリア(以下バレオ電装)は現代自動車・起亜自動車などにイグニッションモーターなど自動車部品を納品する中小企業だ。本社はフランスにあるバレオだ。
バレオ フランス本社は昨年2月、警備・清掃労働者などの外注転換を試みた。そして2月4日 実際に警備労働者5人を生産ラインに配置しサービス業者を警備職に採用した。バレオ電装労働組合はこれに反発し残業拒否などの怠業を行った。
会社は攻撃的職場閉鎖で対抗した。労組が2時間残業拒否など怠業を行うや2月16日午前6時30分、職場閉鎖公告を掲げ労組員が会社に入れないようにした。5月19日慶州地裁が労働組合が請求した‘職場閉鎖効力停止仮処分’を認容する決定を下すなり会社は昨年5月25日 職場閉鎖を撤回した。99日かかった。
職場閉鎖を解き覚書署名強要
会社は前現職労組幹部、労災療養経験者、障害等級者など58人の労働者に対して‘自宅待機発令’を下し、しばらく業務復帰させなかった。代わりに職場閉鎖前後に‘会社の名誉を失墜させず会社に対するアンチ的な行動をしない’という誓約書にサインをした職員に限り順に業務に復帰させた後、これら職員を対象に‘合宿労働’を施行した。
チョン・ヨンジェ バレオ電装 前労働組合支会長は「‘労組のために会社に危機が訪れた’‘世の中が変わっているのに労組は反対に進んでいる’等の内容の教育を受けさせ、更衣室に段ボールを敷いて寝させるなど、会社が強制収用所のようだった」と主張した。
会社が金属労組脱退投票を主導
合宿労働期間中、金属労組脱退投票も進められた。昨年5月19日と6月7日の二度にかけてバレオ電装では金属労組傘下産別労組から企業別労組に切り替える‘組織変更投票’が実施された。 会社はチョン・ヨンジェ当時労組支会長の代わりに‘組合員のための組合員の集い’のチョン・ホンソプ氏を代表として前面に出し投票を強行した。組合員の95%が‘金属労組脱退に賛成’し、チョン・ホンソプ氏は新労組支会長になった。
これに対し前労組は‘無効請求訴訟を進行中だ。訴訟を受け持っているキム・テウク弁護士は「投票のための総会公告が会社側の指図を受けた資格のない人によって行われ、投票もやはり部署別に投票箱が分けられているなど秘密投票が不可能な状況だった」として「何より会社が労働者を合宿させ精神教育をした渦中で投票が実施されており、この投票の有効性を認めることはできない」と話した。
文・写真 パク・スジン記者 jin21@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/481975.html 訳J.S