原文入力:2011-04-22午後08:04:48(2037字)
KEC・錦湖タイヤなど5社労組幹部・組合員910人に
5ヶ月間に750億ウォン損害賠償訴訟…双龍車含めれば何と1000億
給与通帳の他に住居まで仮差押さえ 労働者ら家族破綻の危機
キム・ソヨン記者
使用者側の損害賠償請求と仮差押さえが労働者をますます強く締めつけている。8年前に巨額の損害賠償訴訟が労働者たちの相次ぐ自殺を呼び起こし、訴訟を自制することにした労使合意が水泡となっている。
22日<ハンギョレ>が労使葛藤を経ている代表的な事業場5ヶ所を確認した結果、最近5ヶ月間に請求された損害賠償金額が750億ウォン余りに及ぶと集計された。KEC 301億ウォン、錦湖タイヤ 179億ウォン、現代自動車(社内下請け業者含む) 200億ウォン余り、韓進重工業 53億7700万ウォン(高空籠城中であるキム・ジンスク組合員に対する罰金9600万ウォンを含む)、才能教育 20億ウォンなどだ。損害賠償に関わっている労組幹部と一般組合員は910人余りに達する。
2年前、整理解雇に対抗したストライキの責任を問い双龍自動車労働者たちに請求された232億ウォン(会社100億,保険会社110億,国家22億ウォン)まで含めれば損害賠償額は1000億ウォンに肉迫する。
巨額の損害賠償請求訴訟に追い立てられた労働者は生存権まで脅威を受けている。賃金削減と請負化等で葛藤を経ている錦湖タイヤの場合、損害賠償訴訟に続き、労組幹部28人を相手に41億ウォンの仮差押さえまでかけた状態だ。この会社のキム・ポンガプ労組委員長は「給与通帳と自宅に差し押さえがかけられていて労組幹部らの苦痛が並大抵ではない」とし「うつ病で病院に入院したり、離婚の危機に置かれた人もいる」と話した。
才能教育解雇者のユ・ドクキュ学習誌労組事務局長は、今暮らしている家が競売に渡る危機に処した。会社は20億ウォンの損害賠償訴訟と共に集会などを禁止しろとの仮処分申請を出し、昨年12月には仮処分違反行為に対する強制執行が決定された。ユ処長は「競売決定により家族がとても驚いている」として「崖っぷちに追いやられる感じ」といった。
KECは‘労組活動を理由に損害賠償請求、仮差押さえをしない’との団体協約を結んでいながら301億ウォンの損害賠償を請求した。損害賠償を請求した会社は「労組の不法行為により莫大な被害をこうむった」とし「損害賠償・仮差押さえは正当な手続きを踏んで進行する」と明らかにしている。
労働現場で損害賠償・仮差押さえは敏感な問題だ。去る2003年、斗山重工業労働者ペ・タルホ氏は損害賠償・仮差押さえの不当さを訴え焼身自殺し、同年10月キム・ジュイク韓進重工業労組委員長、イ・ヘナム セウォンテック労組委員長も相次ぎ自ら命を絶った。当時、労・使・政は損害賠償・仮差押さえを自制しようという社会的合意までしたが、労働現場では全く守られていない。
労働現場で使用側が損害賠償・仮差押さえを乱発する背景には、労働者が合法ストライキをすることが非常に難しい現実がある。かなりのストライキはみな‘不法’と見なされ、使用側は‘不法ストライキ’であることを前面に掲げ法的対応を日常的に行っている。韓進重工業は去る2月、希望退職230人、整理解雇170人など400人を構造調整した。整理解雇は労働者の生存権に直接的な影響を及ぼすが、この問題でストライキをすれば不法になる。労組関係者は「一日で働き口を失うことになるのに、どこの誰がそのまま受け入れられるだろうか」として「他にできることがないから不法だと思いながらもストライキをし、座り込みもする」と話した。現代自動車社内下請け労働者が最高裁判決により正規職化を要求してストライキを行ったが、これもまた不法だ。
現行‘労働組合および労働関係調整法’は‘賃金・勤労時間・福祉など勤労条件を決めるに当たり主張の不一致により発生した紛争’だけが合法ストライキと見ている。政府と裁判所は構造調整、民営化、整理解雇などは経営権に該当する問題なので、これを阻むためのストライキはできないと解釈している。
民主労総法律院のクォン・トソプ弁護士は「合法ストライキをするのが‘空の星をつかむこと’ほどに難しい現在の状況で、労働現場の損害賠償・仮差押さえが労働基本権のスト権を抑圧し労組を弾圧することに主に活用されている」として「唯一韓国で損害賠償・仮差押さえが激しい理由は、スト権を否定する社会的雰囲気がある上に、裁判所が訴訟で非常に簡単に使用者側の主張を認めてやるため」と話した。 キム・ソヨン記者 dandy@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/474430.html 訳J.S