原文入力:2011-04-18午後09:48:09(2091字)
‘圧力・温度 制限曲線’‘加圧熱 衝撃’告示せず
原子力安全技術院 "規制緩和のせいで改正推進 中断"
国内環境 模擬実験せずに米国基準をそのまま使用
寿命延長規定 作る時‘古里1号機 例外’適用も
キム・グァンス記者
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古里原子力発電所1号機は安全か
設計寿命(30年)を10年さらに延長して稼動していたが、最近故障して停止した古里原子力発電所1号機に適用された核心機器の安全性審査規定がおざなりだという指摘が出ている。専門家と環境団体らは原子力発電所寿命を延ばし運転しようとするなら、厳格で明確な基準を設けて安全性適合可否を判定しなければならなが、核心機器である‘原子炉圧力容器’(<絵>参照)の安全性基準の一部は政府告示にも明示されていない上、米国規定を20年近く適用してきた点などを問題に挙げている。また、古里1号機だけに寿命延長申請規定を緩和した点も疑問を大きくしているという指摘だ。
■政府告示にもない基準
18日、チョ・ギョンテ民主党議員が公開した教育科学技術部の‘古里1号機安全性最終評価報告書’によれば、古里1号機は原子炉圧力容器の△最大吸収エネルギー△圧力・温度制限曲線△加圧熱衝撃など3つの安全性評価基準を全て満たした。3つの基準は韓国原子力安全技術院(KINS)が設定したものだ。これを根拠に教科部は2007年6月、寿命が終わる予定だった古里1号機の寿命を2017年6月まで延長した。
しかし、教科部長官告示には3基準の内、最大吸収エネルギー部門だけが明示されている。原子炉圧力容器を作った時の圧力・温度と差が大きければ原子炉に異常があると見ることができる圧力・温度制限曲線と加圧熱衝撃基準は抜けており、原子力発電所事業者である韓国水力原子力(株)が米国原子力規制委員会(NRC)等の基準を適用した報告書を教科部に出せば良いことにした。
韓国原子力安全技術院の高位幹部は「(古里1号機寿命延長審査を控えた2000年代中盤に)国民の不安感を減らすため、2種類の基準も教科部長官告示に入れる改正を推進したが、当時政府の‘規制緩和’方針に押され中断した」と打ち明けた。
■米国基準ならば安全?
韓国水力原子力側は古里1号機が米国や国際原子力機構(IAEA)の評価基準を充足した上に古里1号機のような機種が米国では設計寿命が40年であるため延長稼動に問題がないという主張をしている。
だが、匿名を要求した首都圏大学のある教授(原子核工学科)は「原子炉が同じでも国ごとに気候と地形などが異なるため実際に原子炉を運転する過程で予想できない事故が起きることもありうる」として「シミュレーション(模擬実験)等をせずに他国の基準をそのまま適用することは危険だ」と警告した。彼は「米国は1980年代以後、原子力発電所16基を延長稼動中である程に経験が豊富だが、我が国は古里1号機が初めて」としつつ「以後、後に続く月城1号機などの寿命延長評価時は脱落した2種類の基準を含め韓国型標準告示を作らなければならない」と強調した。
核燃料を覆っている原子炉圧力容器の‘最大吸収エネルギー’許容基準と関連した教科部長官告示も論議の的だ。教科部が1992年に初めて用意した‘原子炉圧力容器試験基準’によれば、圧力容器炉心部位の最大吸収エネルギーは‘破壊検査’で許容基準(68ジュール以上)を満足するよう規定している。しかし、これを充足できなければ‘非破壊検査’をすることができるよう既定している。古里1号機は破壊検査で許容基準を通過できず非破壊検査を経て10年追加運転の許可を受けた。
■ 1年ぶりに審査後、延長許可
原子力法は古里1号機の寿命延長が可視化した2005年9月に原子力発電所の閉鎖規定と共に寿命延長規定を追加した。この時、政府は原子力発電所を延長稼動しようとするには原子力発電所事業者が寿命完了の2~5年前に評価報告書を政府に出すように定めながらも、例外を設けた。法改正日基準で寿命が3年以内に終わる原子力発電所、すなわち古里1号機は寿命日から1年前までに評価報告書をだせば良いようにしてあげたのだ。韓国水力原子力は‘古里1号機の寿命延長評価報告書’提出締め切りを2日後に控えた2006年6月に評価報告書を教科部に提出し、2008年1月に10年の延長使用許可を受けることができた。
チョ・ギョンテ議員は 「寿命を全て終えた原子力発電所で事故がおきれば、途方もない被害が予想されるにも関わらず、1年で評価報告書を作成できるよう緩和したことは国民の安全より原子力発電所事業者側の利害を多く考慮した処置」と指摘した。 釜山/キム・グァンス記者 kskim@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/473656.html 訳J.S