原文入力:2011-04-18午後10:40:11(2183字)
現代車契機に見た‘正規職利己主義’
キム・ソヨン記者
大企業労組の‘利己主義’は昨日今日の話ではない。現代自動車正規職労組が最近‘長期勤続者の子弟 優先採用’を要求する内容の団体協約を推進していることが明らかになり再び火がついただけで、すでに現場では‘警告音’が鳴り始めて久しい。
自動車と造船など、大企業労組が持ちこたえている事業場には非正規職があふれている。現代車には8000人余りの社内下請け労働者が常に雇用不安を感じながら正規職賃金の60%ほどを受け取り仕事をしている。 造船所には下請け労働者が正規職より多いところが幾つもある。 大宇造船海洋の場合、正規職が1万2600人なのに下請け労働者は1万4812人だ。
景気が悪くなり生産量が減れば優先的に解雇される側は非正規職だ。民主労総傘下金属労組関係者は「2008年経済危機の後、2~3年間 現代車とGM大宇自動車では各々1000人余りの下請け労働者が追い出された」と話した。正規職労組の黙認の下、景気が良い時は働き口を下請けで満たし、状況が悪くなれば下請け労働者を先に送りだすなど非正規職は雇用の‘緩衝地帯’の役割をしている。
大企業正規職労組の利己主義は社会安全網が脆弱な状況で雇用不安に対する恐れを感じる正規職らの間に‘労組が力があり雇用が安定的である時に最大限取れるものを取っておこう’という実利主義が広がり より一層激しくなったという分析だ。 1997年外国為替危機をたどりながら整理解雇が導入された後、我が国社会でも‘一生の職場’という神話がこわれた。1998年現代車整理解雇を始まりに2001年大宇自動車、最近では双龍車、韓進重工業などで正規職がぞろぞろ職場を失った。GM大宇自動車労組関係者は「最近、日本の地震のために部品調達が難しく、2週間 工場が正常運営できなかった時、組合員がものすごく不安に思った」として「2001年整理解雇の傷が組合員らにほとんど‘烙印’のように捺されていて、非正規職にまで気遣うのが難しい構造」と話した。
正規職は‘ここで押し出されれば終わり’という不安感を持っている。昨年、韓進重工業から希望退職したパク・某氏は 「一度正規職から押し出されれば再び正規職として仕事をすることはできない」 として 「現在、下請け業者を転々としている」と話した。韓国労働研究院が出した‘社会的排除の視角で見た非正規職雇用’報告書を見れば、‘労働パネル’ 1998~2005年資料を通じて8年間の非正規職労働者の働き口移動現況を調査した結果、62.7%が非正規職から抜け出すことができていないことが分かった。正規職転換は12.8%に留まり20.3%は失業状態だった。非正規職が正規職へ行く‘橋’ではなく‘泥沼’になっているということだ。 労働パネルは1998年から毎年 同じ標本(5000世帯)を対象に経済活動有無を追跡する縦断世帯調査だ。
20年以上にわたり維持されてきた企業別労組体系も、大企業正規職労組の利己主義の原因という指摘が出ている。産業別労組が拡大してはいるものの、大企業労使は相変らず企業別交渉に重心を置いている。企業別体系では賃金や労働条件など該当事業場の勤労条件問題が主要議論対象だ。現行労働組合法も企業別労組に合わされている為に、正規職労働者が非正規職問題や社会政策と関連した闘争をすれば不法だ。雇用不安を覚えている40~50代正規職が‘不法’を甘受し闘争することは容易でない構造だ。
だが、力のある大企業労組が実利主義だけに埋没しながら、結局 労働界全体の力は弱まっている。労組組織率は1989年の19.8%から2009年には10.1%まで落ちた。非正規職は800万人を越えたが組織率は2%に留まっている。国民所得の中で労働者の持分と見ることができる‘労働所得分配率’は2006年の61.3%から昨年は59.2%まで落ちた。労働界全体の力が弱まる中で個別事業場中心に対応をしてきた結果、双龍車と韓進重工業など整理解雇の前では全く対応無策になるほかはない。
これに伴い、非正規職との連帯を強化しなければならないという指摘が出ている。 金属労組は‘1社1労組’を原則としている。実際、起亜車は2008年正規職労組に非正規職が加入して一つになった。2008年、経済危機当時 現代車とGM大宇車で非正規職が大量に解雇されたが起亜車はこれを回避した。キム・スンオン起亜車労組政策室長は「下請け労働者が組合員なので正規職が彼らの雇用に責任を負うのは選択ではなく必須となった」として「経済危機状況で構造調整が予告されたが、非正規職と正規職が連帯して危機をうまく乗り越えることができた」と話した。起亜車下請け労働者は3500人余りだが、この内 2500人が組合員だ。イ・ギョンフン現代車労組委員長も‘1社1労組’を公約に掲げて当選したが、未だ何の動きもない状態だ。 キム・ソヨン記者 dandy@hani.co.kr
原文: 訳J.S