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「社会の無関心が彼らを死に追いやる」

原文入力:2011-04-06午前11:00:24(1150字)
双龍(サンヨン)自動車 労働者の治癒を始めたチョン・ヘシン博士

イム・ジソン記者

←チョン・ヘシン精神科専門医

チョン・ヘシン(写真)精神科専門医が3月26日、「双龍自動車の労働者集団治癒プログラム」を始める時に最初に発した言葉は「すみません」であった。この日 平沢市(ピョンテクシ)市役所で会った13人の労働者とその家族は、全員が死について語った。「自殺する夢を見て起き上がり泣いていると夫も起き上がって一緒に泣きました」、「ハッとして気が付くと、ネクタイで首をくくっていました」、「しきりに子供に暴力を振るようになってしまった」…一日中続いた相談は涙・涙であった。 「そんなのは自分だけだと思っていた」と言って労働者たちが手を取り合って泣けば、「今ごろになってやっと訪ねてきた申し訳なさ」で医師も一緒に泣いた。

長いこと拷問被害者のための集団治癒プログラムも行なってきたチョン・ヘシン氏は「両者の苦痛は根源が同じだ」と言う。 「拷問被害者は不当にもスパイにでっち上げられ、ひどい拷問にあったあげく家に帰ってきた後も、ねぎらいどころか周囲の人々にアカ呼ばわりされることが多かった。一方、双龍自動車の労働者は、巨大な構造調整に対抗して力に余る困難な闘争を行なった結果、社会的なねぎらいどころか烙印を捺されて暮らさざるを得ず、その点が彼らを死に追いやる最も大きい理由だ」 と。

チョン・ヘシン氏は去る2月、サンヨン自動車の組合員イム・某(44)氏の死亡の消息を聞き「治癒プログラムが至急必要だ」と考え、平沢に駆け付けた。サンヨン自動車の労働者とその家族の12人目の死だった。イム組合員の妻はすでに昨年4月 自ら命を絶った。 チョン氏は「耐えられないほどの限界的状況にさらされており、彼らの死は全て予測可能なものだった」として「現在も、そのうちの誰が死んでもおかしくないほど絶望的な状態にある」と語った。

毎週土曜日、治癒プログラムが終るとチョン・ヘシン氏はツイッターに双龍自動車の労働者の話を載せ、他のユーザーたちに“リツイート”を要請する。「双龍自動車の労働者たちをくじけさせるのは、他でもない社会の無関心だ」として「サンヨン自動車の労働者たちの苦しみを世の中に知らせ、彼らがせめて息をつけるように努力するつもりだ」と言った。彼女は8週間の相談プログラムが終った後、彼らの苦しみをそっくりそのまま溶かし込んだ報告書を出す計画だ。

イム・ジソン記者

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/471547.html 訳A.K