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(韓国)原発作る土地、安全性検査より先に住民署名を集める国

原文入力:2011-03-28午前08:27:48(2130字)
‘核危険社会’に駆け上がる大韓民国①原発増やす政府
稼動中の原発 21基、建設中 7基、計画中 10~12基
科学的検討結果の公開せずに補償を前面に掲げ
社会的合意は省略…隣接地域と葛藤の原因

パク・ジュヒ記者

日本、福島原子力発電所から拡散している放射性物質は私たちに‘核依存か、核脱皮か’という問いを投げかけている。全世界は原発政策を再検討している。2024年までに原発13基を新たに建て、電力量の半分を充当する‘原子力ルネサンス’を宣言した韓国でも、核依存を省察する声が相次いでいる。新規原発と原子力代案論を巡る論難、そして原子力社会の未来を顧みる。

日本、福島第1原子力発電所事故を契機に原子力発電所の安全性に対する憂慮が高まり、各国で‘脱原発’気流が広がっているにも関わらず、国内では政府が住民受容性を原子力発電所立地選定の核心基準とし、原子力発電所拡大政策を継続している。

現在、国内に商業運転中の原発は合計21基であり、7基が建設中だ。李明博政府は2030年までに原子力発電所10~12基をさらに建設する計画を立てた。2008年8月第一次国家エネルギー基本計画を確定し、原発発電比重を59%まで増やすことにしたことに伴うものだ。

原発事業者である韓国水力原子力(株)(韓水原)は新しい原発誘致申請をした江原三陟、慶北蔚珍・霊徳など3ヶ所を対象に実態調査を実施している。韓水原側は△住民受容性△費用の側面を見る建設適合性△地質や地盤特性を考慮した敷地安全性△陸地や海上など環境に及ぼす影響を検査する環境性など4種基準の下に評価していると明らかにした。韓水原は来る6月に候補地を選定した後、住民意見収斂過程を経て来年末に建設予定敷地を告示する予定だ。

こういう原発建設計画に対して環境団体と学界は候補地の安全性と原子力発電所の場所選定方式の問題点など、大きく二つの側面で憂慮を表している。チ・ホンチョル韓国地質資源研究院地震研究センター責任研究員は「韓半島にある沃川・梁山・チュガ嶺断層など3ヶの断層帯で絶えず地震が起きており、規模6.5以上の地震が起きる可能性がある」と話した。イ・ジンハン高麗大地球環境工学科教授は「原子力発電所が建っている4ヶ所(釜山機張郡、慶北蔚珍郡、慶州市、全南霊光郡)は活性断層の詳細な調査がなされたが、その他の地域では全く調査されていない」として「原子力発電所や放射性廃棄物処理場(廃棄場)の場所を決めるには活性断層調査から始めることが正しい」と指摘した。1994年12月、政府は仁川、甕津郡‘掘業島(クルオプド)’を廃棄場の場所に決めたが、周辺海底から活性断層が確認され廃棄場建設計画が白紙化されたことがある。

韓水原は候補地に対する科学的検討結果を出さないので、安全性論難をより一層大きくしている。韓水原は1年近く‘新規原子力発電所立地確保のための政策樹立用役’をしたとしながら、その結果は公開していない。

それと共に科学的な立地条件より住民同意水準を優先する選定方式に固執している。イ・ホンソク エネルギー正義行動代表は「原子力発電所誘致申請を行った地域住民たちさえ科学的安全性の検討結果だけでなく原子力発電所何基をいつ建設するのかのような基本的な情報も提供されないままに誘致賛否を尋ねるアンケート調査に応じた」として「科学的に適合した立地条件を備えた地域の住民受容性を問い詰めるのではなく、住民たちの中で賛成世論を作った後に立地条件を絡めあわせる方式で定めようとしている」と話した。

その上また、原子力発電所誘致の代価として巨額の支援金という‘ニンジン’も提示している。140万kW規模の原子力発電所2基ができる自治団体は1000億ウォン台の支援金を受け取り原子力発電所運用期間中は政府支援金と事業者支援金など年間240億ウォン程度が支援される。住民たちの原発誘致賛成率は大規模支援金と地域開発に対する期待心理が反映された結果である。

金銭的補償を前面に掲げた結果、十分な社会的合意過程が省略され地域葛藤の原因になっている。江原、三陟市では原子力発電所立地候補地である近徳面住民たちが原子力発電所誘致アンケート調査の結果がわい曲されているとし反発するかと思えば、北側に隣接した東海市側と葛藤を生じさせている。東海市議会は「隣接地域住民の生命と健康、生存権を考慮していない三陟市の原発誘致計画は撤回されなければならない」と主張した。
ヤンイ・ウォンヨン環境運動連合エネルギー気候局長は「社会的合意が必ず必要な事業に責任ある政府当局は外れ、原発事業者である韓水原が支援金で地方自治体を統制している方式では公正で合理的な手続きを期待できない」と話した。

大邱/パク・ジュヒ記者、イ・グンヨン、イ・スニョク記者 hope@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/470181.html 訳J.S