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"元旦を過ごしてきたら店が消えていた" あきれる

原文入力:2011-03-12午後01:47:15(2696字)
追い出される道林洞の借家人たち…再開発組合 "撤去は正当"
移住反対借家人ら 同意なき建物撤去は厳然たる不法

←ソウル、永登浦区、道林洞で秤を製造する仕事をしてきたチャン・スンスン(54)氏が目隠し幕の向こう側の建物が撤去された跡を見ている。 ホ・ジェヒョン記者

 #1.ソウル市、永登浦区、道林洞で8年間、店を賃借して秤店を営んできたチャン・スンスン(54)氏は最近、青天の霹靂のようなあきれた目にあった。去る2月7日、ソル(旧正月)を過ごした後、店に立ち寄ったところ2階建て店舗がまるごと取り壊されていた。チャン氏の店に保管中だった秤部品と金型枠組みなど約3千万ウォン分の物品まで跡形もなかった。

 チャン氏は‘道林第16区域住宅再開発整備事業区間’にある商店街で2003年7月から店を営んできた。チャン氏の店は昨年8月、鑑定評価で1100万ウォン程度の補償金だけを策定され、彼は建物撤去に同意せずにいた。

 チャン氏は再開発組合を訪ね‘無断建物撤去’に抗議したが、組合は「建物主が‘建物が空いた’という工価確認書を書いたので撤去した」とし責任を回避した。建物主であるチョン・某(80)氏は借家人の同意なしに空家確認書を書いた理由について「組合が‘書類を作成して初めて移住費を貸し出しすることができる’と言うので何の考えもなしに書いただけで撤去に同意したつもりはなかった」と話した。

 チャン氏は自身の店が入居していた建物が取り壊される間、撤去業者、組合、家主のいずれからも電話一本受けることができなかった。彼は「このように無念な目にあったが、どこに訴えれば良いかもわからない」として「なぜ龍山撤去民たちが望楼を作り登って戦ったのか理解できるようだ」と話した。

 #2.やはり同じ地域でインテリア店を営んできたチョン・キテク(54)氏も昨年12月、借りていた1階建物が突然撤去される目にあった。看板材料とエアコンなど約1500万ウォン分の物品も一度に消えた。
 2000年11月からこちらで営業してきたチョン氏も補償金に満足できず撤去に反対していた。チョン氏は再開発組合に行き抗議したが「家賃が7年間たまっていたし、建物もやはり組合の所有に変わっており撤去は正当だ」という答弁を聞いた。チョン氏は民事上損害賠償訴訟と再開発組合長キム・某氏に対する刑事告発を計画している。

 ソウル、永登浦区、道林洞16区域住宅再開発整備事業過程で再開発組合と撤去業者が移住に反対する借家人らの店と建物を頑として撤去し、住民たちと葛藤を生じさせている。再開発組合側は「チャン氏の建物の場合、既存建物主の同意を得て永登浦区庁に(建築物撤去のための)滅失申告をしたし、チョン氏は家賃が滞った状態で建物を無断占有してきたので撤去に問題はない」と主張している。

←ソウル、道林洞再開発地域で営業をしてきた商店借家人20人余りは撤去に反対し座り込みを行っている。 ホ・ジェヒョン記者

 しかし移住に反対する借家人らを対象に明け渡し訴訟を経ずに建物を撤去することは厳然たる不法だ。龍山惨事を体験した後、2009年5月に改正された‘都市および住居環境整備法’は第49条で‘損失補償が完了していない建物に対しては借家人もやはり権利を行使することができる’と規定している。クォン・ジョンスン弁護士は「明け渡し訴訟で組合が勝訴しない以上、厳然として借家人に合法的な使用所有権があり、こういう状況での撤去は不法」と話した。 クォン弁護士は「借家人が作成しなければならない‘空家確認書’を家主から代わりに受け取り借家人には何ら通知もしないままに建物を撤去した組合長は建造物侵入罪と財物損壊罪疑惑で告発対象だ」と付け加えた。

 建物が取り壊された借家人たちは空の建物ではないのに再開発組合の建築物滅失申告を受け付けた永登浦区庁にも不満を提起している。区庁が滅失申告過程で几帳面に空家確認書などを検討しなければならなかったにもかかわらず管理をおざなりにしたということだ。実際、永登浦区庁は取材がなされた去る2日まで借家人の同意なしに建物がむやみに撤去されている事実も把握できずにいた。 永登浦区庁住宅課関係者は「建築法上、建物主が滅失申告をしてくれば接収するということだけで、区庁が本当に建物が空いたかまで確認して受け付ける義務はない」と話した。

←ソウル市、永登浦区、道林洞のアパート再建築現場。撤去業者と再建築組合が撤去に反対する借家人の商店街を無理やり撤去し物議をかもしている。 ホ・ジェヒョン記者。

 これに対して再開発地域撤去民権利保護団体‘分かち合いと未来’イ・ジュウォン局長は「区庁が法に違反して滅失申告を受け付けた訳ではないが、もう少しきっちり確認し撤去民の財産被害を防ぐべきだった」とし「龍山惨事以後、再開発過程で起きる問題に対する社会的関心が高い状況で相変らず地方自治体公務員たちが安易な認識をしている」と批判した。

 再開発地域で撤去に同意しなかった住民たちの建築物がむやみに撤去される事態は今も深刻なほどに広まっている。イ・ウンジョン民主労働党119民生希望運動本部部長は「2008年上道洞と2009年阿峴洞再開発事業でも同じ事態が起きたが、2011年にも全く同じことが道林洞で起きた」とし「ソウル市で行政指針を用意し建築物滅失申告過程を強化する必要がある」と指摘した。

 この地域では建物を強制的に撤去された人々の他にも補償費問題で組合と葛藤を生じさせている商人20人余りが非常対策委員会を設け座り込みを行っている。チョン・ドンフン‘道林16区域再開発商店街非常対策委員会’委員長は「火炎瓶を投げデモをしなければ私たちの声を聞こうとしない現実に胸が痛む」として「強制撤去に対抗して最後まで戦う」と主張した。

 ‘ソウル、道林洞第16区域住宅再開発整備事業’は道林洞一帯53,378m2区間に8棟のアパート団地を作る事業で、2009年12月31日に管理処分認可が出た。 撤去はサムオジン建設が受け持っている。GS建設が施工者だ。

文・写真/ホ・ジェヒョン記者 catalunia@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/467753.html 訳J.S