原文入力:2011-02-16午後09:30:35(1692字)
「政府批判の処罰に悪用された名誉毀損罪、刑法から削除すべき」
「公共機関、名誉毀損民事訴訟を控えるべき」
「オンライン検閲の憂慮」 放送通信審議委員会廃止を勧告
ソン・ジュンヒョン記者
国連のフランク・ラルィ“意思・表現の自由”特別報告官が韓国政府に伝達した報告書の草案は、イ・ミョンバク政府のスタートおよび2008年のロウソク集会以後、表現の自由を大幅に制約するようになっている国内人権状況に対する憂慮が盛られている。 特に世界最高のインターネット普及率を誇る韓国において意思表現の制約と集会の自由萎縮、国家人権委員会の地位低下など表現の自由が総体的に後退していることを指摘して、表現の自由を締めつけている処罰と起訴の乱発を批判した。
■刑法の名誉毀損罪削除を勧告
ラルィ報告官は狂牛病発病が疑われる“米国産牛肉”の問題を報道した<文化放送>の番組「PD手帳」製作スタッフの逮捕などを例にあげ、「公益のための表現に名誉毀損罪を適用した多数の刑事訴訟が、政府を批判する個人を処罰するために用いられている」として「名誉毀損禁止規定が民法にも明示されているので刑事上の名誉毀損罪は刑法から削除すべきだ」と勧告した。
また、国家情報院がパク・ウォンスン“希望製作所”常任理事を相手に名誉毀損による損害賠償請求訴訟を起こした事に言及して「公職に対する国民の監視という次元から、公務員と公共機関は名誉毀損と関連した民事訴訟は控えるべきだ」と明らかにした。“民主社会のための弁護士会”のユ・ジェソン事務次長は「後になって無罪判決を受けても、起訴されるだけでも表現の自由が萎縮するので、刑法の名誉毀損罪は削除されるのが当然だという趣旨」だと説明した。
ラルィ報告官は“ミネルバ事件”のようにインターネットでの意思表現にクツワをはめるのに悪用された電気通信基本法に対し憲法裁判所が昨年12月に違憲決定をしたことを歓迎した。 しかし彼は「情報通信網法第44条の7で“不法オンライン情報”を曖昧且つ広範囲に規定していて意思・表現の自由権行使が萎縮している」として、もう少し明確に関連法を改正しなければなければならないと勧告した。 インターネット実名制に対しても身元確認手段の改善を検討し、身元確認対象者が犯罪を犯すと判断するだけの相当な根拠がある時にのみ適用しなければならないという立場を明らかにした。
■放送通信審議委および保安法第7条の廃止を勧告
ラルィ報告官は名誉毀損や国家機密を漏洩する情報など情報通信網法上流通が禁止されている情報に対し放送通信委員会が取り扱い拒否・停止を命令できるという点を憂慮して、制裁可否を事実上決定する放送通信審議委の廃止も勧告している。 大統領任命の委員で構成される放送通信審議委がオンライン上の政府批判的内容を削除する事実上の“検閲機構”として機能する恐れがあり、これを防ぐ安全装置も不十分だというわけだ。
報告書はそのほか、事実上“許可制”で運営されている集会の自由と公立学校教師の政治的意思表現の自由を保障せよと勧告し、北韓に対する讃揚・鼓舞行為を処罰するようになっている国家保安法第7条の廃止も勧告している。 ラルィ報告官は最後にイ・ミョンバク政府になって国家人権委員会が「裁判所の判決が下りていない」という理由で必要な決定を採択しないでいる状況に対しても憂慮を表明した。
キム・ヒョンワン前人権委政策課長は「口さえ開けば先進韓国を叫ぶイ・ミョンバク政府が、国連人権理事国でありながら国際人権社会で大きな恥をかいた」として「国家人権委が自らの役割だけでも忠実に果たしていたならば、国際的恥さらしは避けることができただろう」と残念がった。
ソン・ジュンヒョン先任記者 dust@hani.co.kr
原文: 訳A.K