原文入力:2011-02-08午後09:12:41(2724字)
放文振(放送文化振興会)、16日の新社長決定を前に再任に重き置く
視聴率至上主義強化・権力批判弱化の展望
本社労組員の92%、地方社労組員の96%が“再任反対”
イ・ムニョン記者
16日になれば<文化放送>(MBC)を今後3年間率いていく新社長が決定される。 MBC内外ではキム・ジェチョル社長再任の可能性が高いと予想している。キム社長の再任が確定すれば、“番組「PD手帳(ディレクターの手帳)」の放映中止事態”および“視聴率至上主義”に象徴される彼の経営方針が一層力を得るだろうという展望が優勢だ。
MBCの大株主である放送文化振興会(放文振)は9日、新社長候補者の公募受付を終える。10日の書類審査および候補者3倍数までの圧縮を経て、16日の面接で最終内定者を確定する計画だ。
よくやったからというよりは「代案がない」というのが、キム社長再任に重きを置く根拠だ。社長候補として名前が挙がる人は、キム社長選任の際に名前の挙がっていた人物群を抜け出せずにいる。 放送文化振興会(放文振)のある理事は「キム社長を好ましく思っていない理事が多いけれども、ふさわしい人物がいないので、突発的な変数がない限りほとんど再任させる雰囲気だ」と伝えた。
“キム社長の1年”に対する社内評価ははるかに冷酷だ。 先月ソウル本社の組合員663人を対象にした労組アンケート調査の結果、92.4%がキム社長再任に反対した。 組合員の回答の多くは、キム社長就任後、ニュースと時事報道番組が不公正になり(88.1%)、製作・実務上の自律性が萎縮し(93.2%)、“忠誠派”を重用する人事を行なった(59.2%)、といったものだった。 地方MBCの組合員757人が参加したアンケート調査でも“再任反対”を選んだ組合員は95.5%だった。 ソウル・地方を合わせれば再任反対率は94%に達する。
冷淡な視線は組合員だけではない。 ある幹部は「社長が年初に組織和合の話をした時、後輩を大量懲戒しておいて何の和合かという不満が幹部の間に多かった。 それだけでも社長に対する評価の一端を見ることができるのではないか」と反問した。
キム社長就任と“左派大掃除”(キム・ウリョン前放文振理事長の発言)により、MBCもKBS(韓国放送)が歩んだ道を同じように辿っているという指摘が多い。「構成員の深刻な反発(労組の39日間スト)→報復人事問題(イ・グンヘンとチョン・デギュンの解雇およびスト参加者大規模懲戒、社長批判声明署名者昇進脱落)→番組改編(『フープラス』・『W』の廃止) および番組介入(『PD手帳:4大河川篇』放映中止問題)→政府批判の声縮小」という同じメカニズムを踏んでいるという話だ。
結果は“権力との緊張の弱化”(報道局のある記者)として現れている。その“‘兆候”は多様だ。
キム社長本人が企画したと言われているイ・ミョンバク大統領の広報的な番組がまず議論になった。先月28日に電波に乗った「生涯最高のプレゼント--大統領専用列車に夢と希望をのせて」(実際の行事は12~13日)は、障害者児童および多文化家庭の子供たちを大統領専用列車に乗せて1泊2日の慶州(キョンジュ)旅行に行くというプログラム(MBC主催)を放映したものだ。 大統領府は「この旅行は大統領専用列車内の大統領執務室訪問、大統領の激励動画視聴、などのプログラムで構成された」という報道資料を出しもした。
「ニュースデスク」がイシューの本質を掘り下げるよりは“視聴率の罠”にかかって社会的葛藤のある懸案を冷遇しているという憂慮も広まっている。 労組は「庶民のための予算案や口蹄疫、貸切住宅難、民間人査察問題、人権委員会の事態などには知らん振りをしたり、(ニュースデスクで)扱ったとしても非常に冷遇されている反面、視聴率を理由にスポーツ・芸能人の消息は連日前進配置されている」と批判する。 非報道局のある幹部も「ニュースの脱政治化が深刻だ。 芸能番組の亜流のように戯画化されている」と皮肉った。
最近表面化した労組との団体協約解約事態は、MBCを1年前と似た状況にまで追い込んでいる。 放文振の社長内定者確定日と重なった中央労働委員会の最後の調整手続きまで成果なしに終わるならば、キム社長は再任されても労組のストライキ突入の可能性に再び直面することになる。 団体協約の公正放送担保条項(局長責任制)の改定は、MBCの政府批判報道を経営者が“管理”できるようにするという点で、キム社長の“再任策略”という分析も出てきている。 あるディレクターは「キム社長が再任されれば、ニュース・番組の視聴率至上主義と地方社統廃合および番組検閲のように、キム社長がこの1年間に見せた歩みがはるかに加速化されるだろう」と展望した。
一方、イ・ジンスク広報局長は「ストライキの影響でキム社長がまともに仕事をし始めたのは昨年4月から現在までの9ヶ月余りにしかならない。功過の評価は今年中盤以降(再任の場合)くらいに可能になるのではないか」と言い、「保守側ではMBCを指して左派放送という声も多かった。 最近の報道は均衡点を見つけようとする自己調節過程と見るべきだ」として「批判機能が弱まったという指摘には同意できない」という立場を明らかにした。
<キム・ジェチョル社長再任に関する主要日誌>
2010.2.26:放送文化振興会、キム社長選任
3.17:キム・ウリョン当時放送文化振興会理事長、『新東亜』4月号インタビューで大統領府がキム社長のとったMBCの人事に介入していたことを示唆し物議をかもす。
4.2:キム社長就任式(任期は3月2日から)
4.5:MBC労組スト突入(キム社長が報道本部長の任命を撤回する約束を破棄したため)
6.4:イ・グンヘン労組委員長とチョン・デギュン晉州MBCの労組委員長解雇など、スト参加者大規模懲戒処分
8.17:「PD手帳:4大河川篇」放映中止問題(3週後に放送実現)
11.1 :時事番組「フープラス」「W」を廃止
2011.1.14:局長責任制などを規定している団体協約の解約通告
イ・ムニョン記者 moon0@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/media/462320.html 訳A.K