原文入力:2008-12-09午前10:40:55
[ハンギョレ時事ドキュメンタリー ‘ハンキュ’]⑩
‘漢江ルネサンス’やるからと築3年の完全なアパート撤去
公共デザイン口先だけ,設計・施工など土建業者が引き受け
キム・トソン PD パク・ジョンチャン記者
“撤去民という言葉だけは聞いていたが、自分達が撤去民になるとは想像もしなかった”
漢江のほとりがひと目で見下ろせるソウル,龍山区,西部二村洞のあるアパート団地、 入居して6年にもならないアパート内の環境は快適に見えた。しかしアパート屋上から吊り下げられた長い垂れ幕からここの不吉な雰囲気を垣間見ることができた。 ‘生活の基盤を踏みにじるソウル市を糾弾する。なんともない新しいアパート撤去とはどういうことか’
アパート住民ファン・ヨンヒ(61)氏は「新しいアパートを壊して、その場に高層ビルディングを作るというからあきれて言葉も出ない」として「熱心に働き還暦を迎え、ようやくわが家をもてたのに追い出される境遇」とため息を吐いた。
←“完全な新しいアパート撤去とはどういうことか”西部二村洞アパート団地に懸かっている大型垂れ幕. <映像画面キャプチャー>キム・トソンPD
西部二村洞,漢江のほとり1千余世帯追い出される
ファン氏のみならず西部二村洞一帯アパートに住む1千余世帯が龍山国際業務地区開発事業によりアパートから追い出される境遇だ。ソウル市と龍山区はKORAILが所有する鉄道整備廠内に高さ620m(150余階)のビルを作るのをはじめとして龍山一帯をコンベンション センターとホテルなどを備えた国際商業地区として開発するという構想だ。総事業費だけで28兆ウォンが投入される大規模開発事業でオ・セフン ソウル市長の核心施策である‘漢江ルネサンス’事業とも脈が通じている。この事業計画により漢江沿いの西部二村洞一帯12万4000㎡は文化施設と住居地,公園敷地として再開発される。
しかし西部二村洞には入居3年目のドンウォンペネストアパート(120世帯)をはじめ6年前再建築竣工検査を終えたばかりのソンウォンアパート(340世帯),分譲されて10年目のテリムアパート(660世帯)等、新しいアパートが多く住民たちと摩擦を引き起こしている。住民たちは「高層ビルディングとして開発されれば分譲価格が天井知らずに跳ね上がることが明らかで、再び入居しようと思えば数億ウォンの追加負担金を払わなければならない」として「ソウル市は住民たちの同意なしに一方的に事業を推進している」と主張した。
オ・セフン市長直接出て‘伝導師’…格好だけの親環境・親文化
任期下半期に入り込んだオ・セフン市長はこの頃急に講演に出る機会が多くなった。主題は‘ソウルをデザインしろ’だ。オ市長のソウル青写真は「ソウルをきれいで魅力ある世界都市に作ろう」ということだ。これを‘デザインソウル’政策として具体化した。
オ市長は2年前、就任挨拶で「この世の全てのものはデザインであり私たちは皆デザイナー」だとして「これからデザインを持ってソウル市をよく培っていこう」とデザインの重要性を強調した。
‘デザインソウル’は無計画的で無秩序な都心開発を止め親文化,親環境を標ぼうした初めての公共デザイン事業という点で多くの注目をあびた。
クォン・ヨンゴル‘デザインソウル’総括本部長(副市長)は「産業化過程でソウルが都市としてのアイデンティティを失ってしまったが、断絶を越えてソウルを歴史と文化に結びついた脈絡的な都市に作ろうということ」としながら「外国人観光客が好んで訪ねる都市になり、市民が都市を信頼して肯定と自負心を持つことを目標にしている」と説明した。
‘デザインソウル’は漢江と南山を親環境的に再開発するいわゆる‘漢江ルネサンス’と‘南山ルネサンス’に続き、ソウルの通りのあちこちを新装する‘デザインソウルの町’,東大門一帯に作る‘東大門デザインパーク&プラザ’等の個別事業に具体化されてソウル市の核心政策の席を占めた。
ソウル市のこういう政策基調にもかかわらず、‘デザインソウル’はあちこちで利害当事者との摩擦に直面している。ソウル市は昨年12月我が国最初の総合体育施設で文化財的価値を認められた東大門運動場の撤去に続き、今年8月にはソウル市役所本館を壊した。二つの建物の保存を主張した文化関連市民団体は‘本当に親文化政策なのか’と批判した。
キム・サンチョル進歩新党ソウル市党政策局長(文化連帯活動家)は「文化政策は上で作って下におろすものではなく、底辺に広がった文化的気流を引き出し活性化することが核心」としながら「オ・セフン市長の文化政策は内容物は全く同じままで包装紙だけを美しいものに変えるに過ぎない」と酷評した。
環境団体たちは漢江を親環境的に再開発するという漢江ルネサンス事業がかえって環境と生態系を亡ぼす恐れがあると警告する。代表的なものがソウル夜間景観アップグレード事業だ。ヨム・ヒョンチョル ソウル環境運動連合運営委員長は「夜にあちこちの光を明るくしておけば眠らなければならない生物が眠れなく夜行性生物が活動できなくなる」として「生態系には大きい災難になる」と語った。
キム局長も「現在、漢江沿いの良いところはみな取り壊されていて自生的に育った芝樹木らもみななくなっている」として「‘湿地公園を作る’と言いながら既に造成されている生態環境を皆無視して無条件に新しくやりなおすという方式で接近している」と批判した。
←漢江ルネサンス鳥瞰図. オ・セフン市長は漢江だけでなく東大門運動場,南山,道路など4大ルネサンス プロジェクトを先頭にソウル市のあちこちを‘デザイン’する計画だ。<ソウル市提供映像キャプチャー>キム・トソンPD
“露店合法化すると言いながら裏では用役を雇って暴力的取り締まり”
デザインソウル政策と最も大きい摩擦を醸し出している人々は他でもない道路の零細商人たちだ。ソウル市は2007年デザインソウルの町10ヶ所余りを作ったのに続き、今年20ヶ所余りを追加で指定した。ここに投じた予算が2年間で1333億ウォンに達する。
オ市長は‘ソウルをデザインしろ’講演会でデザイン道路造成のために露天商との摩擦も避けて通らないという意を明確にした。「露店が全部整理される。今後、ソウル市で露店をしようとするならソウル市が決めた道路で、ソウル市が決めた間隔のとおり、決めたデザインで、決めた業種を、決めた時間帯にだけすることができる。」
オ市長の意志のためなのか、露店取り締まりは現場で苛酷な方式で繰り広げられていた。代表的なところが弘大前通りだ。ここがデザイン道路に指定されるや露天商らは管轄区庁の麻浦区庁と激しい摩擦を醸し出している。
先月20日区庁が雇用した用役職員らは露天商らの物品を押収しカッターでテントを切り裂くなどの乱暴を働いた。露天商らは「麻浦区がデザイン道路助成金としてソウル市が送った40億ウォンの中から2億ウォンを用役撤去班を雇用するために使った」と主張した。
露天商イ・ギョンミン(31)氏は「私たちも市民と共にしなければならないから見栄え良く歩行権も確保しようと(麻浦区庁と)交渉もしデザイン道路規格化に多くの進展があった」として「表面では露店を合法化するといいながら裏では用役を雇ってこのように取り締まり無慈悲に暴力を使っている」と悔しさをさく烈させた。
露天商1千人余りは去る1日麻浦区庁の前で「生存権を保障し用役チンピラを解体せよ」として抗議デモを行った。露天商らは削髮をして撤去作業に組織的に対応することにするなど、デザイン道路事業に対する反対の意を曲げなかった。デザイン道路造成を巡るこうした摩擦は5年前イ・ミョンバク ソウル市長が清渓川事業を推進に際し用役職員らを動員し露天商を追い出して工事を始めた場面を連想させる。
イ・スジョン ソウル市議員は「イ・ミョンバクだけが開発したのか、オ・セフンでもないようだとしながらも、あまりにも開発政策を多く使っているという主張が多い」として「そのような点が多くで現れているからオ・セフンの市政を新開発主義政策ということに同意する」と語った。
←12月1日麻浦区庁前集会途中ある露天商が「私たちも税金払って暮らしているのになぜ殺そうとするのか」として号泣している。 <映像画面キャプチャー>キム・トソン PD
‘オ・セフン票 ’政治的功績で政治的象徴効果狙い 批判も
専門家たちは国民の意識水準が高まり、大規模開発事業に対する反感が大きくなるや環境と文化,デザインなどの上着を着せた開発事業が巧妙に推進されていると話す。文化と環境が開発事業のスローガンに変質したということだ。
キム・サンチョル局長は「(デザインソウルが)当初にはデザイン専門家たちと公共デザインの概念で行うということであったのに、実際に進行されるのを見れば設計業者から施工業者まで大部分既存の土建企業等,土建事業者中心に行っている」と指摘した。
反面ソウル市は、利害当事者の問題や‘デザインソウルがデザインの外皮を使った開発政策’という批判に対して無念だという立場だ。
クォン本部長は「そのような点に非常に気を遣って仕事をしているのに時には落胆することがある」として「(デザインソウル推進過程で)避けられない産みの苦しみだと考える。公共デザインを通じて都市が先進化され革新されればその実は市民皆のもの」と強調した。
イ・ミョンバク大統領は清渓川事業を通じて大統領選挙へ行く水路を引いた。一部では‘デザインソウルがオ・セフン市長の政治的野望をデザインするのではないのか’という疑いも出ている。ハンナラ党の次期や次々期大統領候補群にオ市長の名前も抜かせない。
パク・チャングク ソウル市都市ギャラリー事業 芸術諮問監督は「清渓川事業でイ・ミョンバク氏が政治的効果を相当多く得た」として「こういう考えが相当数の為政者に広まっているのではないだろうか」と語った。
イム・トンイル西部二村洞ソンウォンアパート非常対策委員長も「オ・セフン市長がデザインソウル事業で何か政治功績を作ろうとする政治的策略」として「動機が純粋でない」と主張した。
残り任期2年余りとなったオ市長が‘デザインを前面に出して新開発市政’をしているという批判から抜け出そうと思うならば、庶民の声に耳を傾け社会的合意過程からデザインをやりなおす息ならしが必要な時だ。
動映像演出キム・トソン ディレクター kdspd@hani.co.kr,文パク・ジョンチャン記者 pjc@hani.co.kr
公示:ハンギョレ時事ドキュメンタリー<ハンキュ>は10回を最後に連載を終えます。代わりに来年上半期中に<ハンキュ シーズン2>を通じてまたお会いします。この間<ハンキュ>を見守って下さった読者の皆さまに感謝申し上げます。