原文入力:2011-01-27午後03:53:42(4427字)
裁判所 "‘民主労働党後援’教師 公務員党員ではない" 判決
検察証拠 ほとんど受け入れず…政治資金法は罰金刑
ホ・ジェヒョン記者
←民主労働党に後援支援金を出した疑惑などで起訴されたチョン・ジンフ前全国教職員労働組合委員長(左から2番目)とヤン・ソンユン全国公務員労働組合委員長(左端)等が26日、ソウル、瑞草洞のソウル中央地裁で有罪宣告を受けた後、記者会見を行い 「教師・公務員の政治的自由保障のために国民と共に戦い抜く」 と明らかにしている。前列右からイ・ジョンヒ民主労働党代表、キム・ヨンフン民主労組委員長、チャン・ソグゥン全教組委員長. イ・ジョンチャン先任記者 rhee@hani.co.kr
"教師たちが民主労働党の党員に加入したという証拠がありません。政党法違反疑惑に対し無罪を宣告します。" "教師たちの相当数(122人)が控訴時効3年が経過しており免訴(処罰しないで訴訟終了)判決をします。"
"毎月5千ウォンから2万ウォンまでの後援支援金を出し政治資金法に違反したことは認められます。しかし10万ウォンにも満たない小額寄付であることを勘案し、各々罰金30万ウォンと50万ウォンを宣告します。"
26日午後2時。ソウル中央地裁417号大法廷で息を殺して判決文を聞いていた100人余りの教師たちの口からその時初めてため息がもれた。 何人かは手をたたいたりもし、また何人かは同僚と手を取り合った。 去る6ヶ月間、学校現場ですでに罪人のように烙印を捺されて懲戒・強制転属にあってきた教師たちの名誉が回復された瞬間だった。
裁判所 "教師たち、民主労働党党員と見られない" 無罪判決
ソウル中央地裁刑事23部(ホン・スンミョン部長判事)は26日、政党法・国家公務員法・地方公務員法違反などの疑惑で起訴されたチョン・ジンフ前全国教職員労働組合委員長など教師および公務員122人に対し免訴判決し、12人には無罪を宣告した。後援支援金納付による政治資金法違反疑惑などに対しては有罪判決を下したが、検察の懲役刑求刑とは異なり30~50万ウォンの罰金刑を各々宣告した。
事実上、検察の完敗だった。当初、検察はこれら教師が民主労働党に党員として加入し不法政治活動をしてきたと主張してきたが、裁判所は検察の論理を大部分受け入れなかった。 数人の教師たちに対して政治資金法に違反したという判決が下されはしたものの、これは教師たちが公開的な方式で後援支援金を納付した事実を認めたので予想された判決だった。
核心は政党法上、これら教師たちが党員か否かに対する判断だったが、裁判所は 「教師たちが党員としての権利・義務を持たない者は政党に加入したと見ることはできない」 と判断した。 反面、検察は「全教組教師らは後援党員だったと主張しているが、実際には党権を行使した党員だった」 と主張してきた。
検察が民主労働党後援教師たちを起訴した後、裁判所に提出した証拠資料は弱点だらけだった。主要内容を整理してみれば以下の通りだ。
党友(後援党員)も党員だ?
←民主労働党(後援・党員)加入願書。後援会員にチェックされているが一連番号が付与されていることが分かる。 検察はこの番号が党員番号だと主張している。
検察は裁判過程で全教組教師らが民主労働党党員だったと主張した。 だが、検察は明確な証拠を提示できなかった。 党員加入書類、党員活動記録、いずれもなかった。 ただ 「後援党友を偽装したまま党員活動をしてきた」 という主張だけを繰り広げた。
民主労働党は党員と党友(後援党員)を区分してきた。党員は権利と義務を共に負う党員、党友は一種の後援会員として党権を行使しない人々を称する。弁護団は「検察が政党運営に対する知識が足りず誤解している」 と主張してきた。 党員の他に党友を置くことにより、公務員など政党に加入できない人々の政党後援の道を開いたものだが‘偽装党員’を置くための便法だと疑ったということだ。 実際にこのような党友制度は民主労働党だけでなく民主党の前身である新政治国民会議時期にも運営された制度であり政界では珍しい概念でもない。
裁判所は26日 宣告で「被告人らの場合、単純に後援の意志で後援党員になったものと判断されるが、このような地位は厳格に区分される」 と明らかにし ‘党員’ と ‘党友’ の区分を認めた。また ‘党員と党友の権利・義務を同じと見る’ という民主労働党党規が2006年7月に削除された点も認めた。
教師たちに民主労働党の党員番号があった?
←2周年になった年に民主労働党に後援会員として加入したキム・ソンホ君。検察の論理どおりならばキム君は党員になるが、政党法上 未成年者は党員にはなれない。
検察は押収捜索した資料を根拠に教師たちに民主労働党党員番号が存在したと主張した。 一部教師たちのCMS通帳振り替え内訳などに固定番号が打たれているのでこれが党員番号という論理であった。 しかしこれは党員番号ではなくCMS通帳加入順序により民主労働党が任意に付与した一連番号に過ぎなかった。
取材陣が入手した2006年以前の民主労働党で使っていた‘加入願書’資料を見れば、民主労働党は党員と党友を区分せずに加入順序により一連番号を付与してきた。 ペク・スンウ民主労働党副総長は「私たちの便利なように付与した一連番号が党員番号と誤解されるだけのことはあるという点を認める」としつつも「党員番号は存在しない」と明らかにした。
取材陣は2001年2月19日当時、満二才の年齢で民主労働党に‘2万番目’ (の後援会員として)加入したキム・ソンホ君を探すことができた。 キム君は後援会員に加入して一連番号‘20000’を与えられた。 キム君の父親 キム・ジェウン氏は「検察の論理どおりならば2才の息子も民主労働党員になる」として「一連番号は党員番号ではない」と明らかにした。我が国の政党法は‘国会議員選挙権がある者だけが政党員になることができる’と規定している。
教師たちが民主労働党選挙サイトで投票した?
検察は全教組教師たちが民主労働党投票サイトで党役員選挙権を行使したと主張した。党友ではなく党員として権限を行使したという主張を裏付けるための論理だった。 しかし検察は裁判過程で明確な証拠を提示できなかった。
去る7日に開かれた公判で、検察は裁判所に「投票サイト接続記録はあるが投票行為に関する記録は探せなかった」と認めた。 ペク・スンウ民主労働党副総長は「投票サイトはアンケート調査用としても使われるので、住民番号さえ入力すれば党員と党友を区分せずに誰でも接続可能だった」として「投票サイト接続記録だけで党員だと判断してはならない」と明らかにした。弁護団はこの日の公判で「(党友は)投票をできなくなっており投票できない。投票記録は(あるけれど)探せないのではなく、存在しないということだ」と主張した。裁判所は26日、宣告で「党友が党員と同じ権利義務を持っており、これを知りながら党友として加入したと認める証拠がない」とし被告人らの手を挙げた。
不法政治資金を公開された口座に実名で振り替えする?
←民主労働党を後援したという理由で解職された教師が後援支援金の税額控除を受けた内訳を手で示している。
検察は「教師たちが政治資金法に違反して不法政治資金を民主労働党に提供してきた」と主張した。そして裁判所は検察の主張を受け入れ一部教師たちに罰金刑を宣告した。 裁判所が唯一検察の主張を受け入れた部分だ。 教師たちはこの点でには誤りを認めている。
現行政治資金法は2006年3月に改定された法だ。 以前の政治資金法3章6条1項では‘後援会’項目を置き、公務員の政党後援の道が開かれていた。 起訴された教師たちの相当数が2006年3月以前に民主労働党の後援を始めたが、後援自体は合法的に始めた。
しかし2006年3月に政治資金法が改定され‘後援会’項目が消えた。 教師たちは「政党法が改定されたことを知らなかった」と主張した。 民主労働党も「政党法の後援会条項が削除されたことを教師たちにいちいち知らせることができなかったのは党の失敗」として責任を認めた。弁護団は「‘不法政治資金’を公開的な口座に実名振り替えしたことは教師たちが政治資金法が改定されたことを知らなかったという証拠」として裁判所に懲役刑ではなく過怠金処分を訴えた。
取材の結果、教師たちの相当数は政治資金法が改定された2006年3月以後にも民主労働党に月5千ウォンから1万ウォンずつを後援した後、国税庁から年末税額控除まで受けていたことが確認された。また、該当学校と教育庁のいずれも教師たちに民主労働党後援が政党法違反になる可能性があることを知らせなかった。
しかし裁判所は26日、宣告で“政党に対する後援が不法ということを知らなかったといっても政治的中立義務がある人として慎重さが要求される」として各々30~50万ウォンの罰金刑を宣告した。
全教組“検察・教科部、全教組魔女狩り中断しなさい”
民主労働党後援教師たちに対し裁判所が事実上 無罪に近い判決を下したことにより、検察は無理に起訴したという批判を、教科部は無理に教師たちを懲戒(36人停職・9人解職)したという批判を免れ難く見える。
全国教職員労働組合(全教組)と全国公務員労働組合(全公労)は26日、ソウル中央地裁前で記者会見を行い「政治的な意図で検察が無理に捜査を行ったことが明らかになった」として「教科部は直ちに解職教師たちを復職させなければならない」と要求した。クォン・ヨングク弁護士(民主社会のための弁護士会労働委員会委員長)は「政治的意図を持って始めた捜査がどんな結果につながるかを見せた判決」とし「検察は慌てただろう」と話した。
解職教師たちは全員百万ウォン未満の罰金刑を受けたので、まもなく解職無効訴訟に入るものと見られる。セクハラなどで1000万ウォン程度の罰金を受けた教師も停職あるいは減給水準の懲戒を受けた場合が多く、公平性論難がおきているためだ。 この日、裁判に出席した解職教師パク・ソンエ(前大邱、玉山小学校教師)氏は「今回の判決を契機に、検察と教科部が全教組に対する魔女狩りを中断するよう願う」と話した。
ホ・ジェヒョン記者 catalunia@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/460918.html 訳J.S