原文入力:2011-01-24午前08:35:31(1538字)
法務部 今月中 立法予告…学界・市民団体 違憲論難 加熱
ノ・ヒョンウン記者
ソウルの有名私立大経営学部に通っているキム・某(21)氏は昨年11月、延坪島砲撃の消息を聞き 「延坪島で戦争が起きました。男性の方々は早く家に復帰し自隊配置命令を待ちなさい」という携帯メールを学科同期4人に送った。延坪島砲撃事件が起きる数日前、KATUSA(訳注:駐韓米軍に配置されている韓国軍部隊)に支援した友人らどうしがいたずらで偽りの合格携帯メールを送った記憶が蘇ったためだ。しかし、検察はキム氏を電気通信基本法違反疑惑で不拘束起訴した。キム氏は「格別の考えなしで友人に送ったいたずら携帯メールのために人生に傷がつくのかと思うととても恐ろしい」と話した。
昨年、電気通信基本法の‘虚偽通信’疑惑で検察が起訴した人は計42人(正式起訴35人、略式起訴7人)だ。これらに対する起訴内容を覗いて見れば、国家政策を批判したり延坪島事件など安保危機状況で嘘をまき散らしたケースが大部分だった。これに対して検察が‘見蚊抜剣’(蚊を見て刃物を抜くという意で、ささいなことに大きく癇癪を起こし飛びかかることを言う言葉)しているのではないかという指摘と共に、批判世論締めつけ論難がおきた。
世界金融危機当時、政府の経済政策を批判したインターネット論客‘ミネルバ’パク・テソン(33)氏は電気通信基本法の‘虚偽通信’条項で拘束までされたし、ブログに李明博大統領を批判する‘ネズミ鼻’動画を上げたキム・ジョンイク(57)氏を国務総理室公職倫理支援官室が不法査察した後、警察に捜査依頼した根拠もこの条項だった。憲法裁判所(憲法裁判所)は昨年12月28日‘表現の自由’の重要性を強調し、この条項に違憲決定を下した。
しかし法務部は‘処罰空白を防ぐ’として代わりの立法を急いでいる。法務部関係者は「憲法裁判所の決定趣旨を尊重し処罰範囲に厳格な制限を置く方向で改正案を用意するだろう」としながら「戦争とテロ危険などに対する虚偽事実をまき散らし、その危険性が明白に存在する場合だけを処罰するよう明文化する方針」と話した。法務部は刑法改正の中にこういう内容を盛り込み今月中に立法予告する予定だ。
だが、法務部の慎重な態度にもかかわらず、代わりの立法案の違憲論難が鎮まりはしないものと見られる。憲法裁判所は違憲決定を下しながら「どんな表現行為を制限するのかに対する判断は人の価値観と倫理観により大きく変わらざるを得ない」と明らかにした。特に憲法裁判所はイ・ガングク所長などが参加した補充意見で「憲法21条、表現の自由が保護する対象には‘虚偽の事実’も含む」として「表現や情報の価値・害悪性有無を国家が一次的に裁ってはならず、市民社会の自己校正に任せなければならない」と強調した。
学界と市民社会でも法務部の代法の動きに対する強い反対世論が起きている。パク・ギョンシン高麗大法学専門大学院教授は「さらにアフリカのジンバブエでも虚偽事実流布罪は違憲判定が出て久しく」として「被害発生に対する漠然とした憂慮だけで表現の自由を侵害することは、これ以上確かめるまでもなく違憲」と主張した。
ソ・ボハク慶煕大法学専門大学院教授も「国民の表現の自由を侵害し処罰までするということは明白な刑罰権乱用」と話した。 ノ・ヒョンウン記者 goloke@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/460172.html 訳J.S