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流通業者 "4大河川工事と野菜価格暴騰は99%関連ある"

原文入力:2010-10-12午後01:37:43(4717字)
農民団体 "消えた野菜畑 4.7%程度だが 生産量は10~20%減った"
"気象異変が1次的、4大河川工事で野菜畑が消えたことが2次的原因"

ホ・ジェヒョン記者、チョ・ソヨンPD、キム・トソンPD

←釜山市三楽地区で野菜栽培を行ってきたある農民が、去る7日 浚渫土が積まれ駄目になってしまった自身の野菜畑前でインタビューをしている。

 "野菜価格暴騰が4大河川工事と関連ないだって? 現場に来て見もしない奴の言うことさ。野菜を植えるところがないのに価格が上がらないで済むのか?" 去る7日午後、釜山市、沙上区、洛東江下流三楽河岸。ニラ栽培をしているキム・サング(57)氏は‘野菜価格暴騰は4大河川工事とは関係ない’という政府発表に対し「国民を欺いている」と一喝した。

 キム氏はこちらの三楽河岸で4千5百坪余りの規模で野菜栽培をしてきた農民だ。洛東江沿いの三楽河岸は堆積層がよく発達し有機質が豊富なだけでなく砂場で水はけもよく野菜栽培に最適の条件を備えていた。しかし、こちらの岸辺が4大河川工事区間になり、彼はこれ以上農作業ができなくなった。キム氏が野菜を植えた土地の内2千坪余りには3日前に強制的に浚渫土が積まれてしまった。青々としたホウレンソウ畑は瞬時に真っ黒な荒れ地に変わってしまった。

 青々とした野菜畑が真っ黒な荒れ地に

 三楽河岸では今年の初めまで100人余りの農民たちが25万坪規模の野菜畑を作り、釜山・慶南一帯に白菜、サンチュ、大根若菜などを供給してきた。だが、4大河川事業でこの野菜畑は全て消える危機に置かれた。この間、政府から土地を借りて畑を作ってきた農民たちは一軒二軒と農作業をあきらめ、この一帯を離れた。釜山地域最大規模の野菜畑は今‘洛東江再生第3地区’工事区間に含まれ、昼夜の別なく掘り返されている。広く青かった野菜畑の随所に‘立入禁止’の立て札が立てられ、土を汲み出す掘削機の音が騒がしかった。

 "4大河川のために野菜価格暴騰" 絶えない論難

 三楽河岸野菜畑が掘り返される間、市場では檀君以来最高に騰がった白菜価格と野菜価格をつけ論難が広がった。今まで提起された野菜価格暴騰は大きく3種類の原因に圧縮される。気象異変、流通業者の買い占め、4大河川工事。

 政府は論難初期から「野菜価格暴騰が4大河川工事とは関係がない」と主張している。だが、政界と農民団体、一部学者たちは具体的な数値まで提示して「4大河川工事が野菜価格暴騰に影響を及ぼした」と対抗している。また、野菜価格が暴騰した原因を明確に明らかにしてこそ野菜需要が本格化するキムチ漬けの季節対策をたてることができるという主張が説得力を持っている。

気象異変…日射量 平年より20~30%減る

 野菜価格が暴騰した1次的原因が気象異変だということに異議を唱える人は殆どいない。江原道の高冷地から出荷される白菜と大根などは夏の異常高温で病気にかかったり商品性が落ち生産量が40%程度減ったというのが政府側説明だ。気象庁統計を見ても去る8月、全国的に頻繁な雨が降り、日射量が平年より20~30%ほど少なかった。

 地域農協と農民たちの話を聞いてみても容易に納得が行く。農民たちは今年、気象異変で野菜生産量が大きく落ちたと訴える。去る6日、京畿道利川市、雪星面、松界1里で会った農民 チョ・カビョン(52)氏が代表的だ。チョ氏は去る7月、白菜2千株を植え半分ほど収穫をあきらめるほかはなかった。チョ氏は「以前にも天気のせいで畑作を駄目にしたことがあるが、今年のような天気は初めて」として舌打ちした。

政府が発表した‘消えた野菜畑 1.4%’直ちに反論に直面

 このように気象異変が直接的な原因であるにも関わらず‘4大河川工事で野菜価格が暴騰した’という主張は絶えなかった。ついに農林水産食品部は先月29日、報道資料を出し「4大河川工事で消えた野菜畑の面積は3,662haで、全国野菜畑面積 262,995haの1.4%に過ぎず、野菜価格暴騰には影響が微小だ」と鎮火に出た。

 だが、政府の説明は直ちに反論に直面した。野党圏と農民団体は政府が‘4大河川論難’を意識し、意図的に原因を縮小しているというが、その根拠は次の通りだ。

←釜山市三楽地区の野菜畑に4大河川工事のためにこれ以上、営農行為をするなという警告文が懸かっている。 <画面キャプチャー>

消える野菜畑 3,662haと12,295ha, 真実は?

 最初に、政府が4大河川工事で消えた野菜畑の面積を意図的に縮小し発表したということだ。全国野菜畑面積の分母は大きくし、4大河川周辺野菜畑の面積である分子は減らしたということだ。

 実際に取材した結果、政府が発表した‘4大河川工事で消えた野菜畑’比率の1.4%は事実上‘消えた全体野菜畑面積’ではなく、今までに‘補償が完了した野菜畑の面積’だけを集計して発表したものと見られる。

 国土海洋部が昨年9月に発刊した‘4大河川再生マスタープラン’報告書を調べれば、政府は‘4大河川工事で失われる全体営農地の規模を17,750ha程度と把握していた。ところが国土海洋部は突然、去る9月にこの規模を縮小し9,487haに直して発表した。何と8,263haの誤差だ。汝矣島面積の10倍の大きさだ。全体営農地の規模が縮小発表されただけに野菜耕作地も減らして発表したのではないかとの疑惑を買う内容だ。

 国土海洋部はこれに対し、明確な解明を出せずにいる。国土海洋部の4大河川再生推進本部事業支援チームの関係者は電話通話で「当時‘4大河川マスター プラン’をたてた用役業者が数値をそのように(17,750ha)捉えたが、理由はよく分からない」として「河川の特性上、誤差が出るほかはない」と明らかにした。

 しかし国策機関の報告書で、これほど大きな誤差が出るということが常識的には有り得ないことというのが野党の視線だ。また、実際に減った野菜耕作地が政府発表よりはるかに大きいと主張している。カン・キガプ民主労働党議員は「補償を受けることが出来ない4大河川流域の野菜畑と浚渫土が積まれる面積、水没する農地規模まで合わせれば、実際に失われた野菜畑の面積は少なくとも12,295haで、全体野菜畑面積の4.7%に達するだろう」と主張した。

 カン議員は「政府が野菜価格暴騰が4大河川工事と関連しているということを告白したくなくて、意図的に統計をわい曲したようだ」と付け加えた。

農産物価格への影響は面積より生産量…“生産量減少 最大20%”推定も

←農民団体は生産性の高いビニールハウス耕作地などが4大河川流域から大量に消え、野菜価格暴騰に影響を及ぼしたと見ている。 <画面キャプチャー>

 第二に、政府は野菜価格に直接的な影響を及ぼす生産量問題に努めて言及しないようにしている。農産物は栽培面積より生産量(供給量)が価格に及ぼす影響が大きい。

 農民団体は4大河川工事で失われた野菜畑の面積は4.7%程度だが、減った野菜の生産量は10~20%とまで推算している。クァク・キルジャ全国農民会総連盟政策局長は「面積よりは生産量が重要だ。4大河川で造られていた野菜畑は肥沃なので、一般畑より面積対比生産量が飛び切り高かった」と話した。

 4大河川流域の野菜畑がビニールハウスを活用した施設栽培を主にしてきたことも生産量の急激な減少に影響を及ぼしたものとみられる。普通、施設栽培は一般栽培より面積対比生産量が2~3倍高い。二毛作、三毛作 重複耕作が可能なためだ。チョン・ボムク民主党議員室は農協が提出した‘施設栽培関係品目減少量資料’を根拠に、4大河川流域から消えたビニールハウス面積が最大20%に及ぶと把握している。

農産物の価格弾力性を見過ごしてはならない

専門家たちは政府が農産物の‘価格弾力性’を過度に無視していると指摘する。 農産物は需要が一定なので、供給量に小さな変化があっただけでも価格が大きく上下する特徴を持っている。流通業界では供給量に3%程度の変化があっただけで価格に影響を及ぼし始めると把握している。農村経済研究院果実果菜観測チーム関係者は「品目により違うが今までのデータからみた時、3~5%の供給量が変われば農産物価格が上下しうる」と話した。

流通業者“4大河川工事で野菜価格暴騰 99%”

 それでは、野菜流通を担当する商人たちはどのように見ているだろうか? 流通業界でも‘4大河川変数’を認める雰囲気だ。釜山・慶南地域で野菜流通を行うイ・ソギル(流通業界10年従事)氏は「洛東江周辺から釜山・慶南地域野菜が多く入ってきたが、4大河川工事後、野菜畑が皆消えて物量確保に困りきっている」として「この地域の商人たちの大方の見方だ」と伝えた。

 イ氏より長く野菜を流通してきた30年経歴のハン・ファジョン氏は全国的な野菜価格暴騰に対してさらに分析的な説明を出した。ハン氏は「中部地方の作物状況が良くなければ慶南地方の野菜が中部地方に上がったりもするが、今回は慶南地方にも野菜をあてがうことが難しくなり‘流通循環輪’が一時的に切れた」とし「4大河川工事と野菜価格暴騰は99%関連する」と主張した。ハン氏は「気象異変ために生産量が減少したことが1次的原因、4大河川工事で野菜畑が消えたことが2次的原因」と指摘した。

 クァク・キルジャ全農政策局長は「4大河川事業で野菜価格が上がると見られるや、商人たちが買い占めに出、結局 野菜価格がさらに暴騰する口実を与えただろう」と主張した。

←釜山地域の流通商人たちは4大河川工事が野菜価格上昇に相当な影響を与えたと見ている。 <画面キャプチャー>

“どこまでやられれば人々が気がつくのかわからない?”

 それなら対策はあるのだろうか?

 チョン・ボムク民主党議員は「政府は‘4大河川アレルギー’にかかったように、4大河川の話が出て来さえすれば、びっくりして飛び上がるが、少しでも関連があるならば徹底的に分析し問題を解決するのが急務」と指摘した。

 ‘4大河川事業と野菜価格暴騰’との関連性を一貫して指摘してきたチャン・サンファン慶尚大(経済学科)教授は、生産と流通の側面で対策を分類し提案した。

 チャン教授は「4大河川河岸で野菜栽培を継続できるようにする政策が必要で、流通命令制を一般野菜類にも拡大導入し政府と農協の役割を大きくしなければならない」と主張した。

 チョン・ソンチョル釜山農民会事務局長は去る7日、洛東江下流三楽河岸で土砂に覆われ駄目になってしまった彼の野菜畑を眺めながら「どこまでやられれば人々が気がつくのかわからない」と舌打ちした。彼の数千坪の野菜畑は政府統計の‘1.4%’にも入れないままま、数日前に消えてしまった。釜山市から賃借し農作業をして補償を受けた農地に組み込まれなかったためだ。釜山・利川・晉州/文 ホ・ジェヒョン記者 映像 チョ・ソヨン、キム・トソンPD catalunia@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/443388.html 訳J.S