昨年の大統領選と釜山市(プサンシ)の教育監再選挙で違法な選挙運動を行った疑いで、一審で有罪判決を受けた釜山「セゲロ(世界へ)教会」のソン・ヒョンボ牧師が、米国のキリスト教ポッドキャストに出演し、「礼拝中に政府を批判したという理由で収監された」と主張した。
先月13日から米国を訪問中のソン牧師は、米国の保守キリスト教系の重要人物であるロブ・マッコイ牧師と息子のソン・チャンソン氏と共に、テネシー州ワールド・アウトリーチ教会のアラン・ジャクソン牧師のポッドキャストに出演した。
8日にユーチューブに投稿された動画によると、ソン牧師は「非常に自由な国だった韓国が、左派政権が誕生してから、急速に左傾化した」と主張した。李在明(イ・ジェミョン)政権は「中国や北朝鮮と親密な関係を築き、宗教の自由を侵害する政権」と述べたソン牧師は、「礼拝の時間に政府を批判したという理由で、5カ月間独房に収監された」と主張した。自身の収監について、「どのような政権が誕生するかによって、牧師がごく普通の話をしただけでも刑務所行きになり得ることを示したものだ」とも語った。
ソン牧師は、6月3日の地方選挙における投票用紙不足事態についても言及した。ソン牧師は「現在(韓国は)不正選挙のせいで国中が大騒ぎだ」とし、「20代、30代が極めて激しく政府に反発し、デモを行っている」と述べた。「(李在明)大統領の支持率は完全に暴落し、特に20代、30代は70%が政府の反対側に立っている」とも語った。
ソン牧師は「政府批判」が収監の理由になったと述べたが、これは事実とはかけ離れている。12・3内乱以降、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の弾劾反対集会を主導したソン牧師は、昨年9月に公職選挙法および地方教育自治法違反の容疑で拘束されたが、今年1月の一審で懲役6カ月・執行猶予1年の判決を受け、釈放された。
韓国の公職選挙法では、いかなる者も教育・宗教団体などの組織内で、職務上の行為を利用してその構成員に対して選挙運動を行うことを禁じている。また、公の場での演説、対談、討論会での討論を除き、拡声装置の使用を禁じている。地方教育自治法は、教育監選挙において公職選挙法を準用する。
にもかかわらず、ソン牧師は昨年4月2日の釜山市教育監再選挙に関連し、選挙運動期間ではないにもかかわらず、保守系の教育監候補と対談する動画を撮影し、ユーチューブなどのソーシャルメディアに投稿した。第21代大統領選挙を控えた昨年5月には、祈祷会や日曜礼拝などで数回にわたり拡声器を使用したり、動画を上映したりする方法で、大統領選で「国民の力」のキム・ムンス候補への支持を訴えた。これらはすべて李在明政権発足前に発生した出来事であり、ソン牧師を警察に告発したのは政府ではなく、釜山市選挙管理委員会だった。ソン牧師は過去にも違法な選挙運動を行った疑いで起訴され、罰金80万ウォン(約9万円)を言い渡された前歴がある。
これに先立ち、違法な選挙運動で処罰された他の牧師たちが、選挙法の条項は違憲だとして憲法訴願を提起したが、憲法裁判所は2024年1月、裁判官の全員一致の意見で合憲と判断した。「政治と宗教が不当な利害関係で結びつく悪影響を防止することで、(選挙法の条項によって)達成される公益の方が大きい」というのがその理由だった。
一方、ソン牧師は7日(現地時間)、マッコイ牧師やその家族らと共にホワイトハウスでトランプ米大統領と面会した。セゲロ教会は「ソン牧師が今回の会談で、大韓民国と韓国教会に向けたメッセージを伝え、自由と信仰の価値を守り抜くための様々な意見を交わした」と発表したが、具体的な内容は公開しなかった。ソン牧師はこれまで、米国政府関係者らと接触し、宗教法人解散法や包括的差別禁止法などに対する懸念を伝えてきた。