尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領夫人のキム・ゴンヒ女史関連の疑惑を捜査するミン・ジュンギ特別検察官チームに、検察が捜査していた旧統一教会(世界平和統一家庭連合)幹部の遠征賭博疑惑事件が移管されたことが、今月1日に確認された。検察がキム女史の金品授受疑惑の捜査中に把握していた旧統一教会関連の事件も移管されたことで、特検チームの捜査範囲はさらに拡大するものとみられる。
特検チームは、ソウル南部地検の暗号資産犯罪合同捜査部(パク・ゴヌク部長)が最近捜査していた旧統一教会のハン・ハクチャ総裁らによる米国ラスベガスでのカジノ遠征賭博疑惑の事件が移管され、捜査資料を確保した。検察は、「コンジン法師」ことチョン・ソンベ氏にキム女史への請託用として金品を渡した旧統一教会のY元世界本部長の資金を追跡する過程で、ハン総裁らが2008年からカジノに遠征賭博を行っていた事実を確認し、捜査中だった。
■「尹大統領の側近から教えられ…報告した」
特検チームが捜査移管にともない受け取った資料には、ハン総裁がラスベガスでの賭博で巨額を失った内訳と、旧統一教会の秘書室長や北米大陸会長らによるカジノ利用記録が含まれていることがわかった。これに先立ち、警察は旧統一教会幹部の遠征賭博疑惑を捜査していたが、Y元本部長が尹前大統領の中心的な側近の協力を得てこれをもみ消したという疑惑も提起されていた。
検察は、Y元本部長が2022年と2023年に旧統一教会関係者との対話で、「『最高位職』が(遠征賭博事件は)外国為替管理法(に引っかかる)と言っていた。家宅捜索される可能性があるので備えるように言われた」「(警察の)内偵捜査を『尹核関』(尹錫悦大統領の核心関係者)が教えてくれた。(上層部に)報告した」と話している録音ファイルも入手した。ただし、旧統一教会側は「宗教指導者が、布教の中心国と拠点を訪問するのは当然のこと」だとして、遠征賭博疑惑を否定している。
チョン氏を介した警察・検察への人事請託疑惑も、特検チームの捜査対象だ。検察による家宅捜索の際、チョン氏のソウル良才洞(ヤンジェドン)の住宅と江南区駅三洞(カンナムグ・ヨクサムドン)にある法堂からは、数百枚の有力政治家や警察・検察幹部の名刺が確保された。特検チームは、検察からチョン氏の携帯電話のデジタル・フォレンジック(電子機器の内部記録調査)などの押収資料を受け取り、分析に着手した。
さらに特検チームは、監査院が最高検察庁に捜査を要請したソウル漢南洞(ハンナムドン)の大統領官邸の「幽霊建物」の工事に関連する賄賂事件も移管されたという。尹前大統領が現職時、スクリーンゴルフ施設として検討されたという「未登記の幽霊建物」の工事費を誰が負担したかが捜査の焦点となっている。監査院は1月、検察に捜査を要請し、捜査対象者として、尹前大統領とキム・ヨンヒョン前国防部長官(当時警護処長)を指定したという。官邸の建物管理責任者であるユン・ジェスン前総務秘書官も、特検の捜査対象になる可能性がある。検察捜査官出身のユン前総務秘書官は、検察在職時から尹前大統領の側近だった。
ソウル市のオ・セフン市長の公職選挙法違反事件も特検に移管された。特検チームは、2021年のソウル市長補欠選挙の際、「オ・セフン陣営」が未来韓国研究所(ミョン・テギュン氏が運営する世論調査会社)と公表用の世論調査を共同で行う報道機関を組ませるなどしたことから、ミョン氏と密接に関係する状況にあったとみている。