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殺人 50点・窃盗 20点…検挙実績圧迫が苛酷捜査を招く

原文入力:2010-06-28午後10:04:22(1873字)
犯罪別に点数…単純犯→強力犯 作る憂慮
児童セクハラなどは点数低く いいかげん対処も
市民団体 "拷問操作、人権軽視 風潮も一役"

キル・ユンヒョン記者,ソンチェ・ギョンファ記者,シン・ソヨン記者

←警察指揮部の無理な実績主義を批判し、チョ・ヒョノ ソウル警察庁長官の辞退を促したチェ・スチャン ソウル江北警察署長が28日午後、江北区、樊洞の江北警察署から退勤し見送りにきた幹部らと握手をしている。 シン・ソヨン記者 viator@hani.co.kr

チェ・スチャン ソウル江北警察署長が‘陽川警察署拷問・苛酷行為事件’の根本原因だと目星をつけた過度な実績競争は、警察内部でも都度 指摘されてきた問題だ。李明博政権になり、警察が‘成果’と‘厳格な法執行’だけを強調しただけで、これを‘人権’と調和させることには関心がなかったためだ。結局、一線地域の治安責任を負っている現職警察署長が警察首脳部に直撃弾を飛ばす状況まで起き、警察では根本的な対策準備が至急となった。

警察の実績評価は警察庁が毎年出す‘成果評価基本計画’を土台に各地方警察庁が作成した評価システムにより行われる。去る1月に就任したチョ・ヒョノ ソウル警察庁長官は就任辞で「組織全般に成果主義を導入し、勤務の雰囲気を刷新するだろう」と明らかにするなど、成果主義を格別強調してきた。

<ハンギョレ>が28日に確認したソウル庁の‘2010年捜査・刑事業務成果評価計画’によれば、市民を相手にした治安犯罪を扱う刑事部署の場合、犯罪別に具体的な点数を定めておき、事実上 実績競争を誘導している。犯罪別基本点数は△殺人 50点△強盗殺人 70点△放火・強姦 20点△13才未満強制わいせつ 20点△組織暴力 20点などだ。ソウル庁はこれを根拠に算出された点数により、傘下31ヶ警察署をA(14ヶ)・B(16ヶ)・C(3ヶ)等、3等級に分けて管理してきた。警察庁関係者は「ソウル庁が‘C’等級を受けた警察署幹部らを相手に持続的な監察調査を行うなど、程度がちょっと行き過ぎた面がある」と話した。

こういう実績主義に対して内部から粘り強い批判が続いてきた。ソウルのある地区隊の警衛(訳注:警部補相当)級幹部は「過度な実績主義は我々が守らなければならない国民を、実績の‘対象’として見るようにする問題を産む」とし「ささいな誤りをした国民は訓戒措置できるにも関わらず、実績を上げなければならないと考えると国民をあっという間に‘通りの暴れ者’にしてしまう副作用が生じることがある」と指摘した。

また、犯罪別に点数を定めたために、児童を対象とした性犯罪など配点が相対的に低い犯罪に対しては捜査意志が弱くなる問題も現れる。警察庁のある関係者は「チョ・ヒョノ ソウル庁長が釜山庁長から京畿庁長に移ってきた後一ヶ月後に発生した‘キム・ギルテ事件’の場合にも、性犯罪に対する評価点数が低く警察が敏捷に対応できないのではないかという反省が(内部から)出てくることもあった」と話した。
















この日、チェ署長の記者会見が終わった後、カン・ヒラク警察庁長官と各地方警察庁長らは午後5時に緊急テレビ会議を開き、対策準備に追われた。この日の会議で警察首脳部はチェ署長を規律紊乱で職位解除し、実績評価の副作用と運営上の問題点を改善していくことで意見を集約した。

オ・チャンイク人権連帯事務局長は「国民皆が驚いている陽川署事件などが起きたのに、実際に警察指揮部は一線警察に責任を押し付けるなど安易に対応している」 として「陽川署事件の背景には警察首脳部の人権軽視風潮が一役買ったという点を認めなければならない」と話した。チェ署長も「地方庁に行くが、30人余りに表彰を与えても殆ど全員が検挙実績表彰であり、誰一人として人権保護の先頭に立ったとか、国民に親切だったとして褒賞を受けるのは見ることができなかった」として 「警察文化がこのように腐るだけ腐って、結局 陽川署事件が起こった」と主張した。 キル・ユンヒョン、ソンチェ・ギョンファ記者 charisma@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/427844.html 訳J.S