尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が非常戒厳の背景を説明する際、国会での施政方針演説で野党「共に民主党」の議員たちが自身を無視したことを例にあげた。弾劾訴追人の国会側が「大統領は野党との妥協も拒否しておきながら非常戒厳を宣布したため、違憲性が濃い」という趣旨の主張を展開したことに対し、尹大統領は野党に責任を転嫁してこのような主張をおこなったのだ。
尹大統領は11日午前10時から憲法裁判所の大審判廷で行われた弾劾審判の第7回弁論で、午前の弁論の終了間際に発言権を得てマイクを握った。尹大統領は「私が就任する際、野党は先制弾劾を主張しつつ、戒厳宣布までに実に178回も退陣と弾劾を要求してきた。予算案の基調演説をしに行けば、いくら憎くても(大統領の)話を聞いて拍手くらいは送るのが対話と妥協の基本だが、私が就任して出向いたら、ロテンダホールで(野党が)大統領退陣デモをしており、議事堂に入っても来なかったので、与党議員だけを見て中途半端な予算案基調演説をした」と語った。
続けて尹大統領は、「その次はマスコミに批判されたから(野党が議事堂の中に)入ってはきた。しかし(野党議員)全員が顔を背けており、(私が)握手を求めたら全員に拒否されたので、出入口の方にいた顔見知りの一部だけとして、あげくの果てに私に『早く辞任してください』と言う議員も多かった」と付け加えた。
尹大統領は「私は大統領として、野党がいくら私を攻撃したとしても、対話と妥協をしないわけがない。(与党の)議席数も100議席を少し超える議席をもって、何とか野党を説得して何がしかをなそうとしたのだが、文明国家において、現代史において見られない連続弾劾をやるというのは非常に悪意に満ちており、対話や妥協をするということではなく、この政権を破壊することが自分たちの目標だということを明確に示すものだ」と述べた。さらに尹大統領は「韓国の憲政史上、(野党が)予算を一方的に削減し、一方的に予算案を可決したのは、昨年12月が唯一だ」とも述べた。
また尹大統領は「私も、米国を国賓訪問する際にも民主党議員に一緒に行こうと言ったり、キム・ジンピョ国会議長がいらした時も与野党の議長団、事務総長を全員何度も招待して晩餐(ばんさん)をしたり、様々な話も頻繁にした。だからこういう主張は、本当に本人たちが自ら一度振り返ってみるべき問題を私に言っていると思う」と述べた。
これについて祖国革新党のパク・ウンジョン議員は、休廷時間に記者団に対し、「(尹大統領が)国会に予算案演説に来た時に野党が歓待しなかったという趣旨の話をしているが、歓待しなかったら銃を持って国会に攻め入って非常戒厳してもよいのか」と批判した。