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「要塞化した官邸」どうする尹錫悦大統領逮捕

登録:2025-01-09 08:12 修正:2025-01-09 21:42
「最前方の5、6人さえ制圧すれば崩れる」 
長期戦はすでに始まっている
高位公職者犯罪捜査処が改めて尹錫悦大統領の逮捕状の発行を受けた翌日の8日午前、ソウル龍山区漢南洞の大統領官邸の正門がバスで塞がれている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 

 「内乱罪容疑者」尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の逮捕状の再執行を控えたソウル漢南洞(ハンナムドン)の大統領官邸がいっそう厚い車壁と鉄条網で「武装」していることで、共助捜査本部による逮捕状の再執行が「強対強」対峙へと流れる懸念も強まっている。高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の主導した最初の令状執行の失敗で、圧倒的な警察力を前面に押し出すべきだという世論が沸騰している中、物理的な衝突を最小化しつつ尹大統領に接近するという課題を解決しなければならない警察の苦悩も深まっている。

 共助捜査本部による今月3日の最初の尹大統領の逮捕が失敗に終わったことで、2度目の執行はより難度が高まった。5日が経過した8日、警護処はすでに官邸を「要塞化」している。官邸の正門では、縦横に幾重にも駐車された7台の大型バスが厚い車壁を形成している。官邸の正門や外壁などには、直径50~60センチほどの鉄の針が突き出た「カミソリ鉄条網」も巻かれている。敷地内にはドローン無力化機能を備えた車両などの各種軍事車両が随所に配置されているとみられる。

//ハンギョレ新聞社

大統領官邸が堅固な警戒態勢を整えたことで、警察も徹底した準備で令状執行を貫徹するという態度を示している。大統領警護処の動員しうる人数が限られているだけに、警察は2度目の執行では何より「人海戦術」で対応する可能性が高い。今月3日の最初の執行で、共助捜査本部は公捜処と警察特別捜査団を合わせて150人あまりを投入するにとどまった。「人間の盾」となった200人あまりの警護処の人員を前に、すごすごと引き下がったという強い批判を浴びた。

 十分な警察力さえ投入されれば、警護処の抵抗は大きな問題ではない、というのが第一線の警察官の考えだ。逮捕経験の豊富な捜査科のある警正(警察の階級)は、「バスを縄で引っ張るのはそれほど難しくないし、鉄条網も同じ」だとして、「いくら警護処がスクラムを組んでいても、引きはがすのは大した問題ではない。経験上、スクラムの先頭の5、6人に手錠をかけるだけでも隊列は崩れはじめる」と説明した。

 警察特別捜査団のほかにも、逮捕作戦にたけている刑事機動隊など、各地域の警察庁広域捜査隊に所属する警察官が投入される可能性が高い、との見方も示されている。

 警護処を無力化するために軍の兵力や対テロ作戦を展開する警察特攻隊の投入も予想される中、それによる衝突を懸念する声も警察内部には存在する。ソウル警察庁に勤めるある総警(警視正)は、「対テロ作戦を行う特攻隊を下手に投入すると、警護処がそれに相応する措置を取る口実になりうる」とし、「警護処は今回も各種の妨害作戦を展開するはずで、3日間ほどの時間をかけて対峙しつつ警護処を枯渇させる戦略でいってようやく、大きな衝突なしに逮捕できるだろう」と述べた。十分な人数がおり交代が可能だという警察の利点をいかして「長期戦」を繰り広げることこそ、より安定した逮捕状の執行方法だということだ。

 不逮捕特権を掲げた与党「国民の力」の議員や、尹大統領の支持者の激しい反発も変数となりうる。捜査経験の豊富なある警正(警視)は、「車壁と鉄条網を処理したり警護処のスクラムを解いたりするのは、訓練を受けた警察官にとっては難しいことではないが、国会議員に官邸前に事前に集結されて邪魔されるなどの現場の変数が問題」だとし、「逮捕チームは官邸正門からの進入を試みるとしても、裏門からも警察力を投入して陽動作戦を繰り広げることも考慮すべきだ」と述べた。

 官邸そばに集まる尹大統領の支持者たちが騒乱を起こす可能性も低くないだけに、敷地内の作戦と同様に外部の秩序の維持もカギになるとみられる。

イ・ジヘ、キム・ガユン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1177038.html韓国語原文入力:2025-01-09 05:00
訳D.K

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