日帝強占期(日本による植民地時代)強制動員生存被害者のヤン・クムドクさん(93)が、日本の戦犯企業ではなく民間の寄付金形式の支援金で被害者へ賠償金を支給する尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の「第三者弁済案」を受け入れたことが確認された。
日帝強制動員被害者支援財団は23日、「ヤンさんが政府の解決策を受け入れる意向を伝えており、判決金と遅延利息を支給した」と発表した。2018年に韓国最高裁(大法院)が強制動員被害者に対する日本企業の損害賠償責任を認める判決を言い渡した後、日本側の反発が続いたことを受け、尹政権は昨年3月、国内企業から寄付金を募り、日帝強制動員被害者支援財団が判決金を支給する「第三者弁済案」を提示した。日本企業も財団に寄付金を出すことができるが、被告の三菱と日本製鉄は参加していない。
この間、尹政権の解決策を批判してきた「日帝強制動員市民の会」はこの日、立場表明文を出し「ヤンさんが昨年11月から光州(クァンジュ)のある療養型病院に入院して闘病している。認知症で認知と意思表示に困難がある状況」だと説明し、「尹政権の『第三者弁済案』の受け入れを決めたことについて、家族側からその事実を確認した」と述べた。さらに「ヤンさんの意志による決定なのか、どんな経緯によってこのような結論に至ったのかについては分からない」と付け加えた。
ヤンさんはこれまで、強制徴用被害について証言し「第三者弁済案」を提示した韓国政府を批判してきた。ヤンさんは1944年、日帝に強制徴用され、三菱重工業名古屋航空機製作所で重労働を強いられた。昨年3月、政府が「第三者弁済案」を確定した当時、「過ちを犯した人が別にいて、謝罪すべき人も別にいるのに、(第三者弁済案で)解決してはならない。必ず先に謝罪してから、他のすべてのことを解決しなければならない」と声を高めた。
これで最高裁の確定判決を受けた被害者15人中12人の被害者と遺族が尹政権の解決策に伴う判決金を受領することになった。政府の解決策を拒否した残りの3人のうち、生存者はイ・チュンシクさん(100)のみ。故パク・ヘオクさん(1930~2022、三菱重工業強制動員)と故チョン・チャンヒさん(1923~2012、三菱重工業強制動員)の遺族も政府の「第三者弁済案」にともなう判決金の受け取りを依然として拒否している。