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【独自】チェコ原発に金融支援はしないと言っていた韓国政府、「融資を約束」していた

登録:2024-09-27 06:34 修正:2024-09-27 08:09
チェコ政府が資金調達できなかった3基に 
入札過程で「金融支援の意向」示す書類提出
尹錫悦大統領とチェコのペトル・パベル大統領が19日(現地時間)午後、チェコのプラハ城で共同記者会見を行った後、握手をしている=ユン・ウンシク先任記者//ハンギョレ新聞社

 韓国水力原子力(韓水原)がチェコのドコバニ原発の新規建設を受注するための入札で、チェコ側に「金融支援が可能」という趣旨の「意向書」を出していたことが確認された。チェコ政府が資金調達計画を設けた原子炉1基を除く残りの3基に対して融資が可能という意向を伝えたもので、これまで韓国政府が表明してきた「金融支援はしない」方針とは相反する内容だ。「お金を貸してまで原発を建設する」ことで、原発輸出の経済性をめぐり物議を醸すものとみられる。

 ハンギョレが26日、野党「祖国革新党」のチャ・ギュグン議員室を通じて入手した「チェコ・ドコバ二6(号機)とテメリン3・4号機プロジェクト」という題名の文書によると、韓水原は4月4日、韓国輸出入銀行と貿易保険公社から「韓水原が参加する入札プロジェクトに金融支援の提供を考慮する」という内容の「意向書」を受け取った。韓水原は昨年11月、チェコ原発の入札書類を提出したが、今年初めにライバルの米ウェスティングハウスが脱落しフランス電力公社(EDF)との2者対決となった後、同文書をチェコ側に送ったことが確認された。通常、金融支援の意向書は原発や防衛産業など大きな費用がかかるプロジェクトを誘致しようとする国が、設備輸出国から金融支援の約束を受けるための目的で作成・発行される。

韓国水力原子力が今年4月、チェコに送った原発3基の建設に対する金融支援意向書の一部=祖国革新党のチャ・ギュグン議員室提供//ハンギョレ新聞社

 注目すべきなのは、同文書にドコバ二原発6号機と、これとは別のテメリン3・4号機に対する融資の内容が含まれている点だ。チェコ政府は当初、計4機の建設計画を進めたが、今年4月、ドコバニの1基(5号機)に対してのみ資金調達計画を欧州委員会から承認を受けた。韓水原の文書は資金調達計画がまだない残りの3基に対して融資の意向を明らかにしたもの。その後、7月にドコバニの2基に対してのみ優先交渉対象者選定が行われた。電力網を共有するEU諸国は、発電施設建設前に欧州委員会の承認を受けなければならない。

 チェコの原発建設に韓国の資金が投入される可能性は以前から提起されてきた。ドコバニ原発の2基の建設費用は150億ユーロで、今年のチェコの国家予算878億ユーロの17.3%に達するためだ。「エネルギー転換フォーラム」のソク・クァンフン専門委員は「チェコ政府の財政状態を見る限り、1基に10兆ウォン(約1兆980億円)以上かかる大型の原発建設資金を自主的に調達することは最初から不可能だった。受注契約条件として残りの3基の建設費を低金利で融資するか、工事遅延に対する遅滞金補償条件などが付く場合、韓国の利益は大幅に減る可能性がある」とハンギョレに語った。

尹錫悦大統領とチェコのペトル・フィアラ首相が20日(現地時間)、チェコのプルゼ二市にある発電用タービンの源泉技術を保有する斗山シュコダパワーの工場を訪問し、韓-チェコ原発全周期了解覚書の協約式を終えた後、握手を交わしている=ユン・ウンシク先任記者//ハンギョレ新聞社

 これまで韓国政府はチェコが資金を直接調達する計画だと述べてきた。産業通商資源部のアン・ドックン長官は7月18日、優先交渉者選定後の記者懇談会で、「韓国が金融支援を行うのではなく、全面的にチェコ政府の財源で(原発建設を)行う方向で(話が)進んでいる」と述べた。

 韓水原は金融支援の意向書発行の真偽と背景について「国家間で契約中の事案なので明らかにはできない」と述べた。韓国貿易保険公社は発行した事実を認めたうえで、「まだチェコ政府は金融支援を要請していないが、要請が入った場合、審査過程を経て支援の可否を決める」という立場を示した。

オク・キウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1159952.html韓国語原文入力:2024-09-27 00:16
訳H.J

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