本文に移動

‘生ける’李明博が‘死せる’盧武鉉にしてやられた

https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/423723.html

原文入力:2010-06-02午後09:53:30(2650字)

オ・テギュ記者

6・2地方選挙は誰がなんと言おうが李明博政権に対する中間評価だ。今回は特に地方選挙時期が李明博大統領の任期の丁度半ばに配置されているという点で中間評価の意味がより一層大きい。

中道実用と経済再生を前面に掲げ大きな票差で執権した李明博政権は、開始から有権者を裏切り始めた。権威主義時代の抑圧的な統治を強化し、南北対決的姿勢に中道実用を混ぜ合わせ、カン・プジャ(江南富者)内閣の構成と総合不動産税廃止に象徴される金持ち肩入れに経済再生をわい曲した。龍山惨事は貪欲の上に積まれた李明博政権の無慈悲性を現し、インターネット論客ミネルバの拘束と執拗なロウソクのあかり弾圧は金大中・盧武鉉政権10年間に拡張された表現の自由を抑圧する象徴だった。最近起きた天安艦沈没事態とその対応方案は、李明博政権が安保重視政権ではなく、安保無能政権であることを見せてくれた。

一言で言えば、李明博政権の政策基調は盧武鉉がしたこととは正反対に行くことだった。庶民重視は金持ち重視へ、南北和解は南北対決へ、自主外交は強大国追従外交へ、民主主義拡張は民主主義後退へ、広場から密室に変化した。 事実こういう全てのことを劇的に象徴する事件は1年前にあった盧武鉉前大統領に対する検察捜査とこれによる‘事実上の他殺’事件だった。

この時から李明博大統領は事実上、死せる盧武鉉と運命的な対決の道を選択したといっても過言ではない。盧前大統領が亡くなった後、全国を黄色い波で染めた追慕熱気から見る時、イ大統領の前に置かれた選択は2つであった。一つは盧武鉉の価値を克服する代案を提示し国民の支持を受けることで、残る一つは盧武鉉の価値を自身が吸収し政策の方向を変えることだった。

イ大統領は金大中大統領までが亡くなった後、金前大統領の国葬要求を受け入れ改革性向の(今は全くそうではないと明らかになっているが)経済学者であるチョン・ウンチャン ソウル大前総長を総理を起用し盧武鉉の価値を一部受け入れるような姿勢を見せた。だが、こういう庶民重視包装術で支持率が上昇するや当初の足の爪を表わし始めた。盧前大統領が地域均衡発展政策の象徴として推進した世宗市を形骸化する作業に着手し、事実上 大運河と変わるところのない4大河川事業を故障したブルドーザーのようにゴリ押しした。アラブ首長国連邦の原子力発電所受注、G20首脳会議開催などの外華内貧外交を有能外交と包装しながら国家の安危が関わる韓半島外交では強大国に主導権を引き渡す外交で一貫した。対策なき先核廃棄対北韓政策で、北韓が中国の東北4省化するように追いやり、天安艦事件対応に見るように韓半島情勢を1953年の休戦以来最悪の緊張状態に追い込んだ。中国が北韓を自身の国益を守る死活的な防波堤と感じている現実を無視し、中国を圧迫して中国に無理強いする外交をすることで、米国と共に韓半島問題が最も戦略的な利害を持っている中国の反発を買いもした。さらに不幸なことには、南北緊張と共に韓半島の緊張を呼び起こすことにより、韓半島問題に対する米国と中国の声を大きくし、我が国の主体的な声をゼロ化するという情けない状況を招いたことだ。

それでも李明博政権は天安艦を有権者に訴え安保心理、保守心理を呼び起こせば地方選挙で楽勝をすることを期待した。そのような次元で政権のラッパ吹奏者となった放送と保守言論を精一杯に活用し天安艦緊張局面を拡大再生産した。いわゆる朝中東が選挙の日に作った新聞の1面トップ記事に、地方選挙の代わりに安保不安心理をたきつける記事を満たしたことが端的な例だ。表面に現れた世論調査もハンナラ党の独走を予告した。

だが、有権者は生けるイ・ミョンバクではなく死せるノ・ムヒョンを選んだ。投票が終わった後、放送3社が発表した世論調査を見れば、ハンナラ党が5ヶ所(大邱、慶北、慶南、釜山、蔚山),民主党が5ヶ所(仁川、光州、全北、全南、江原)で優勢と出てきた。ハンナラ党が圧勝すると予想されたソウル、京畿を含め慶南、忠北、忠南が競合と発表された。これは何を物語るか? この間、公開された世論調査とは異なり、イ・ミョンバク大統領とハンナラ党の親保守、親財閥、反平和政策が底辺で深い不信を受けているということを示している。特に、今回の道知事選挙で大活躍した民主党など野党圏候補たち(ハン・ミョンスク ソウル市長候補、ユ・シミン京畿道知事候補、イ・クァンジェ江原道知事候補、アン・ヒジョン忠南道知事候補、キム・ドゥグァン慶南道知事候補)がほとんどノ・ムヒョン前大統領の側近という点は有権者が再びノ・ムヒョンの価値を新しい政治、イ・ミョンバク政治の代わりをする代案として選択していることを示している。

‘ノ・ムヒョンの息子・娘たち’の善戦は、単に与党に対する警告だけではない。チョン・セギュン代表に象徴される覇気がなく、柔弱で、ビジョンを提示出来ずにいる野党指導部に対する不信の表示でもある。最後まで開票結果がどう出てこようが、庶民重視、民主主義重視、南北和解に要約されるノ・ムヒョン価値は彼が悲運の死を遂げてほとんど1年ぶりに華麗な復活をむかえた。与党も野党も今後の政界は復活したノ・ムヒョンの価値をどのように昇華・発展させるかという宿題をかかえることになった。

もちろん最も注目される人はイ・ミョンバク大統領だ。彼が今回の機会を死んだ盧大統領の価値を吸収する契機にするか、あるいは再び対決姿勢を取るかにより、政局の行方は大いに変わるだろう。その上、パク・クネ変数までより増す場合、彼は今までより一層険しい航海をしなければならないだろう。民主党も今回の選挙を契機にリーダーシップについて大きな不信を受けた。民主党は直ちに新しいリーダーシップ論争に陥るものと見られる。その核心はノ・ムヒョンから継承を受けるのは何であり、止めることは何かということになるだろう。とにかく今回の6・2地方選挙が伝える核心メッセージは、死せるノ・ムヒョンが生けるイ・ミョンバクよりマシだということだ。

オ・テギュ記者 ohtak@hani.co.kr

原文: 訳J.S