原文入力:2010-05-14午後04:05:04(3363字)
三星電子 白血病、その暗い真実④
"私も半導体工場で仕事をした" "妻が白血病…" 情報提供 殺到
去る13日 5人 追加労災申請 "くやしさ 解けるまで戦う"
ホ・ジェヒョン記者,キム・トソン PD
←ナ・某(光州市・34)氏が1990年代、三星電子器興事業場で仕事をしている当時に撮った写真。彼は今とは違い当時は手動設備が多かったと伝えた。 写真 ホ・ジェヒョン.
"1ラインと8ラインは本当に違いが大きかった。1ラインが手洗い場ならば8ラインは食器洗浄器です。" 三星電子器興半導体工場で5年間働き退職したナ・某(34・光州市氏が去る4月末、半導体労働者たちの健康問題を指摘してきた四捨五入のイ・ジョンナン労務士に当時の記憶を思い出しながら口を開いた。声から多少苦しげな胸の内が読まれた。当時を思い出すだけでも骨を折ったようだ。だが、口を開き始めたナ氏は1時間にわたり話を止めなかった。
"私はフォト工程でかぶせた感光剤を剥ぐ仕事をしていました。ウェハー(円版形の半導体材料)は手で全て触らなければなりませんでした。当時の工場は大部分が手動設備でした。アンモニアなのか、硫酸なのか分からないひどい臭いがしました。"
ナ氏は去る93年から器興工場1ラインで生産職として働いた。三星電子が1984年最初に建てた半導体加工施設なので工場はとても古くなっていた。それでもナ氏はあまり気を遣わなかった。5年後の98年8月、突然肺に水が溜まり始めた。会社にそれ以上は通えなかった。会社を辞めた後、リンパ腺癌であることが分かった。10年間の闘病生活の始まりだった。
ナ氏は今まで自身の病気が個人的病気であるとばかり考えていた。抗癌剤を投与され髪の毛が抜け、胸の肉を刃物でえぐり取る手術をする時も‘運が悪いから私だけがこういう病気にかかったんだな’と考えてしまった。そうしている間に故パク・チヨン氏の死亡消息を聞いた。‘私の病気は労災かもしれない。’ナ氏の頭の中が複雑になっていった。去る4月15日、テレビをつけた。三星電子が記者たちを相手にきれいな生産ラインを公開する場面が出てきた。"あれは違う。嘘だ。" 結局、ナ氏は四捨五入の活動家たちに自身が半導体工場で体験したことを打ち明けた。
シン・某(31・全州市)氏は今、坑癌治療中だ。医者に「からだのあちこちが壊れている」と聞いた。話しながらもいつも嘔吐をする。三星電子器興半導体工場で5年5ヶ月間、生産職として仕事をし2005年9月に退社する時まで元気だったが2009年末、突然目まいが激しくなった。病院に行ったところ乳癌の診断を受けた。
←三星電子半導体工場で仕事をして癌にかかったシン・某(全州市・31)氏。彼は現在深刻な坑癌治療の後遺症に苦しめられている。 写真. ハンギョレ21.
シン氏は言論で見た三星半導体白血病論難ニュースを見て四捨五入に連絡した。 「私も三星半導体工場で仕事をした」というシン氏の一言に、四捨五入活動家たちはすぐにい全州まできた。四捨五入活動家たちを見るやいなや、シン氏の目じりに涙があふれた。からだを動かすことも大変なほどにシン氏の病気は悪化していた。シン氏は「三星に何も望むことはない」として「"私の病気の原因だけでも知りたい」と涙声で話した。イ・ジョンナン労務士はシン氏の手を握りい「共に戦い共に勝ちましょう」 と言った。シン氏はまた涙を拭った。
三星電子半導体工場に対する危険性論難が大きくなるなかで、この間 半導体労働者の健康問題を指摘してきた市民団体 四捨五入 にはこの頃 情報提供と問い合わせ電話が相次いでいる。大部分が半導体工場で働いた退職者たちの連絡だ。
"私の妻が白血病にかかりました。" "三星電子温陽工場で働いていたんです。"
四捨五入カフェ(http://cafe.daum.net/samsunglabor)にも情報提供文が後から後から上がってくる。一ヶ月間に20件余りの重要な情報提供が四捨五入に寄せられた。過去2年間に四捨五入の門を叩いた情報提供よりさらに多い。このためにイ労務士など四捨五入活動家たちは情報提供者と通話し情報提供者に会うのに、休日も忘れて仕事をしている。
2009年5月、韓国産業安全保健公団は三星電子半導体工場で仕事をし白血病にかかった故パク・チヨン氏など4人に対し労災イ不承認決定を下した。三星は“安全だ”という言葉だけを繰り返した。そのようにして半導体工場危険性論難は寿命が尽きそうだった。
しかし‘半導体工場白血病論難’は踏んでも消えない火種だった。パク・チヨン氏が去る3月31日についに亡くなるとすぐに論難の風はまた吹いた。今は「工場内で頻繁に化学物質露出事故があった」という前職三星電子エンジニアたちの共通の暴露まで相次いでいる。前三星電子エンジニア キム・某課長は去る5日<ハンギョレ>とのインタビューで「化学物質が漏れ出れば警報音が鳴らなければならないが、警報音が鳴らずにエンジニアらの間だけで知って済ます化学ガス漏出事故も多かった」と証言した。
証言隊列に加担したエンジニアたちは、半導体工場で使われた化学物質の種類をよく知っている技術職であったという点で、この間 暴露された発言よりち密で具体的だった。‘半導体工場危険性証言’の‘2幕’が始まったのだ。
←半導体労働者の健康と人権守り、四捨五入カフェ(http://cafe.daum.net/samsunglabor)に上がってきた情報提供文等
その上、5月初めに三星電子器興半導体工場で生産職として仕事をしたチョン・某(24)氏が、白血病診断を受け闘病中であることが知らされた。同じ工場で仕事をしたエンジニア ヤン・某(36)氏が、昨年4月に白血病にかかったという便りが知らされた後 わずか1年ぶりだ。
イ労務士は「白血病にかかったIBM労働者たちも労災を認められた」として「三星電子半導体工場で仕事をして白血病にかかった方々も労災を認められるよう継続努力する」と話す。簡単に終わらない戦いであることを知らせるメッセージだ。
今後どうなるだろうか。ひとまず三星電子は相変らず“労災ではない”という立場だが、以前よりはより慎重な姿勢だ。三星電子は半導体工場に対する論難を払拭すべく再疫学調査をすると先月15日に発表した。三星電子半導体事業部メモリー担当チョ・スイン社長は「遺族たちが信頼しないでいる勤労福祉公団および産業安全保健公団の代りに‘第3のコンソーシアム’を構成し(工場が白血病原因を提供したかについて)疫学調査する」と話した。半導体工場を巡る論難の第2ラウンドが繰り広げられる可能性がある。
事実上この問題を個別事業場の問題として無視してきた政府にも、小さな変化の動きが見える。韓国産業安全保健研究院は今年から毎年 半導体産業従事者らの疾病率統計を出すことを決めた。有意な数字以上に白血病が発生するか追跡するという意志表現だ。研究院のある関係者は<ハンギョレ>取材陣に「言論で白血病労働者問題を継続的に扱い社会的関心を維持させて欲しい」と頼むこともした。
去る13日、三星電子半導体工場で働いた労働者5人が追加で勤労福祉公団に労災申請をした。今回は一般生産職労働者だけでなく、課長と部長級エンジニアたちも申請者に含まれた。労災を申請したユ・ミョンファ(三星電子温陽半導体工場勤務)氏の父親ユ・ヨンジョン(53)氏は、勤労福祉公団職員らの前で涙声で話した。
“いったいどれほど多くの人が死ねば私たちの悔しさをほぐしてくれるのですか。私の娘をこのようにした三星が謝罪をするまで最後まで戦うでしょう。”
文/ホ・ジェヒョン記者、映像/キム・トソン ディレクター catalunia@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/420818.html 訳J.S