原文入力:2010-05-13午後09:05:58(2887字)
三星電子 白血病 その暗い真実③
半導体工場で34人‘癌’…労災判定 誰もいず
"治療費支援 打ち切る" 懐柔・脅迫…労災申請 阻む
ホ・ジェヒョン記者,キム・トソン PD
←三星半導体器興工場で勤務している間に白血病に罹り2007年に死亡したファン・ユミ氏の1周忌追慕祭の様子. ファン・ユミ氏の父親 ファン・サンギ(一番前)氏がロウソクのあかりを持ち路上に座っている。
職場で仕事をして癌にかかれば、会社はどんな態度を見せるか? 補償はまともに受けることができるだろうか? 業務関連性を明らかにすることがやさしくないため、労災判定を受けることは一般会社でも容易なことではない。三星電子半導体工場で仕事をして白血病にかかった労働者も同じだった。
半導体産業労働者の健康問題を支援してきた市民団体‘四捨五入’の集計を見れば、去る10余年間び三星電子半導体工場で仕事をし造血系癌に罹った労働者は34人だ。この内 すでに13人が亡くなった。しかし、これらの中に労災判定を受けた人は1人もいない。 なぜなのか?
"大会社を相手に勝てるのなら一度やって見なさい"
この間、三星電子側が白血病労働者らの産業災害申請を放棄するよう説得してきたという証言が相次いでいる。三星電子器興半導体工場で仕事をし、白血病で亡くなったファン・ユミ氏の父親 ファン・サンギ(56)氏は2005年6月に白血病の診断を受けた後、会社に労災処理への協力を頼んだ。しかし、三星半導体キム・某課長がファン氏を訪ね、聞かせた返事は意外だった。「お父さんが大会社を相手にして勝てる思うなら一度やってみなさい。」
会社はファン氏の辞職願いを強要し、辞職願いを書く条件で治療費を与えると約束した。ファン氏は治療費8千万ウォンを充当するため、娘を説得して辞職願いを書いたが、三星は治療費支給の約束を守らなかった。2007年3月6日、ユミ氏は結局息をひきとった。
"10億程度あげるから市民団体と接触するな" 2007年9月1日、韓国産業安全保健研究院が三星半導体工場に対する疫学調査を進行する時、キム・某半導体総括経営支援室安全グループ長がファン氏を訪ねてきて「10億程度して上げるから社会団体の人とは絶対会うな」として懐柔した。ファン氏はこの事実を市民団体に知らせた。
ファン氏は去る4月中旬<ハンギョレ>と行ったインタビューで「三星が労災申請を放棄し市民団体と接触しないという条件で、治療費と補償費などを提示したことは白血病問題を個人の問題にしようとする策略」と主張した。
"人の命を弄んではならない…"
←2010年4月15日、三星電子半導体工場で仕事をして亡くなった故ファン・ミヌン氏の妻 チョン・エジョン氏がソウル、瑞草洞の三星本館前で示威をしている。チョン氏は三星半導体工場見学に自身を同行してくれることを三星電子側に要求したが拒絶された。 ホ・ジェヒョン
去る3月31日、白血病治療を受けていたが亡くなった故パク・チヨン氏(三星電子温陽半導体工場勤務)家族も同様なことを経験した。当初、会社ではパク氏の闘病に無関心だった。病院面会もほとんどなく、社内募金をしたとして少ない金を握らせただけだった。ところが、パク氏の便りが言論に取り上げられるや会社の態度が急変した。会社関係者がパク氏の家族を訪ねてきて治療費をあげると話した。だが、条件があった。会社はパク氏家族にパク氏の労災申請を放棄するよう勧めた。
パク氏家族は2008年4月28日、勤労福祉公団に労災申請を行った。すると会社はパク氏に支給していた治療費を打ち切ると通知してきた。“人の命を弄ぶとは…”パク氏の母親 ファン・クムスク氏ははらわたが煮えくり返ったが、労災申請をあきらめなかった。
労災申請を準備した家族たちはそろって同じ目に遇った。故ファン・ミヌン(三星電子器興半導体工場勤務)氏の妻のチョン・エジョン(34)氏もやはり労災申請を準備して体験したことを打ち明けた。
“2005年7月、子供の父親が亡くなった後、2008年2月頃に労災申請を準備するのに会社(三星関係者)から電話が来ました。‘死んだ人の恨みをはらそうとすれば会社から受け取ったお金(慰労金)を返さなければならない状況が生じるかもしれない’と言いましたよ。その後、ずっと同様な電話に苦しめられました。”
三星電子が亡くなったファン氏が治療を受けている時、医療費の一部と慰労金などをファン氏家族に支援したが、労災を申請すればこれを回収すると圧力を加えたのだ。
三星電子“労災申請に協力してきた”書面回答
三星電子はこういう遺族たちの主張を否認する。三星電子広報チームは<ハンギョレ>に10日送った書信回答で「三星電子は労災申請に協力してきたし、邪魔したことがない」とし「病院費支援もやはり会社の制度によって支給されるというだけ」と説明した。三星半導体総括経営支援チームのある責任者は「職員らが退職対象者を相手に不適切な対話をするケースがないではないが、今は労働者が労災申請を望めばこれを助けている」と話した。
しかし<ハンギョレ>取材陣は「三星電子が無事故記録を維持するために労災処理をできなくさせている」として「三星電子が労災申請を助けず、静かに退社させている」と明らかにした前・現職職員らの証言を多数確保した。三星電子半導体工場でエンジニアとして勤めたある職員は「(事故がおきれば)ひとまず退社させ、なかったことにしようとしている」とし「退社すれば労災処理がより一層難しくなるので、一番最初にすることが退社させることだ」と述べた。
労災保険料上がり、企業イメージを傷つけるかと思う?
発症率の極めて低い疾病であるウェゲナー肉芽腫症に罹り去る4月に三星電子器興工場を退職したキム・テウォン(仮名)前三星電子課長の証言も同様だった。キム前課長は「労災処理をしてくれと言ったところ、三星は退社を勧め条件を付けて慰労金を提案した」とし「慰労金の条件が三星を誹謗しないこと、民・刑事・行政上の訴訟をしないこと、裁判で勝訴しても追加で金を要求しないことの3種類であった」と暴露した。
三星電子半導体工場労働者らの労災申請を代理したイ・ジョンナン労務士は「労働者らの労災申請が多くなれば、労災保険料が上がり企業イメージが毀損されるだろうという憂慮のために、企業が労災申請を敬遠している」としつつ「病気で苦しむ労働者たちにまた別の苦痛を抱かせている」と批判した。
文/ホ・ジェヒョン記者、映像/ キム・トソン PD catalunia@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/420605.html 訳J.S