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「植物政権」現実に…尹大統領の独善的な国政、「大手術」不可避

登録:2024-04-12 01:37 修正:2024-04-12 07:56
任期中に「少数与党」克服ならず、憲政史上初 
昨年1月の朝鮮日報のインタビューで 
「多数党になれなければ植物大統領になってしまう」
尹錫悦大統領が8日、ソウル龍山の大統領室庁舎で行われた都市住宅供給点検会議に出席するために入場している/聯合ニュース

 4月10日に行われた総選挙で与党「国民の力」が惨敗したことで、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は国政掌握力に致命的な打撃を浴びることになった。選挙の結果、政権審判論に傾いた厳しい民意が確認されただけに、「独善」、「コミュニケーション不在」と批判されてきた国政運営基調の大々的な転換が必要な状況となっている。人的刷新などで局面の打開を図る可能性が高いが、レームダック(政治的な死に体)は避けられそうにない。

 尹大統領はこの日、公式日程は入れず、龍山区漢南洞(ヨンサング・ハンナムドン)の官邸で選挙開票を見守ったという。圧倒的な少数与党国会で任期がはじまった尹大統領は、4・10総選挙にすべてをかけていた。官権選挙批判を気にもかけず、1月4日から先月26日まで全国の主な総選挙の激戦地を回って24回もの民生討論会を行い、各種の地域開発政策を発表してきた。

 しかし、政権審判論に火をつけたのは尹大統領自身だった。配偶者のキム・ゴンヒ女史のブランドバッグ授受疑惑について、きちんとした謝罪すらせずにうやむやにしたのに続き、先月4日には、海兵隊員死亡事故捜査の外圧疑惑で高位公職者犯罪捜査処(公捜処)による捜査を受けているイ・ジョンソプ前防部長官を駐オーストラリア大使に任命した。最重要被疑者を国外に脱出させようとしているとの批判を浴び、結局は大使任命からわずか25日で辞任というかたちとなったが、すでにタイミングを逸していた。加えて「長ネギ」に象徴される物価高騰などの国民の生活難が重なったことで、政権勢力に対する民意は冷めていった。

 与党の総選挙惨敗で、尹大統領はこれまでの2年よりさらに強力になった少数与党国会を相手にせざるを得なくなり、政局の主導権を野党に明け渡すことになった。尹大統領は昨年1月の朝鮮日報のインタビューで、「総選挙で与党が多数党になってはじめて、公約した政策を支障なく進めることができる。できなければ植物大統領になってしまうだろう」と述べていた。

 尹大統領の掲げた労働、年金、教育の「3大改革」を進めるのが難しくなるだけでなく、総選挙前に示した減税などの各種公約も実現は困難とみられる。野党が狙っていたキム・ゴンヒ女史と海兵隊捜査に関する特別検事法などをやみくもに無視することも、大きな負担となることが予想される。国政パートナーとして認めるどころか、これまで一度も会っていなかった野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表にも握手を求めざるを得ない。

 尹大統領の与党に対する掌握力も根本から揺らぐことになった。選挙期間中に候補者を中心として「龍山(大統領室)発リスク」を懸念する声があがったことで、尹大統領の党内での影響力はすでに亀裂が入りはじめている。党内の非尹錫悦系候補を中心に、政府と与党との関係の水平化と国政基調の変化を本格的に要求してきた場合、尹大統領の影響力は急速にしぼまざるを得ない。

 大統領室は参謀陣の刷新や内閣改造などの打開策に腐心しつつ、局面転換を図るものとみられる。医学部定員2千人増員をめぐり長期化している医政対立の解決法も直ちに提示しなければならない。大統領室のある関係者は、「国政を振り返りつつ、より国民に寄り添う方策をひとまず考えていくだろう」と語った。

イ・スンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/election/1136119.html韓国語原文入力:2024-04-11 05:00
訳D.K

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