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強制動員被害者、日本から賠償してもらう道は開かれるか…供託金の差し押さえ申し立て

登録:2024-01-12 06:36 修正:2024-01-12 08:17
日帝強占期の強制動員被害者遺族などが先月28日午前、三菱重工などを相手取って起こした損害賠償請求訴訟の上告審での判決後、ソウル瑞草区の最高裁で賠償および公式謝罪などを求めるスローガンを叫んでいる/聯合ニュース

 日本の戦犯企業による強制動員の被害者が、日本企業が韓国裁判所に預けたたお金を賠償金として確保するための手続きに入った。裁判所で申立てが認められれば、日本企業の資金が被害者に直接渡る初めての事例になる。ただし、日本企業が強制徴用被害者に裁判所の判決に従って賠償金を支給したわけではないという限界はある。

 ソウル中央地裁は11日、日本の日立造船所がソウル高裁に預けた供託金6千万ウォン(約650万円)を賠償金として確保するため、強制動員被害者のL氏が前日に提出した差し押さえおよび取り立て命令申立書を受け付けたと明らかにした。

 1944年9月、日本の国民徴用令により、日本の大阪に位置する造船所に強制動員されたL氏は、日立造船所を相手取って2014年に強制労働による精神的被害の賠償(慰謝料)を求める訴訟を起こした。先月28日、韓国最高裁(大法院)は「5千万ウォンと遅延利子の賠償」を命じる最終判決を下した。

 日立造船は最高裁判決の4年余り前の2019年1月、二審が同じ趣旨の賠償判決を下しことを受け、損害賠償金の強制執行を防ぐため、裁判所に強制執行停止を申し立てた。裁判所は保証供託金6千万ウォンを担保に日立造船の強制執行停止申し立てを受け入れた。

 L氏は当初、供託金6000万ウォンの出給(供託金を受け取ること)を請求しようとしたが、差押取立命令を申し立てることに変更した。出給請求が認められた場合、L氏が受け取ることができるお金は強制執行停止が遅れて被った損害である2019年の二審判決以後の法定利子または遅延損害金に過ぎないためだ。この場合、供託金6000万ウォンのうち半分程度のみ回収できるとL氏側はみている。

 差し押さえ取り立て命令は、最高裁確定判決金に基づき日立造船の国内資産である該当供託金を差し押さえてほしいという要求だ。したがって、供託金6000万ウォン全額を確保することができる。裁判所の関係者は「裁判所の判断までには通常2~3週間程度がかかるだろう」と説明した。

 今回の申し立てを通じて日本企業の供託金が被害者に支給されれば、日本企業のお金が強制徴用被害者に渡る初めての事例になる。L氏側は、供託金を差し押さえても足りない賠償金は、政府の第三者弁済案に基づき補うと明らかにした。

 一方、日帝強占期(日本による植民地時代)の強制動員被害者が日本企業を相手取って訴訟を起こし、最高裁で勝訴判決が言い渡される事例は相次いでいる。この日、最高裁1部(主審:ノ・テアク最高裁判事)は死亡したK氏の遺族が日本製鉄を相手取って起こした損害賠償請求訴訟で、「1億ウォンと遅延損害金を支給すべき」として、原審の原告一部勝訴判決を確定した。K氏は1943年3月に日本に連れて行かれ、九州地域の日本製鉄八幡製鉄所で強制労働させられたが月給を受け取れずに帰国し、2012年に亡くなった。

イ・ジェホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1124014.html韓国語原文入力:2024-01-11 20:11
訳H.J

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