今年の地球の平均気温が過去最高値を記録すると予想される中、気候危機が予想より速く進行しているという警告が相次いでいる。1988年に地球温暖化が進んでいる事実を世界に初めて警告した研究者のジェームズ・ハンソン氏(米コロンビア大学教授)は、最近発表した論文で、地球の温度が今後6年以内に産業化以前に比べて1.5度上昇という「マジノ線」を越えるとの見通しを示した。
英紙「ガーディアン」の1日付(現地時間)の報道によると、ハンソン教授はこの日発表した論文で「地球の気候は人間の活動に対し、予想よりはるかに敏感に反応している」とし、「持続的な化石燃料の使用と共に、エアロゾルと呼ばれる大気汚染物質が減少した結果、地球の大気層で反射される太陽光が減り、地球の表面温度が急速に上昇している」と分析した。その結果、「太陽から地球に流入する熱エネルギーの量と地球が排出する熱エネルギーの量の間の不均衡が著しく増加した」とし、「海岸都市の海面水温が災害に近い水準まで上がる可能性がある」と主張した。
ハンソン教授は、今後6年以内に地球の表面温度が産業化以前(1800年代)に比べて1.5度高い水準になると予想した。2050年になれば、産業化以前に比べて2度上昇という最後の砦まで崩れるだろうという暗鬱な見通しも示した。産業化以前に比べて1.5度の上昇は、2015年、国連の気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で設定した「マジノ線」であり、参加国は地球温度が産業化以前より2度以上高くならないようにし、1.5度より低い水準に維持するために努力することにした。
ハンソン教授のこのような見通しは、当初の見通しよりさらに悲観的だ。2021年、国連気候変動に関する政府間パネル(IPPC)は1.5度の線を超える時期を2032年半ばと予想した。
ハンソン教授は「私たちは気候の非常事態の入り口に立っている」とし、「現在のような気温上昇の加速化は、すでに気候システムの均衡が崩れた状況ではさらに危険だ。このような傾向を覆して地球を冷やす努力が必ず必要だ」と強調した。また、その解決策として、世界規模の炭素税などを提示した。
このような警告はハンソン教授からだけではない。先月30日には英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのロビン・ランボール教授が率いる研究陣も、ジャーナル「自然気候変化」に寄稿した論文で、「温室効果ガスが今のような傾向で排出されれば、2029年前後に1.5度線が崩れるだろう」と警告した。
一方、専門家たちの間では、気温観測が始まって以来、今年が最も暑い年として記録されると予想されている。欧州連合(EU)コペルニクス気候変動サービスは先月5日、2023年がこの団体が記録を始めた1940年以来最も暑い年になると予測した。
米航空宇宙局(NASA)によると、今夏(6~8月)の平均気温はNASAが気温観測・記録を始めた1880年以来最も高かった。異常高温現象は秋まで続いている。「ガーディアン」はオーストリア、ベルギー、フランス、ドイツ、ポーランド、スイスなどで今年9月が各国で記録が始まって以来、最も暑い9月として記録されたと報じた。韓国気象庁によると、韓国も今年9月の全国平均気温が22.6度で1973年以来最も高かった。