韓国の最大野党「共に民主党」のパク・クァンオン院内代表は20日、シン・ウォンシク国防部長官候補に対して「シン候補が乙巳勒約(第二次韓日協約)を締結した売国奴の李完用(イ・ワニョン)に対して、仕方のない面があったと擁護した事実が明らかになった」とし、「与党『国民の力』が大統領に指名撤回を求めることを望んでいる」と述べた。
同日、パク院内代表は国会で開かれた最高委員会議で、「(シン候補が)国務委員と国防部長官としての資格がなく、不適格者であることが明らかになり、これに対する国民の判断も終わった」とし、このように述べた。
パク院内代表は「当時、韓国が抵抗したとしても国力の差があまりに著しく、独立を維持することが難しかったという親日植民史観(を持っていること)も確認された」とし、「大統領の三一節(独立運動記念日)記念演説と統一部長官の論文まで、植民史観が国政運営の理念的背景ではないか、国民が懸念している」とも指摘した。
これに先立ち、ハンギョレはシン候補が4年前に「大韓帝国は日本に抵抗したとしても独立を維持することが難しく、李完用は売国奴だったが、仕方のない面もあった」と述べたと報道した。
「チョ・ガプジェ・ドットコム」のホームページに掲載された2019年8月24日開催の「自由韓国党(国民の力の前身)」の「よみがえらせよう、大韓民国! 文政権糾弾光化門(クァンファムン)集会」におけるシン候補の演説文を見ると、当時予備役将軍だったシン候補は「われわれは売国奴の象徴として李完用を非難するが、当時大韓帝国は日本に抵抗したとしても、日本との国力の差は顕著であったため、独立を維持することは難しかっただろ。李完用は売国奴だったが、一方では仕方のない面があったのも事実だ」と主張している。
当時、文在寅(ムン・ジェイン)政権の韓日軍事機密情報保護協定(GSOMIA)終了を強く糾弾し、「文在寅は世界で最も失敗した独裁王朝集団である北朝鮮に、最も成功し富強な大韓民国を捧げようとしている。李完用とは比べ物にならないほど、五千年の民族史の最も悪質な売国奴が文在寅」だとし、「しかも今は金正恩と自分の利益のために国益を犠牲にする反日扇動をしており、その延長線上でGSOMIAの延長を破棄した」と述べた。
ただし、当時演壇に上がったシン候補は演説文を要約して発言しており、李完用が言及された部分は省略された。演説文の全文は集会4日後、シン候補者の名前でチョ・ガプジェ・ドットコムのホームページに掲載された。
これについてシン候補側は「原告を読んでみれば売国奴の李完用を擁護したのではなく、要は文在寅政権の外交安保政策が李完用より国益に反するという点を強調したものだ」とし、「国防部長官候補が『過去、李完用を擁護する発言をした』というのは事実ではない」と釈明した。