真っ昼間のソウル新林洞(シルリムドン)で無差別に凶器を振り回し、4人の死傷者を出したJ容疑者(33)が23日に拘束された。警察の取り調べに「他人も不幸にしたかった」と供述しているJ容疑者の行動について、専門家たちは「劣等感による通り魔犯罪」だと分析した。
ソウル中央地裁のソ・ジュンソプ判事はこの日午後、殺人の疑いが持たれているJ容疑者に対して、「逃亡の恐れがある」として拘束令状を発行した。J容疑者は21日午後2時ごろ、ソウル冠岳区(クァナック)新林洞の新林駅4番出口付近で通行人に凶器を振り回し、警察に捕らえられた。J容疑者に刺されて20代の男性1人が死亡し、30代の男性3人がけがをした。3人のけが人のうちの1人はすでに退院し、1人は重体だという。
拘束前被疑者尋問(令状実質審査)を受ける前、J容疑者は取材陣の問いに「とてもつらかったからやった。申し訳ない」と述べた。J容疑者は前科3犯で、少年部(地裁または家裁の一部門)に送致された経験が14回ある。調査によるとJ容疑者は高校卒業後、主に日雇い労働者として働いてきた。
専門家は今回の事件を「劣等感による通り魔犯罪」だと分析した。京畿大学のイ・スジョン教授(犯罪心理学)は「今回の事件は被疑者の『ハンディキャップ』と密接に関係している事件」だとし、「社会的に適応しているように見える若い青年に対して自身の怒りを表出した反社会的犯罪」だと評した。そして「凶器を繰り返し振り回していること、犯行後に隠れていないことを考えれば、司法機関を反復的に経ることで刑罰に対する恐れをなくした、社会化が不十分な姿勢」がみえると付け加えた。又石大学のペ・スンフン教授(警察学)は「通り魔のかたちをとっているが、自分の馴染みのある場所で自分と同じ年頃の人を狙ったという点で、蓄積された計画にもとづく殺人だと考えられる」と説明した。
事件現場には多くの市民が追悼に訪れている。市民たちは「真っ昼間に、自分にも起こりうること」だとして恐怖感をあらわにした。会社員のLさん(26)は、「たった2年前までこの路地の食堂によく通っていたし、今もしばしば通っている。自分も標的になりえたと思うとつらい」と話した。現場の路地で10年以上にわたって商売をしているPさん(59)は、「この路地の店のほとんどは自動ドアなので、入ってくる人を止めることもできない。誰が入ってくるか分からないので、みんな怖がっている」と話した。
一方、ソウル警察庁は犯行の映像がオンラインで無分別に拡散していることを受け、これを繰り返し掲示・流布する人は「情報通信網の利用の促進および情報保護などに関する法律(情報通信網法)」違反容疑で捜査すると表明している。