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IAEA事務局長、「日本の汚染水の安全」擁護一色の訪韓日程終了

登録:2023-07-10 06:23 修正:2023-07-10 22:59
汚染水を「水」と称し「飲んでも良い」 
記者会見の代わりにマスコミ5社とインタビュー 
原子力安全委員長や外相との面会は非公開 
原子力安全委員会「後続検証への韓国の参加」を要請
ラファエル・グロッシIAEA事務総長が8日午後、ソウル鍾路区の外交部庁舎でパク・チン外交部長官との面会後、移動している=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は9日、「IAEAは(福島第一原発の汚染水)放出計画がきちんと守られているかどうかを検討するため、(日本に)常駐する予定だ」と述べた。4日、最終報告書を公開したにもかかわらず、信頼性に対する疑念の声が高まったことを受け、韓国など反対世論が強い国々を直接訪問し疑念解消に向けたコミュニケーションに乗り出したのだ。しかし「IAEAによる汚染水海洋放出の正当化が周辺にあるIAEA加盟国に対する明白な権利侵害」だという野党と市民社会団体の批判は沈静化していない。

 グロッシ事務局長は同日、野党「共に民主党」の「福島原発汚染水海洋投棄阻止対策委員会」所属議員たちと面会し、「皆さんの心配と懸念は良く分かっている」とし、「汚染水の放出が国際的な安全基準に合致するかどうか、その手続きや機能などすべての面を検討するため、数年、数十年にわたり(福島に)常駐する」と述べた。

 同日の面会は民主党の要請によって行われたものだ。グロッシ局長は4日、IAEAの最終報告書公開以降、信頼性や中立性が議論になったことを受け、7日夜の抗議デモが行われる中で韓国に入国し、8日、韓国政府関係者と韓国国内の一部メディアに会ったのに続き、同日民主党議員たちとも面会した。

共に民主党のウィ・ソンゴン「福島原発汚染水海洋投棄阻止対策委員会」(対策委)委員長(左)とラファエル・グロッシIAEA事務局長が9日午前、ソウル汝矣島の国会で開かれた民主党対策委所属議員たちとの面談途中、水を飲んでいる=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 グロッシ事務局長は4日、IAEAの最終報告書の序文で「海洋放出は日本政府の国家的決定であり、この報告書は該当政策を推奨あるいは支持するものではないことを強調したい」と明らかにした。しかし、前日に行った「朝鮮日報」など国内の一部マスコミとのインタビューでは、多核種除去設備(ALPS)で処理された汚染水を「水」(water)と称し、「(この水を)飲んでも良いし、その中で泳ぐこともできる」と述べるなど、今回の訪韓中日本の放出を積極的に擁護するような発言を続けた。

 また「韓国日報」とのインタビューでは、福島の漁業者たちが汚染水の放出そのものに反対していることについて「安全に処理され放出されれば、水産物の汚染もないだろう」とし、「漁業者たちが配するのは『科学』ではなく『評判(風評被害)』(reputation)だ」と語った。日本の漁業者が安全性について科学的にアプローチしようとしているよりは、汚染水のため福島産水産物が「汚名を着せられるのではないか」と懸念しているという意味だ。

 汚染水の試料分析の中で1次分析の結果のみ盛り込んだ最終報告書を発表したことに対しても「可能なすべてのことに対して点検しなければならないわけではない」として、IAEAの当初の計画そのものを否定した。

 「IAEAの中立性に疑問を呈する見解」については「原子力についてあまり快く思わない人々」の発言というふうに片付ける態度も示した。

 グロッシ事務局長は当初議論されていた公開記者会見の代わりに、5社のマスコミを選別し個別インタビューを行った。さらに、8日午後に行われたユ・グクヒ原子力安全委員会委員長とパク・チン外交部長官との面会もマスコミに日程を知らせず非公開で進めた。

 一方、韓国政府は前日、グロッシ事務局長との面会で日本の汚染水海洋放出に対するIAEAの後続検証への韓国の専門機関と専門家の参加を要請したと明らかにした。グロッシ事務局長はユ委員長からこのような要請を受け「それを可能にする案を模索する」と答えたと、原子力安全委員会は伝えた。

 面会が非公開で進行されたため、グロッシ事務局長と政府の間で具体的にどのような話し合いがあったのかは確認されていない。パク長官は前日、グロッシ事務局長との面会後、記者団に対し「(汚染水海洋放出の)安全性に関する科学的な検証と国民の不安を解消するため、IAEAとの協力案について踏み込んだ議論をした」とだけ述べた。

キム・ジョンス先任記者、キ・ミンド、シン・ヒョンチョル、イ・ウヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1099360.html韓国語原文入力:2023-07-10 02:43
訳H.J

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