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勤労挺身隊問題を提起して14年…日帝強制動員市民の会、野火賞受賞=韓国

登録:2023-05-29 04:55 修正:2023-05-29 08:19
日帝強制動員市民の会のイ・グゴン理事長(左)が27日、光州の国立5・18民主墓地「歴史の門」で開かれた第18回野火賞授賞式で、受賞後に野火記念事業会のイム・ラクピョン理事長と写真を撮っている=チョ・ゲヒョン提供//ハンギョレ新聞社

 「裁判は3分で終わりました。(敗訴後)、ヤン・クムドクさんは床にへたりこんで嗚咽しました。しかし、状況を何とかする方法はありませんでした。恥ずかしかったです」

 「社団法人日帝強制動員市民の会」(以下、市民の会)のイ・グゴン理事長は27日、光州(クァンジュ)の国立5・18民主墓地「歴史の門」で開かれた第18回野火賞授賞式で、16年前の名古屋法廷での様子を回顧し、そう語った。市民の会はこの日、今年の野火賞を受賞した。

 イ理事長は、「朝鮮日報が、光州の小さな市民団体を被害者のお金を追いかけているかのように(報道)し、あたかも、裏世界の“暴力団組織”のようになってしまった」と述べた。市民の会は2012年、日本の戦犯企業に連れられて行った女子勤労挺身隊の被害者の損害賠償請求訴訟を開始し、勝訴する場合に受けとる賠償金のうち20%を公益事業のために使うようにすることで原告と合意していたことを「歴史問題ビジネス」と歪曲して報道されたと述べた。イ理事長は「腕をつかまれても、足を引っかけられても、顔に石が飛んできても、支持してくださる国民の皆さんのために最後まで行く」と述べた。授賞式を見守った市民たちは、イ理事長の受賞の感想を聞いた後、「頑張れ」と拍手した。

日帝強制動員市民の会のメンバーと市民らが27日、光州の国立5・18民主墓地「歴史の門」で開かれた第18回野火賞授賞式で野火賞を受賞した後、記念写真を撮りながら明るく笑っている。=日帝強制動員市民の会提供//ハンギョレ新聞社

 野火賞は、5・18民主化運動(光州事件)の前後に民衆運動の火種となったユン・サンウォン烈士ら7人の精神を賛えるために制定された賞だ。第18回野火賞審査委員会のチョン・チェウン委員長は「日帝統治下の強制動員問題に対する真の謝罪と責任ある賠償の要求が重要な時代精神になった」とし、「市民の会が14年を超える年月の間、一貫した活動を受け継いできた」と述べた。

 大学院で政治学を専攻して記者として働いていたイ理事長は、2003年から日帝強占期(日本による植民地支配)の強制動員被害者問題に関心を持ち始めた。その過程で、日本の三菱重工業の航空機製造工場があった名古屋の市民たちが、朝鮮女子勤労挺身隊という名前で動員された韓国人の被害者女性の損害賠償請求訴訟を助けているという事実を知ることになった。

 日本の支援団体である「名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会」は1999年3月、三菱重工業を相手取り女子勤労挺身隊被害者の損害賠償請求訴訟を起こした。2007年5月の名古屋高裁における勤労挺身隊の損害賠償控訴審の判決の現場を同行取材したイ理事長は、2008年3月に記者を辞めた。「記事を1行追加する力では、どうにもならない問題」だと考えたためだ。予想通り、2008年11月、東京の最高裁で訴訟は最終的に棄却されたが、闘いは続けた。イ理事長は2009年、市民20人あまりと「日帝強制動員市民の会」の前身である「勤労挺身隊ハルモニと共にする市民の会」を結成した。

日帝は1944~1945年、朝鮮の女子生徒をだまして戦犯企業の軍需工場に動員し、航空機部品の塗装作業をさせるなどの強制労働に動員したが、賃金は一銭も与えず、これまで一言の謝罪もない=日帝強制動員市民の会提供//ハンギョレ新聞社

 市民の会は、日帝強占期における女子生徒の強制労働などの人権侵害の実態の問題を提起した。日帝は1944年から1945年にかけて、13~15才の女子生徒に「女学校に通えるようにする」と言ってだまし日本の軍需工場に動員して働かせたにもかかわらず、賃金は一銭も与えず、これまで一言の謝罪もない。三菱重工業は、光州・全羅南道・忠清南道などで女子生徒300人あまりを動員した。市民の会は2012年、2014年、2015年に勤労挺身隊被害者たちが三菱重工業を相手取り損害賠償を提起できるよう支援した。「民主社会のための弁護士会」の所属弁護士たちも、着手金を取らずに「公益訴訟」に同行した。イ理事長は「政府とメディアが日帝強制動員問題に無関心だったとき、市民の会の闘争を後押ししたのは、月々5000ウォン(約500円)、1万ウォン(約1000円)の後援支援金を出してくださった市民たちだった」と述べた。

27日、光州の国立5・18民主墓地「歴史の門」で開かれた第18回野火賞授賞式=チョン・デハ記者//ハンギョレ新聞社

 ヤン・クムドクさんら5人が参加した訴訟は、2018年11月に韓国最高裁(大法院)で確定判決を得たが、日本政府・企業は、最高裁の賠償命令に従わずにいる。市民の会は、韓国最高裁の確定判決を受けた強制動員被害者に日本の被告企業を肩代わりして判決金と遅延利息を代理で支給する「第三者弁済案」に強く反対している。第三者弁済の支給対象である15人のうち、ヤン・クムドクさんら生存者3人と死亡した被害者2人の遺族ら5人が政府案を拒否するという立場だったが、最近、生存者1人が解決策を受けいれるとして立場を変えた。

チョン・デハ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/honam/1093584.html韓国語原文入力:2023-05-28 20:02
訳M.S

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