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反対世論が沸き立っても…尹大統領、韓日関係修復強行、なぜ?

登録:2023-03-07 02:35 修正:2023-03-07 08:15
尹錫悦大統領が1日、ソウル中区の柳寛順記念館で開催された三一節記念式で太極旗を振っている=大統領室提供//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が被害者の反発をはじめとする国内の批判世論が強いにもかかわらず、日帝強占期の強制動員被害者に対する賠償の基金についての韓日政府交渉を急いでまとめようとしているのは、「韓米日協力」に傾いた現政権の外交政策基調のためだ。尹大統領の構想は、歴史問題を韓日関係改善の最大の障害物とみて、これを乗り越えて安保や経済などでの韓米日協力の半径を広げるというものだというのが政府側の説明だ。大統領室の関係者は5日、本紙に対し「この事案は政府のリスク要因となりうるが、なぜこのように結論付けることになるのかは大局的に考えなければならない」とし「迅速に決断すべきというのが尹大統領の立場」だと語った。

 尹大統領は今月中に韓日首脳の「シャトル外交」を復元し、4月に米国を訪問、5月には広島で開かれる主要7カ国(G7)サミット(首脳会議)にオブザーバーとして出席し、韓米日協力の強化基調を対外的に最大限示す計画だ。キム・ソンハン国家安保室長は5日、米国のワシントンへと出発する際に、「強制動員被害者の解決策の問題も議論するのか」とい問われ、「韓米両国間で議論すべき事項ではないと思う」としつつも、「韓日関係の改善を通じて韓米日安保協力、ひいては韓米日の全般的な関係の発展のために米国が果たす役割、韓米同盟レベルで実施できるような何らかの諸方策を議論してみようと思う」と述べた。米国は中国、ロシア、北朝鮮に対抗するための主要な軸は韓米日協力だとみており、そのためには韓日関係の改善が欠かせないと考えている。

 尹大統領は大統領選挙の過程から「理念偏向的な竹槍歌を歌ってここまで来た」(2021年6月)、「外交が国内政治へ入ってきたため、韓日関係が最悪になった」(2021年11月)と述べて前政権の対日政策を批判していた。昨年9月の「ニューヨーク・タイムズ」とのインタビューでは「慰安婦問題や強制徴用問題などを、韓日安保協力、経済・貿易問題などの懸案と共に一つのテーブルの上に置いてグランドバーゲン(一括妥結)したい」と表明している。尹大統領は今回の強制動員被害者賠償問題も、前政権が先送りした事案を自分が一括妥結するという観点から考えていると解釈される。

 尹大統領が1日の三一節記念演説で「日本は過去の軍国主義侵略者から、韓国と普遍的価値を共有し安保、経済、グローバルアジェンダで協力する協力パートナーに変わった」として、歴史問題や敏感な懸案には全く言及しなかったのも、このような判断からだとみられる。

 しかし、1997年に韓国の強制動員被害者が日本の裁判所で日本製鉄(旧新日鉄住金)を相手取って訴訟を起こして以来、25年以上続いてきた強制動員賠償問題を、国民的コンセンサスの形成なしに押し通したことで、世論の強い反発を受けるのは不可避とみられる。歴代政権でも対日外交の過程で浮き彫りになってきた「反日感情」は、政治的負担として何度も作用してきた。大統領室の高官は、「我々が望むすべてのものを得ることができたなら、ここまでは来なかった」とし、「双方が少しずつ譲歩して作りあげ、そのような内容を理解させなければならない状況だ」と述べた。

キム・ミナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1082249.html韓国語原文入力:2023-03-06 05:00
訳D.K

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