近ごろはユーチューブのように一般人が情報を簡単に探せる窓口が増えたことで、がん患者は治療効果が検証された医療情報ではない、根拠と出所が不明な補完代替医療の情報にさらされやすくなっている。
ソン・ガユンさん(仮名、35)は昨年11月、父親が頭頸部がん(脳と眼球を除いた頭と首に生じるすべてのがん)のステージ3と診断された。慶尚北道浦項(ポハン)に住む父親をソウルの大病院に連れて行ったが、不安は収まらなかった。ソンさんは13日、本紙の取材に対し「口腔に良いというプロポリスから抗がんに良いというマヌカハニー、海外から直購入した空気清浄機をはじめ石けんから水に至るまで、体に触れるものはすべて良いと言われているものに変えた」とし「ソウル滞在費にその他の経費まで含めて、2カ月で2200万ウォン(約228万円)ほど使った」と話した。患者と保護者のこのような切迫した心情を悪用する商法や詐欺も横行している。子宮内膜がんステージ3のイ・ダヘさん(仮名、47)は、「がん細胞を破壊するNK細胞治療薬が重要だというので、知人に800万ウォン(約82万7000円)を渡したが、その会社が倒産した」とし、「毎回騙されながらも、もしかしたらという気持ちで各種機器や健康食品を買っていたら、健康もお金も失った」と話した。
昨年12月に忠南大学産学協力団が発表した報告書「がん患者補完代替療法の実態調査と管理方策の研究」によると、調査に参加した1804人のがん患者に占める補完代替療法の使用者の割合は42.2%(761人)にのぼった。研究責任者の世宗忠南大学病院のクォン・ジョンヘ教授(血液腫瘍内科)は「根拠のない補完代替療法の情報ががん患者の健康を害するとともに、家計経済に困難をもたらしているが、政府は実態さえ把握できずにいる」とし、「保健福祉部、食品医薬品安全処、国立がんセンターの中に補完代替療法を管理するコントロールタワーがないため、正確な情報を継続して提供することが難しいという限界がある」と述べた。