本文に移動

‘汚染雷管’4大河川 川底調査もせずに浚渫

原文入力:2010-03-09午後02:31:39(1925字)
韓国‘準備されない浚渫’
一部区間 堆積物内に汚染物質蓄積 深刻
川 掘れば水質汚染 明らかだが影響評価も知らぬフリ

チョ・ホンソプ記者

←(※クリックすればさらに大きく見ることができます。)

‘汚染のために死にゆく川を生かすために浚渫をしなければならない’という政府は、最近慶南の咸安堰などで堆積土汚染論議が広がると‘基準値以内’として問題にならないと言葉を変えた。
洛東江だけで4億4000万立方Mの川底を掘りおこし、そこに埋まっていた重金属など汚染物質による被害は果たしてないのだろうか?

■一部区間の深刻な汚染

4大河川事業を憂慮した環境団体などは初めから‘4大河川は死んでいない’と主張してきた。昨年4大河川を現場調査した‘生命の川研究団’は 「大部分の洛東江本流川床の土はきれいな状態」として単に洛東江河口堰の直ぐ上流15km区間と支流の琴湖江と鎮川流入口付近の川底から激しい悪臭が出ているなど汚染が激しかったと結論を下した。

昨年、環境部の水生態系健康性調査でも河川の自然性を示す水辺環境は4大河川本流すべてが80~92%地点で‘良好’以上の判定を受けた。一部都心区間を除けば川の自然性が生きているということだ。

しかし川底を4~5mの深さに掘りおこし、過去の産業化時代にむやみに放流した各種汚・廃水とともに堆積物中に時限爆弾のように蓄積された汚染物質の‘雷管’を触る可能性が提起されている。キム・ジュァグァン釜山カトリック大環境工学科教授は 「全区間で同時工事が行われる洛東江では1970~80年代の水質汚染事態が再演されかねない」と警告した。

■深層堆積層と浚渫過程汚染

それでは川底堆積物の汚染度はどうだろうか? 専門家環境団体である環境と公害研究会は8日国立環境科学院が2008年全国の河川と湖沼を対象に行った重金属汚染調査結果を分析した報告書を発表した。研究責任者のイ・ドンス ソウル大環境大学院教授は 「ヒ素を除く重金属濃度は全体地点の約70%で国際的に最も厳格なカナダの堆積物勧告基準(ISQG)を下回る」として 「浚渫など即刻浄化は必要ない」と話した。

しかしヒ素は4大河川大部分の地点でカナダ基準を超しており、川底生態系を害する可能性があるので詳細な調査と研究が必要だと報告書は明らかにした。

問題はこれまでに実施された殆ど大部分の調査が表層堆積層でなされており、深い堆積層の汚染度は知られていないという点だ。政府は事後管理次元だけで深層堆積物汚染調査を行う計画だ。汚染物質の分布と濃度,工事過程での汚染拡散の可能性などには目を閉じたまま工事が進められているわけだ。

政府は堆積物中の重金属が溶け出すことはないと断定するが、専門家たちは川底がかく乱されれば重金属硫化物が酸素と化合し水に溶ける形態に変わると指摘している。しかし、環境影響評価では浚渫過程で如何に多い重金属など有害物質が河川に溶け出すかなど、浚渫過程の水質環境影響を検討していない。

イ・ドンス教授は 「浚渫が水質問題を全て解決することもないのみならず、浚渫をしても重金属の他にも農薬,残留性有機汚染物質,環境ホルモンなど多様な堆積物汚染物質を事前に十分に調査しなければならない」と話した。国立環境科学院の調査で川本流よりダムや湖堆積物の重金属汚染が激しいと明らかになったことも、4大河川堰が長期的に重金属汚染を加重させる恐れを示している。

■基準値論議の本質

4大河川再生推進本部は堆積物の汚染度を評価する時、土壌環境保全法の土壌汚染対策基準を適用する。しかし、この基準は土地の上から取り出した堆積物を土壌と見なした基準であるだけで、堆積物から溶け出した重金属が水の中で生態系にどのような影響を及ぼすのかを評価した基準ではない。

先進国では堆積物の水中環境基準を用意している。米国,ヨーロッパ連合,カナダ,オーストラリア,ニュージーランドなどは勧告基準または予備基準を通じて、重金属など野生動物と人体に濃縮される可能性のある有害物質を監視することに活用している。米国,ワシントン州などは州政府次元で規制基準を設けている。わが政府も2000年から堆積物環境基準を用意するための研究に出たが、現在は中断された状態だ。

チョ・ホンソプ環境専門記者 ecothink@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/408962.html 訳J.S