韓国でオミクロン株の組み換え体であるXE、XMが初めて確認された。専門家は、きめ細かなモニタリングシステムを構築すべきであり、新たな異変株の流行に備え、「ポストオミクロン対策」でも高危険群と脆弱階層に対する保障を強化すべきだと指摘する。
中央防疫対策本部(防対本)は19日、国内で確認された2件のXE感染のうち1件は英国から流入し、先月27日に陽性判定を受けた事例であり、残りの1件は先月30日に国内で確認されたと明らかにした。2人の感染者は20代と50代。XMの感染例も国内で確認された。
組み換え体が相次いで発生…専門家「モニタリング拡大すべき」
XE、XMは新型コロナウイルスのオミクロン株のBA.1とBA.2(ステルスオミクロン)の遺伝子が組み換わったもので、現在までに系統が確認されているXAからXSまで(XIとXOは除く)の17の組み換え体の一つ。先月23日には、陽性判定を受けた人からXLが韓国で初めて確認されてもいる。今回発見されたXEは、BA.2より感染のスピードが12.6%速いという初期分析もある(英国保健安全保障庁)。
防対本のイ・サンウォン疫学調査分析団長は「XE、XMの国内発生例各1件については海外からの流入の可能性もあり、現在の状況から見て国内で発生した可能性も十分高いとみて調査を進めている」と述べた。世界保健機関(WHO)の発表によると、今年1月以降、英国、米国、アイルランドなどの4カ国でXEが489件確認されている。英国保健安全保障庁は今月8日に、自国で1179件のXE感染例が確認されたと発表している。
イ団長は「これらの変異株はオミクロン株の組み換え体で、WHOでは単にオミクロン株と分類しており、特性の変化は大きくないと予想する」としつつ「感染力、重症度などの分析資料がなく、引き続きモニタリングを強化していく予定だ」と述べた。
専門家は、新たな変異株が再び流行に影響を与える可能性に備えるべきだとの立場だ。カトリック大学のペク・スニョン名誉教授(微生物学)は、「現在、政府の全ゲノム塩基配列解析数が少なすぎる。英国は100万件、デンマークは全数調査なのに、韓国は1万2000件ほどに過ぎない」とし、「感染者が多く発生しているだけに組み換えの可能性も高いが、モニタリングが非常に弱い。変異の予測と特性をより積極的にモニタリングする必要がある」と述べた。
ポストオミクロン、脆弱階層対策を徹底すべき
変異が発生するなどによって流行の不確実性が高まる中、ポストオミクロン対策を推進する際には、高危険群と脆弱階層に対する支援策も早急に講じるべきだと指摘される。来月末には隔離義務が解除されるが、治療費の補助がなくなることで検査費や治療費などの個人負担は現在より重くなる見通しだ。そうなれば、脆弱階層はまったく治療を受けなくなる可能性がある。翰林大学江南聖心病院のイ・ジェガプ教授(感染内科)は、「貧しい老年層(高危険群)は孤独死の危機に陥る恐れがある。次上位階層(国民基礎生活保障制度の給付対象者の次に貧しい階層)には治療費を補助するなどの対策があるべきで、医療日常化を達成するためには脆弱階層に対する保障が重要だ」と述べた。イ教授はまた、「プラットフォーム労働者など、隔離された際に所得そのものがなくなる方々は、自主隔離をしない可能性があり、職場内での感染も問題だが、病気で休める人と休めない人との両極化が起きる恐れがある」とし、脆弱階層への生活費支援などの対策を注文した。
飲む治療薬の処方を老年層以外の高危険群にも拡大しようという意見もあがっている。政権引き継ぎ委員会は、飲むコロナ治療薬処方を12歳以上の基礎疾患がある人へ拡大しようと言及している。イ団長はこの日、「これは科学的に検討可能な案であり、どのように検討されているのかは、今のところ申し上げるのは難しい」と述べた。ペク教授は「12歳以上、体重40キロ以上を対象として承認された薬であるため、承認された年齢群内の高危険群に処方するのは正しい」と述べた。
防対本の集計によると、19日午前0時現在で、一日の新規感染者数は11万8504人。通常、感染者が最も少ない月曜日だった前日の4万7743人と比べると7万761人増えているが、前週の同じ曜日の21万732人と比べると9万2228人少ない。先週(4.10~4.16)の国内の感染者数は前週より31.8%減少し、実効再生産数は0.78で、3週連続で1未満を保っている。