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「虚偽の難民面接調書」の被害者数千人に再審の機会

登録:2020-04-21 06:35 修正:2020-04-21 15:26
法務部、虚偽の調書作成を認め、アラビア語脱落者の再申請を受け付ける 
外国人登録証を直ちに発給する配慮も
2019年6月18日、ソウル中区の国家人権委員会で虚偽の難民面接調書作成事件の被害者による証言会が開かれた=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 法務部が出入国管理事務所(出入国・外国人庁事務所)の公務員たちによる面接調書のねつ造で不当に難民審査から脱落した数千人の難民申請者に再申請の機会を与えることにした。難民面接に迅速審査の手続きが導入された2015年以降、3年間にわたって行われた「面接調書ねつ造事件」の被害者の救済に乗り出したのだ。

 20日のハンギョレの取材内容をまとめると、法務部は2015年9月4日から2018年7月1日の間にアラビア語で面接を受けて脱落し、難民認定を受けられなかった人々から難民審査の再申請を受け付けることにした。出入国事務所は法務部からこうした方針を伝えられ、2月3日から脱落者の再申請を受け付けている。

 再申請対象者はまだ公式集計されていないが、該当期間中アラビア語が母国語であるエジプト難民申請者だけで2千人を超えており、彼らの難民認定率が0.75%だったことから、エジプト出身の再申請対象者だけで1500人を超えるものと推算される。モロッコやリビア、スーダンなどから来た難民まで含めると再申請対象者は2千人を超えるものとみられる。法務部が難民申請者たちの虚偽の面接調書を作成した事実は、2018年7月、難民人権団体が国家人権委員会に陳情書を提出したことで初めて明らかになった。当時、難民人権団体が調査した19件の被害事例によると、出入国事務所の公務員が作成した面接調書に「働いてお金を稼ぐ目的で難民申請をした」という全く同じ文章が書かれていた。政治的・宗教的弾圧から逃れて亡命したという彼らの面接調書に「出稼ぎにきた」という虚偽の供述を書き、面接で脱落させたのだ。法務部は当時の過ちを認め、2018年9月に脱落した申請事例のうち55件だけを取り消し、再面接を実施した。

 しかし、法務部が55件を選定した基準が曖昧なうえ、追加被害が相次いで確認されたことを受け、難民人権団体は昨年6月「被害者証言会」を開いて、被害の補償と責任者の処罰を求めた。その後、法務部は面接調書をねつ造した公務員3人を重い懲戒処分すると発表したが、刑事告発は行わず、批判世論が高まった。

 法務部は虚偽の面接調書の作成で脱落した難民申請者が外国人登録証を申請すれば、直ちに発給する方針だ。これは出国命令が下され、未登録滞在として暮らしている人たちが多いことを考慮した措置だ。外国人登録証なしで働き取り締まられた記録もすべて削除することにした。通常、難民申請者は韓国に入国してから6カ月以内は就労が認められないが、再申請者の場合は直ちに就労できる。

 国連難民機関側は法務部の措置と関連し、ハンギョレに「透明な難民審査及び韓国の保護が必要な難民申請者に再審の機会を提供したことを歓迎する。韓国の難民審査と保護手続きを強化する契機になることを望んでいる」と述べた。

イ・ジェホ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/rights/941316.html韓国語原文入力:2020-04-21 05:00
訳H.J

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