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史上最多請願…「『n番ルーム』の観戦者も『共犯者』」高まる処罰求める声

登録:2020-03-23 03:00 修正:2020-03-23 08:33
「デジタル性犯罪の悪循環を断ち切ろう」に共感

「博士」らの身元公開請願「史上最多」 
搾取加担・加入者全員の処罰求める声 

金を払ってゲームを見るように観戦…「n番ルーム入場だけでも犯罪」 
中心運営者「博士」に対する怒り、n番ルーム加入者全員へ 

デジタル性犯罪に対する処罰軽く 
SNSには相変わらず「映像ロック解除します」の書き込み 

「観戦者も共犯者同様の処罰 
短期間でも実刑判決を」

テレグラムにシークレットチャットルームを設け、性的搾取物を流布した「n番ルーム事件」の中心人物「博士」であることが明らかになった20代男性のJ容疑者が19日午後、ソウル瑞草区のソウル中央地方裁判所で拘束前の被疑者尋問を終えて出てきた=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 未成年を含む女性たちを脅迫し、性的搾取物を製作、流布した疑いで警察に逮捕されたテレグラム「n番ルーム事件」関係者の「博士」ことJ容疑者らに対する怒りが沸点を越えた。彼らの身元公開を求める大統領府への国民請願同意者は4日間で200万人に迫り、史上最多を記録した。怒りは彼らにとどまらず、「観戦者」たるn番ルームの会員たちにも向けられている。金を払ってゲームを見るように、博士グループが女性たちを搾取、虐待する現場を見守っていた観戦者は数万から数十万人に達すると推定される。

 今月18日に大統領府の国民請願掲示板にアップされた「n番ルーム容疑者の身元公開及びフォトラインに立たせること(容疑者を報道陣の前に立たせ、インタビューすること)を求める」請願は、22日夜8時30分現在で199万3036人の同意を得ている。「幼い生徒たちを地獄へと追い込んだ加害者をフォトラインに立たせてほしい」という要求だ。続いて20日にアップされた「テレグラムn番ルーム加入者全員の身元公開を望みます」と題する請願も、2日間で134万1170人の同意を得て爆発的な関心を集めた。警察は24日に審議委員会を開き、J容疑者の身元を公開するか決める計画だ。

 身元公開を求める市民の声には、デジタル性犯罪を「甘く処罰」してきた司法体系に対する不信がにじみ出ている。観戦者全員の身元公開を求める請願者は「興奮し、同調した加入者は性犯罪者だ。ぞっとすることだが、私たちにはどうすることもできない。処罰しないなら彼らの身元だけでも公開してほしい」と訴えた。

 「ソラネット」から「ウェブハード」へ、「ダークウェブ(特殊なウェブブラウザを通じてのみアクセスできるウェブ)」へ、そしてテレグラムへと、捜査網が狭まるたびに性搾取物の流布者たちは舞台を移してきた。世間の注目を浴びた性暴力関連の犯罪は、たいていは少しの間だけ関心を引き、尻すぼみで終わった。女性の憤りには、この観戦者まできちんと処罰できなければ、結局はプラットフォームを渡り歩いて繰り返されてきたデジタル性犯罪の悪循環を断ち切ることはできないという切迫した気持ちが込められている。

 刑事政策研究院のチャンイム・ダヘ研究委員は、「女性たちは問題提起し続けてきたが、実際の処罰は甘く、きちんと処罰されない懸念がある。デジタル性犯罪の被害は身体的な犯罪より重い可能性もあるが、司法体系ではそれほど重要でない被害と見なされており、そのような慣行に対する憤りは大きい」と説明する。検察内の「Metoo運動」に火をつけたソ・ジヒョン検事もこの日、自身のフェイスブックに「イルベ、ソラネットなどで類似の犯罪が行われてきたが、誰がきちんと処罰されたのか。事実、これはあまりにも『予見された犯罪』だった」と指摘した。実際、かつてウェブハードで90万件以上の不法性搾取物を流布し、ほう助した疑いで起訴されたウェブハード会社の関係者さえ、執行猶予処分にとどまっている。

 女性の個人情報を盗んで脅迫・搾取し、テレグラムという閉鎖空間で多数が集まり共有した犯行方式も不安と怒りを誘った。国民請願に同意した会社員のLさん(32)は、「今回の事件を見て、SNSのアカウントを閉鎖するべきか悩むほど恐ろしい。とにかく加害者が多いため、自分の職場の同僚もテレグラムのルームに入っている可能性があると考えると怒りが募る」と話す。韓国サイバー性暴力対応センターのソ・スンヒ代表は、「デジタル性犯罪は時空間の限界がないため破壊力が大きく、派生犯罪が起こりやすい。だから多くの女性が共感している」と述べる。

 今回の事件の場合、「博士」J容疑者は児童・青少年関連の性搾取物を「製作」した疑いが認められれば、無期懲役もありうるという見通しが出ている。女性団体と法曹界ではこれに加え、n番ルームに金銭を支払って加入した観戦者も「共犯」と同様の処罰をすべきとみている。児童・青少年関連の性搾取物も共有されているだけに、せめて最も量刑が厳しい児童・青少年の性保護に関する法律を適用して処罰しなければならないということだ。キム・ジェリョン弁護士は「そのルーム(n番ルーム)がどんなところか知りつつ入っており、好意的な反応を示さない場合は強制退場させられるため、事実上犯罪を犯した共犯者だ。このルームに入場しただけで児童性搾取物を所持したと見るべき」と述べる。児童・青少年性搾取物であることを知りながら所持した者は、1年以下の懲役又は2千万ウォン(約176万円)以下の罰金に処すことができる。

 博士は捕まったが、n番ルームの搾取はまだ終わっていない。この日もツイッターには「n番ルームの映像を解くアカウント」などの書き込みがあり、ポータルとSNSには「n番ルーム処罰回避します(回避お助けします)」などの書き込みが相次いだ。依然として法の網をくぐり抜けることができると考える加担者が存在しているのだ。民主社会のための弁護士会のオ・ソンヒ弁護士は「せめて1年以下の短期実刑を受けることになれば、当事者としては、刑務所に閉じ込められ、職場を失い、社会的に葬られることになるという恐れを与えることができる。社会的には意味があるだろう」と説明した。

チョン・グァンジュン、クォン・ジダム記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/933674.html韓国語原文入力:2020-03-22 21:13
訳D.K

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