「このカエルは移動中に道路境界石を越すことができずにマンホールに落ちたようです。冬眠から覚めたらマンホールで飢え死にするか、捕食者に食われるでしょうが、これではしごを伝って脱出し生きのびることができますね」。
21日午前、英国爬虫類協会のトレバー・ローズ事務局長(57)が京畿道漣川郡全谷邑隠垈里(ヨンチョングン・チョンゴグプ・ウンデリ)の水ぐも生息地に隣接する道路で、深さ60センチほどのマンホールの中からトノサマガエルを取り出し、このように述べた。カエルは冬眠していた。カエルが眠っていたマンホールにローズ局長は、いわゆる「カエルのはしご」を設置した。コンクリート農水路や道路のマンホールに落ちて閉じ込められたカエルなどの両生類がそこから抜け出せるように、ステンレスとナイロンで作られたものだ。はしごは幅15センチ、長さ1メートルほどだ。
ローズ局長は英国でマンホールに落ちたカエルを救助するために、このはしごを初めて設計した。2015年から最近まで、英国の83地域に彼が自ら設置したカエルのはしごは1700あまり。彼はこの日、カエルのはしごを漣川の水路とマンホール3カ所に設置した。18日にも、仁川白ニョン島鎮村里(インチョン・ペンニョンド・チンチョンニ)の農水路にこのはしごを6つ設置している。
「英国は韓国と違いコンクリート水路がありません。しかし、マンホールにカエルがたくさんはまって死にます。それを見て工夫の末にカエルのはしごを作ったんです。カエルは登山能力が優れており、マンホールに落ちたカエルの80%がはしごを伝って上がってきたとの調査結果が出ています」彼は言った。カエルのはしごの製作をはじめたのは「両生類がいなくなれば食物連鎖が破壊され、生物多様性と生態系のバランスに大きな混乱がもたらされる」からだ。
ローズ局長は韓国のコンクリート農水路について「衝撃的」と述べた。「英国は自然型水路ですが、韓国は数キロメートルも続く巨大なコンクリート水路だったので驚きました。理由はあるでしょうが、生物多様性の面からは自然水路と伝統的農業がベストです」。
彼が韓国でカエルのはしごを設置しているのは環境団体「鳥と生命の拠り所」代表のナイル・ムーアズ博士の要請によるものだ。20年にわたって朝鮮半島の南北を行き来しつつバードウォッチングと生態系の調査を行ってきたムーアズ博士は「4年前に白ニョン島で農水路に閉じ込められた数百匹のカエルを外に出してやったことがある。多くのカエルがコンクリート農水路に閉じこめられて死んでいるのを見て、効率的で安上がりな解決策を探ってきた」と語った。
ムーアズ博士は「コウノトリやタンチョウ、トキ、スウォンアマガエルなどが希少になった理由は、彼らが栄養の供給を受ける生息地である湿地が住宅や道路、工場などに変わったため」とし「農民が田んぼを稲の栽培だけでなく持続可能な地域社会と生物多様性の保全のために利用するよう助けるべき。カエルのはしごは、カエルだけでなく私たち全員を罠から抜け出せるようにしてくれるだろう」と述べた。
彼らの小さな関心は変化を引き出している。環境運動連合のキム・チュニ事務副総長は「すでにコンクリート農水路になったしまったところついてはカエルのはしご設置を支援し、農水路をコンクリートにせずに自然型水路を用いる農民にはインセンティブを与えるよう政府に提案する」と述べた。漣川郡の関係者は「実態調査と関係機関の協議を経て郡南面楠渓里(クンナムミョン・ナムゲリ)のスウォンアマガエル生息地など一部区間でカエルのはしご設置を進める」と語った。