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"親日人名辞典編纂, 8年間一度もたやすいことはなかった"

原文入力:2009-11-10午前08:43:24
"本を全て見ても研究所を批判できるか問いたい"
"2004年 市民たちが7億ウォンの寄付を集めたことが転禍為福"
"韓国社会にnoblesse oblige(指導層が持つ道徳的義務)基準を提示する契機になれば…"

ホン・ソクチェ記者,キム・ミョンジン記者

←イム・ホニョン民族問題研究所所長が去る8日、ソウル,龍山,孝昌洞の金九墓地周辺で<親日人名辞典>発刊と関連する質問に答えている。キム・ミョンジン記者littjeprince@hani.co.kr

イム・ホニョン民族問題研究所所長インタビュー
去る7日午後4時頃、2800余頁の3巻書籍がソウル,東大門区,清涼里洞のある事務室に配達されてきた。メガネを鼻に乗せていたイム・ホニョン(68)民族問題研究所所長はこの本をぼんやり眺めた。そして淡々と「大きな山を越えた」と語った。8年間待ち続けた<親日人名辞典>とイム所長はそのようにして初めて向き合った。彼は2001年研究所副所長としてこの辞典の編纂作業を始めた。

本が出てきた後、保守指向の新聞らは社説を通じ「大韓民国の正統性を傷つけた」と批判して出た。保守市民団体らの反発も侮れない。これに対しイム所長は<ハンギョレ>と会い「まずは本を見て欲しい。全て見ても批判できるのかと訊ねたい」と話した。彼はまた「自身の栄達のために親日をした人物らに対する歴史的記録を残す学問活動をしたに過ぎない」と付け加えた。

-8年間の大長征を終わらせた所感が格別ではないか。

"しなければならない仕事をしただけだ。特定人物を攻撃するためのものではなく、外勢に苦しめられた私たちの近代100年を扱おうと考えた。大変なことを終えて満足感共にそこはかとない寂しさを感じたりもするが、大きい山一つを越えてまた別の‘歴史の山’に挑戦しなければならないという責任感が先んじる。"

-‘歴史は力がある者の論理’という言葉もある。民間団体として困難が多かったと思うが。

 "ただの一度もたやすいことはなかった。私たちは決して政治的な研究所ではないけれど正当に確保した研究費さえ削られることがあった。‘民族問題研究所’という名前だけで拒否権の対象になった時は暗澹たる思いだった。だが2004年に市民たちが7億ウォンの寄付を用意してくれたことが禍を転じて福となす結果になった。"

-研究所は‘学術資料として見て欲しい’と言うけれど政治的意図が入れられたという論議が収まらないようだが。

"この辞典を学問的に見て欲しいとお願いしたい。民族を愛する学者らの知恵が集大成されたものだ。どんな学者たちの集いでもこうしたことをやり遂げるのは容易ではないだろう。"

 -‘反民族行為特別調査委員会’(反民特委)でさえ問題にしなかった人物も事前に名前が上がっているが。

 "もし1948年当時の反民特委が私たちの資料と情報を持っていたとすれば、彼らが対象者から抜け落ちることはなかったろう。"

-保守指向の一部言論創立者や高位幹部を‘意図的に’辞典に上げたという指摘もある。功罪が皆あるはずなのに片方だけを強調したことではないのか?

“金性洙と方應謨が‘言論社主’だったということが重要なのではない。彼らが‘権力’を背負って親日をしたという事実を記録したのだ。‘先親日,後抗日’の場合とは違い、金性洙のように‘先抗日,後親日’は明確に責任があると見た。根拠がないという主張もあるが、方應謨の場合、高射機関銃献納費1600ウォン(現在価値2500万ウォン)を出したという記録が1934年に発行された<愛国>第3号95ページに載せられている。金性洙が国防献金1000ウォンを出した事実も1937年<毎日新報> 8月14日付3面に載せられたと根拠を明らかにした。”

-一部では‘祖国光復(解放)運動に指一つ漬けたことのない正体不明の人々’が当時の人物を裁こうとしていると批判しているが。

“‘正体不明’というのは後に隠れて他人の話をする時をいう言葉だ。私たちは歴史や文学など各界ですでに権威を認められた博士学位以上の学者で構成されている。理性を失った表現にすぎない。”

-保守言論らが社説を通じて‘大韓民国の正統性を蚕食している’と指摘したが?

“そのような話をする言論らは創刊の時に自らを‘民族言論’,‘民族紙’と言う。その言葉が事実ならば客観的な資料を根拠に反論するべきで、社説で私たちを非難するのは正しくない。民族紙としての精神が残っているならば、知っている真実を出して額を突き合わせ日帝の残滓清算を助けるべきではないか?”

-光復(解放)され60年を越えた。いまさら親日行跡を問い詰めるということは得より損失が多いという主張もある。

“ヨーロッパでは同じように戦争を行ったのに今は平和時代を謳歌している。だが東アジアは相変らず不安だ。なぜだろうか?戦争主軸国だった日本で数十年間にわたり政権交替されなかったことが大きな原因だ。日本が過去を清算しなければ東アジアの平和もない。この本は韓国を含む東アジアの責任を問い、問い詰めて反省する契機になるだろう。”

-最近、朴正熙前大統領の満州国軍服務が親日行跡かという論難がおきているが。

“軍は国民を守ることを唯一の目的とする組織だ。朴前大統領が送った‘親日血書’の意図と同封した手紙における‘祖国’とはどこなのか?”

‐北韓で高位職を務めた親日要人は辞典で言及されなかったとし公平性を問題にする人々もいる。

“私たちの民族ならば南北の基準は全く同じだ。資料があるならば例外はない。北側は私たちとは違い解放後に親日行為者に対する粛清がなされたという差もあるだろう。辞典を見たとすればそのような話をすることはできない。”

民族問題研究所は2015年までに日帝協力団体辞典4巻,植民地統治機構辞典1巻,資料集4巻など‘親日問題研究叢書’(計17冊)を出版する計画だ。イム所長は「この辞典を通じて多くの人々が‘正しく生きるとは何か,正しく生きるということがどれほど重要なのか’を悟り、韓国社会に‘noblesse oblige(指導層が持つ道徳的義務)’の基準を提示する契機になればうれしい」と話を結んだ。

ホン・ソクチェ記者forchis@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/386848.html 訳J.S