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北朝鮮国旗を掲げた弘大前の北朝鮮風酒場、国家保安法違反か

登録:2019-09-16 06:00 修正:2019-09-16 08:01
市民「目を引くが、金日成・金正日の肖像画は度が過ぎる」と批判
専門家「宣伝効果が目的…国家保安法適用難しい」
麻浦区、10日にソウル地方警察庁に関連内容送付
15日、国家保安法違反論争にさらされているソウル市麻浦区西橋洞の「北朝鮮風酒場」の建物の外壁の絵。北朝鮮の宣伝物を連想させる書体で「より多くの酒をトンム(仲間)たちに」、「つまみ加工で大きな革新を起こそう」などの文句が書かれている=ソン・ダムン記者//ハンギョレ新聞社

 ソウルの弘益大学(弘大)前に北朝鮮国旗と金日成(キム・イルソン)、金正日(キム・ジョンイル)親子の写真などを掲げて開店を準備している「北朝鮮風酒場」が登場し、国家保安法違反ではないかと物議を醸している。

 15日、ソウル麻浦区(マポグ)西橋洞(ソギョドン)にある問題の飲み屋は、内部のインテリア工事が行われていた。建物の外壁には「より多くの酒をトンム(仲間)たちに」「つまみ加工で一大革新を起こそう」などの文句と共に、平壌の繁華街を連想させる北朝鮮風の宣伝絵画が貼ってある。正面出入り口の上には北朝鮮国旗と金日成、金正日親子の写真が掛けられているが、最近の物議を意識したかのように青い幕で覆われていた。しかし、風が吹けば幕の端がまくれ、旗の一部分が依然として掲げられていることが確認できる。

 物議は二カ月前まで日本風の居酒屋として運営されていた店の跡に「北朝鮮風酒場」ができるというニュースとともに建物外観写真がオンラインコミュニティーやSNSなどに紹介されて巻き起こった。ネットユーザーの間で、「居酒屋のコンセプト自体は興味深いが、北朝鮮国旗と金日成、金正日の写真を掲げるのは国家保安法違反ではないか」という指摘が出たためだ。

15日、国家保安法違反論争にさらされているソウル麻浦区西橋洞の「北朝鮮風酒場」の建物の外壁に貼られた北朝鮮国旗と金日成・金正日の写真に目隠しをした様子=ソン・ダムン記者//ハンギョレ新聞社

 現行の国家保安法第7条(賞賛・鼓舞など)は、国家の存立・安全や自由民主的基本秩序を危うくする目的で反国家団体やその構成員などを称賛・鼓舞する者を7年以下の懲役に処すると規定している。オンラインコミュニティーで見た「北朝鮮風酒場」を確認するためにこの日、直接弘大にきたという会社員のKさん(25)は「法的に問題がないと言っても、韓国に来た脱北者たちがソウルの飲み屋にかかった金日成・金正日の肖像画を見たらどんなに気を悪くするか」と語った。高校生のBさん(16)も「通り過ぎる人々の目を引くのは間違いない」と述べながらも、「表現の自由は尊重するが、北朝鮮のミサイル挑発が続く状況で、北朝鮮国旗と金日成・金正日の写真を居酒屋の宣伝に使うのは間違っているのでは」と語った。家族と休日の外出中という市民のHさん(67)も「南北が対話する関係になったというが、まだ厳然たる休戦状態」だとし、「商売のために金日成・金正日の写真を街に掲げるのは容認しがたい」と述べた。

 ネットユーザーらも「いくら今、北朝鮮ジョークが通じる時期だといっても、1960年代がコンセプトだといって朴正煕(パク・チョンヒ)の顔を掲げてたら気分悪くないか」(@khyu****)、"金氏一家の肖像と北朝鮮国旗を掲げても何の問題もないと考えるなら、日本風居酒屋に旭日旗と天皇の写真が飾ってあってもキレたらだめだということだ」(?@jay_usicfor****)などの反応を示した。

15日、国家保安法違反論争にさらされているソウル麻浦区西橋洞の「北朝鮮風酒場」の建物の外壁に掲げられた看板。北朝鮮の宣伝物を連想させる絵に「見よ!平壌酒場だ!」という文句が書いてある=ソン・ダムン記者//ハンギョレ新聞社

 専門家らは、北朝鮮国旗と金日成、金正日親子の写真を建物に貼った目的が宣伝効果を狙ったものであるだけに、国家保安法違反容疑をかけるのは難しいという立場だ。高麗大学法学専門大学院のチョン・スンファン教授は、「宣伝用に北朝鮮国旗や金日成、金正日の写真を掲げたことと、実際北朝鮮を称賛・鼓舞する認識、意図があったのかというのは別個のもの」とし、「居酒屋の宣伝のためとみられ、称賛・鼓舞の意思があったとは言えない」と語った。韓国外国語大学法学専門大学院のチョン・ハンジュン教授も、「北朝鮮を称賛・鼓舞するためというよりは、客の目を引くためというのが大きいのではないか」とし、「国家保安法違反と見なせるかは微妙だ」と語った。

 しかし、管轄する麻浦区は10日「北朝鮮風酒場」に対する苦情が寄せられたことにより、同日、関連内容をソウル地方警察庁保安部に送付したことを明らかにした。麻浦区の関係者は「営業許可規定に国家保安法違反に関する項目はないが、国家保安法違反の可能性があるとみて捜査機関に送付した」と説明した。

ソン・ダムン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/909568.html韓国語原文入力: 2019-09-15 18:12
訳D.K