マーク・エスパー米国防長官が8日夜、韓国を訪れた。この日烏山(オサン)空軍基地に到着したエスパー長官は、9日にチョン・ギョンドゥ国防長官と会談を行い、この前後に外交部と大統領府を訪問する予定だ。韓米合同軍事演習の公式開始を控え、北朝鮮が相次いでミサイル示威を行なっている状況で、朝鮮半島の安保状況を評価し、非核化および平和体制の構築や戦時作戦統制権(戦作権)の移管など、同盟の懸案について話し合うと国防部は説明する。
関心が集まるのは、彼が持ってくるいわゆる「米国の請求書」だ。防衛費分担金の引き上げやホルムズ海峡への派兵、中距離ミサイルの配備など、米国の戦略的要求がどのように提示されるか注目される。政府が日本の「ホワイト国」(輸出管理優遇措置対象国、8月2日より「グループA」に名称変更)からの除外に対抗し、破棄の可否を検討している「韓日軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)についても、米国の立場を説明するとみられる。
防衛費分担金の引き上げについては、すでに圧力が強まっている。ドナルド・トランプ大統領は7日(現地時間)、ツイッターへの書き込みで、韓国を「非常に裕福な国」と呼び、「米国に対する(防衛費分担金)の支払い規模をさらに増やすための交渉が始まった」と明らかにした。さらに記者団には「韓国は米国にはるかに多くの資金を支払うことで合意した」という発言を3回も繰り返した。エスパー長官の訪韓に合わせて、防衛費分担金の大幅引き上げに釘を刺そうという意図と見られる。先月23~24日に訪韓したホワイトハウスのジョン・ボルトント国家安保補佐官も、防衛費分担金の引き上げに対するトランプ大統領の意志を強調したという。大きな枠組みで引き上げを求めたボルトン補佐官に続き、エスパー長官は具体的な数値を示すだろうという見通しも示されている。国防部の関係者は「防衛費分担金引き上げ問題では、防御的にならざるを得ない」とし、「合理的かつ公平な分担原則を強調する」と述べた。
ホルムズ海峡への派兵に対しても、米国の圧迫が予想される。米国は最近、イランに対抗しホルムズ海峡の安全を保障する有志連合の構成を推進しているが、ドイツと日本が参加しない意思を明らかにしているため、難航している。国防部関係者は「燃料タンカーや商船など年間1200隻の船が同海域を通過しているため、これらを保護する必要がある」とし、「米国側が派兵を要請すれば、このような状況を考慮して議論するつもりだ」と述べた。政府は、韓国船舶の保護を名分にアデン湾海域で作戦中の清海部隊を派遣する案を検討しているという。これが有志連合の構成に参加する方式なのか、それとも独自の措置なのかは明確でない。
米国がロシアと結んだ中距離核戦力全廃条約(INF)から脱退した後、中距離ミサイルのアジア配備を進めている状況で、エスパー長官がこれについて言及するかも注目される。ボルトン補佐官は最近、「韓国と日本の防御に重要だ」とし、中距離ミサイル配備の重要性を強調した。中国を攻撃できる中距離ミサイルが韓国に配備された場合、韓中間にTHAAD(高高度防衛ミサイル)をめぐるあつれきを超える後遺症が懸念される。国防部はこれに関する検討も、協議も、計画もないと強調している。
韓日間の対立の中で、存廃の岐路に立たされたGSOMIAについては、同協定が韓日米協力に必須という立場を繰り返し確認するものとみられる。エスパー長官は7日、安倍晋三首相との面会で、「(GSOMIA)は韓米日共同防衛のカギ」だとし、「協定が維持できることを心より願う」と述べた。