国防部が北朝鮮の核と大量破壊兵器の脅威に対応するための核心戦略として掲げてきた「韓国型3軸体系」(3K)という言葉が、歴史の中に消える。国防部は10日、「韓国型3軸体系」という用語を、戦略的抑止能力を強化するための「核・WMD(大量破壊兵器)対応体系」に変更すると発表した。
北朝鮮の核・ミサイル発射の兆候を探知し、先制攻撃する1軸の「キルチェーン」(Kill Chain)は「戦略的打撃」に変わる。2軸の韓国型ミサイル防衛システム(KAMD)は「韓国型ミサイル防衛」に名称を変えることにした。核・ミサイルで攻撃を受けた後、容赦なく報復する3軸の「大量反撃報復」(KMPR)は「圧倒的対応」に代替される。ハンギョレは先月9日、文在寅(ムン・ジェイン)政権の新国防基本計画で3軸体系の名称が変更されると報道した。
このような用語の変更は国防部が10日に発表する「2019~2023国防中期計画」にも反映される。チョン・ギョンドゥ国防部長官は昨年12月20日、文在寅大統領に「2019年国防業務計画」を報告する際、3軸体系の用語を変えることにしたと報告した。
国防部は「軍は『国防改革2.0』を通じて全方位核・WMD(大量破壊兵器)の脅威に能動的に対処できるよう『韓国型3軸体系』の概念と戦力構造を補完・発展させる必要があると判断した」として、用語変更の背景を説明した。北朝鮮が昨年からは核・ミサイル試験発射を停止しており、特に金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長が3回にわたる南北首脳会談と6・12シンガポール朝米首脳会談で、持続的に「完全な非核化」への意志を明らかにした点が影響したものと見られる。
国防部が「韓国型3軸体系」とその細部名称の変更を決めたのは、従来の用語が「心理的攻勢」に偏り、軍の現実的力量を十分に反映していない現実を認識したためとみられる。南北間の軍事的緊張が緩和されつつある状況で、不必要に相手を刺激しないという趣旨とも言える。しかし、3軸体系の細部作戦および戦力増強計画は維持されるという点で、「見かけが変わっただけ」という批判も予想される。特に、3軸体系の名称変更にもかかわらず、3軸体系の構築に向けた来年の予算が今年より7063億ウォン(約682億円)も増えた点は、今後の軍事的信頼構築に障害物になり得る。
韓国型3軸体系は、北朝鮮の核・ミサイル発射の兆しを探知し先制攻撃する「キルチェーン」▽核・ミサイルが発射された後、空中で迎撃ミサイルを通じて防御する韓国型ミサイル防御(KAMD)▽核・ミサイルで攻撃を受けた後、容赦なく報復する大量反撃報復(KMPR)で構成されている。李明博(イ・ミョンバク)政権は、2010年の天安艦沈没事件と北朝鮮の延坪島(ヨンピョンド)砲撃を受け、2012年に韓米安保協議会議(SCM)で北朝鮮のミサイルや長射程砲を迎撃する「積極的抑止」概念の「キルチェーン」を2015年までに構築すると発表した。これに、朴槿恵(パク・クネ)政権が2016年9月、北朝鮮の5回目の核実験直後、北朝鮮指導部の除去を含む大量反撃報復を加え、「3軸体系」の概念が完成した。