小学校3年生の英語の授業より前に提供される幼稚園・保育園の英語の授業を政府が規制するかどうか、論争が激しい中、教育部が「幼児向け英語塾(英語幼稚園)など、幼児私教育を先に厳しく規制する」という公式立場を発表した。だが、幼稚園・保育園の英語の授業自体を禁止するかについては「1年後に基準を設ける」と明らかにしただけで、保護者らの混乱が続くものとみられる。
16日、教育部は「高額の『幼児向け英語塾』(英語幼稚園)の取り締まりを直ちに施行する」とし、「直ちに2月の幼児向け英語塾の「英語幼稚園」の名称の違法使用と施設の安全などについて、国税庁や公正取引委員会、消防庁などと共に点検を拡大する」と明らかにした。さらに、教育部の「放課後カリキュラム運営指針」に違反する幼稚園の英語の授業について「常時点検団」を設置し、徹底的に監督すると明らかにした。過度な教習費の徴収、長時間授業、英語塾と連携した便法的な運営など、教育部の指針を違反した幼稚園は是正命令などの行政制裁も強化する方針だ。現在「幼児向け英語塾」の教習時間や教習費、教習内容については規制する法令体制が整っておらず、これに対する運営基準を設けるため、教育部は今年下半期から関連法令の改正も推進する予定だ。キム・サンゴン教育部長官は「小学校3年生から始まる英語の適期教育を可能にするには、過度な英語の私教育の慣行からまず改善しなければならない」とし、「公教育の英語の充実化対策も設ける」と述べた。教育部は今年末までに地域別、所得別に英語教育格差が起らないようにする公教育の英語授業の力量強化案を設けることにした。
しかし、熱い争点だった幼稚園の英語の授業を禁止するかどうかについて、依然として「五里霧中」状態だ。教育部は幼稚園と保育園の英語の授業そのものを規制するかについては「来年初めまで運営の基準を設ける」とだけ明らかにし、返答を保留した。シン・イクヒョン教育部局長は「(英語適期教育という)原則と基調は明確に守っていくが、一つの案を持って推進するよりはさまざまな方法を検討する」とだけ答えた。幼稚園の英語授業の禁止の方法と時期を1月に確定して発表するという当初の立場を、教育部が事実上撤回したのだ。
教育部が再び決定を1年猶予したため、世論の批判は避けられないものとみられる。賛否の意見が鋭く対立する政策に対し、教育部が“猶予”方針を打ち出したのは、昨年8月末「2021学年度修学能力試験改編案」を1年猶予して以来、今回が2回目だ。対立が鋭い争点事案について、教育部が混乱を大きくさせる方式で議題を管理しているという指摘が出ている。教育部関係者は「英語の早期教育がどれほど熱い争点事案なのか、火を見るより明らかだが、これを公論化のプロセスなしに教育部が先制的に禁止しようとしたことが問題」だと話した。
政府がはっきりした教育哲学を提示するよりも世論によって右往左往し、施行しようとしていた従来の政策を毎回猶予する状況が、国民の政策に対する疲労度を高めるという声もあがっている。「私教育の心配のない世界」のソン・インス代表は「『英語早期教育』という熱い争点事案について、政府がパンドラの箱を一度開いてまた閉じてしまうレベルにとどまるならば、葛藤だけを深めて教育政策が発展しない」とし、「猶予したとしても今回の政策方向は正しいため、1年後はより具体的な対策が出なければならない」と指摘した。