本文に移動

労働者に経営責任 転嫁…解雇数字にだけ執着

原文入力:2009-08-03午前08:28:21
合理的調整せずゴリ押し‘慢性的現象’
戦略不在 政府は傍観的態度で葛藤増幅
“不況対応 基金造成, 雇用安定装置の用意を”

ファン・ボヨン記者

←ノ・フェチャン進歩新党代表(前列右側五番目)とホン・ヒドク民主労働党議員(前列右側四番目)等、政党と市民・社会団体関係者たちが2日午前、京畿平沢市,七槐洞,双龍車,平沢工場前で「労組が交渉再開を要請している以上、会社側は決裂した労使対話を再び始めなければならない」と要求している。 平沢/キム・ギョンホ記者jijae@hani.co.kr

自動車構造調整反復なぜ?

労使関係専門家たちは今回の双龍自動車整理解雇葛藤が国内自動車産業構造調整過程で反復的に現れた慢性的現象だと口をそろえる。 ‘数字合わせ’に汲々とする硬直した構造調整解決法と短期的な実利だけを追い求める労使関係慣行,政府の無責任な態度などが葛藤を増幅させているということだ。

完成車業者で構造調整による労使葛藤が社会的葛藤に駆け上がった事例は双龍車事態が初めてではない。1998年と2001年に現代自動車と大宇自動車で起きたストライキ事態が代表的だ。当時も労使が妥協点を探せないまま会社が一方的に整理解雇名簿を通知し、労組は極限闘争で対抗し葛藤が長期化した。

唯一完成車業者でのみ構造調整葛藤が目立つのは、産業的特性に起因するところが大きい。景気が悪くなれば耐久材消費が急減し最も大きい浮沈を体験するのが自動車産業だ。その上、産業関連性および雇用効果も他産業に比べてはるかに大きい。双龍車だけでも協力業者まで勘案すれば20万人余りが雇用されている。チョ・ヒョンジェ蔚山大教授(社会学)は「自動車は国内産業の中で最も中心を占める上に強力な労組が組織されているために労使葛藤も激烈な様相を見せた」と分析した。

整理解雇に執着した経営陣の近視眼的構造調整はこういう葛藤を一層大きくした。キム・ギウォン韓国放送通信大教授(経済学)は「経営陣が構造調整に対する合理的マニュアルを用意するよりは、政府と債権団などの圧迫で直ちに表面化できる整理解雇数字合わせだけに執着してきた」として「無条件に力で押し通す場合、便益に比べて葛藤費用が多く後遺症も長引くため結果的に企業の利益にもならない」と指摘した。

←クリックすれば拡大

ぜい弱な社会安全網と両極化した労働市場は、労組の極限闘争を誘発する構造的要因だ。キム教授は「中小企業に比べて大企業労働者らが解雇される状況に置かれれば、より命がけで抵抗することになる」として「賃金・福祉恩恵が一部大企業に集中しているため、その枠組みから押し出されれば崖っぷちに集まるという認識が強いため」と話した。これが政府が構造調整の衝撃を補完する新しい制度的装置用意に積極的にでなければならない理由でもある。

短期実利主義が蔓延した労使関係慣行に原因を求めたりもする。チョ・ソンジェ韓国労働研究院研究委員は「完成車業者労使は好況期に残業・特別勤務手当てはもちろん莫大な金額の成果給の分配に汲々とした上に、不況期に備えて雇用安定基金を積み上げるなどの努力はないがしろにした」と話した。実際に1998年の現代車整理解雇事態以後、完成車業者の労働者の間では‘儲けられる時に最大限儲けよう’式の認識が強化され、毎年成果給闘争が日常化された。イ・サンホン金属労組政策研究院研究委員は「労組自身も団体協約に‘雇用保障’という文句を入れることばかりに執着せず、企業の垣根を越えた産業的,国家的次元の雇用安定装置に対する考えが必要だ」と話した。

こういう脈絡で米国やドイツの事例は示唆するところが少なくない。米国では構造調整の時、労働者らをひとまず‘一時解雇’した後に失業給与の他に労使が作った基金から以前所得の95%ほどを保障してくれる。ドイツの場合、好況期に労働者らが残業時間を一人一人の時間口座に積み立てておき不況期に取り崩すようにする‘勤労時間アカウント制’で危機を突破してきた。パク・テジュ韓国労働教育院教授は「自動車産業の競争力を高める側面からも今回の機会に労使間合意を通じ労働時間短縮など作業場革新に積極的にでる必要があった」と話した。

政府が自動車産業全般の構造改編を念頭に置いた活路を模索する代わりに、傍観者的態度を見せたという点が根源的問題と指摘される。イ・ビョンフン中央大教授(社会学)は「現代・起亜車を除く残りの完成車業者の活路を含めた中長期戦略に対して労使政が額を突き合わせることが至急必要だが、政府にこういう努力が見られず消極的に対処してきた」として「当初から双龍車を生かす意志がなかった上、その責任も労組につけまわそうとする意図が強かったため」と話した。

ファン・ボヨン記者whynot@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/369179.html 訳J.S