2014年末の韓国のコンビニ数は2万6020店にのぼる。コンビニ1店舗当たりの人口は1973人。同じ年の日本のコンビニ1店舗当たりの人口2700人に比べると著しく少ない。したがってコンビニ店の実際の所得は月平均269万ウォン(約28万円)ほどにしかならず、4人家族の都市勤労者月平均所得(522万4640ウォン)の半分ほどでしかない。
ところが今もコンビニ店は増え続けている。自営業を目指す人たちにとりコンビニは相対的に小資本の2200万ウォン(約230万円)ほどあれば創業ができるからだ。
今年上半期にはコンビニ大手のCUが405店、GS25が450店、セブンイレブンが250店増えた。ハンギョレ新聞社が制作するポップキャスト「ディスファクト」は5日放送のシーズン2の第1回で、コンビニ開店から3年で借金に悩み自殺したコンビニ店主の事件を機に「コンビニ乙の戦争、大企業加盟本部だけ笑う」(訳注:乙は強者に対する弱者を意味する)を主題に、その実態を調べた。放送で指摘された「コンビニ創業が危険な4つの理由を整理した。
(1)コンビニ閉店率の罠
フランチャイズ店舗を創業しようとする自営業者が最も簡単に参考できる資料は閉店率。閉店率は年初の加盟店数に比べ同じ年に契約を終了したり解約する店舗数の比率を指す。コンビニ主要3社、CU、GS25、セブンイレブンはいずれも自社のブランドの閉店率が低いと宣伝している。
しかし閉店率の数値は注意深く調べる必要がある。コンビニを開業した店主が契約を解約する場合、普通10~12カ月の加盟手数料率(売り上げ利益の35%)に当たる違約金を払うことにした上で出された数値だからだ。月平均加盟手数料率が420万2442ウォン(約44万円)であることを考えると、コンビニを閉店する場合、コンビニ店主が企業の加盟本部に払わねばならない違約金は最大5000万ウォン台に達する。
(2)店主に売り上げを増やす方法はない
コンビニを創業したら、店主は誰でも意欲を持って売り上げを増やそうと努める。だが、コンビニ店主が売り上げ拡大に裁量を発揮する余地はほとんどない。フランチャイズ産業が強力な「標準化」戦略を特徴にしているためだ。インテリアと設備を加盟本部から提供され、物品と販売情報などもすべて加盟本部が決める。消費者は全国どのコンビニでも規格化された商品を購入し「一定の満足」を得ることができるが、コンビニ店主には特色あるアイテムや事業構想で売り上げ拡大を狙う余地はないのだ。ハンギョレのシン・ギソプ記者はディスファクト放送で「コンビニ店主にどの品物を売るか選択する余地はない。看板一つ変えるのも許されない単なる納品業者に過ぎず、大企業加盟本部のバイトと変わりない」と指摘した。
(3)せっかく出せた利益も賃貸料で消える
2013年のソウル市の調査結果、市内で賃借店舗が維持できる期間は平均1.7年に過ぎない。平均の賃貸借契約期間である2年も満たせず閉店に追い込まれるのだ。賃貸で開店した店舗の3年間生存率が28.8%にしかならないという調査結果もある。
コンビニも事情は同じだ。こんな状況で賃貸料や人件費、店舗運営費用と在庫・廃棄費用など持続的な支出はみなコンビニ店主の負担となる。賃貸オーナーが賃貸契約期間の2年が過ぎてから賃貸料を引き上げても、企業の加盟本部はなにも助けてくれない。週刊『ハンギョレ21』のキム・ワン・デジタルチーム長はディスファクト放送で「要するに自営業者が狙うのは日常的な収益でなく、その店を他の人に売り渡す時に受けとる権利金」でしかなく「権利金をもらって店の運営負担を他の人に押しつける構造ができあがっている」と説明した。
(4)利益は大企業の加盟本部だけ
大企業の加盟本部の2006年の年間売上額は4兆6800億ウォン(約4900億円)だったが、2011年は11兆755億ウォン(約1兆1600億円)に大幅に増えた。一方のコンビニの店舗当たりの年間平均売上額は2006年(4億7500万ウォン=約4987万円)と2011年(4億3500万ウォン=約4567万円)でほとんど差がない。大企業の加盟本部の利益だけが増えているのだ。
成長の勢いは株価を見ただけで分かる、CU加盟本部のBGFリテールの株価は昨年10月の6万8000ウォンから1年で17万ウォンに150%急騰した。GS25のGSリテールも同期間2万4900ウォンから5万7600ウォンに131%増えた。ハンギョレのキム・ジンチョル記者はディスファクト放送で「大企業の加盟本部の収益が増える反面、コンビニ店主は特に収益を得れない構造が出来上がっている。そのストレスをアルバイトに向けるコンビニ店主もいて、コンビニ店主とアルバイトの“乙どうしの葛藤”が生まれることも多い」と話した。
韓国語原文入力:2015-11-05 17:44